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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「日常」の記事一覧

水曜市場

 クミシュテペで毎週開かれる、水曜市場。ひさしぶりに野菜や果物を買いに出かけた。一時帰国のあとでは、何をしてもクミシュテペを新鮮に感じることができる。いつもはピリピリしているこどもたちとのすれ違いも、今日は余裕を持って構え、笑顔すら見せることができた。

サワーチェリー

プラム

 さっそくプラム、桃、サワーチェリーのジャムを煮る。サワーチェリーは種が入ったまま煮て、食卓で果実をしゃぶったあとに種を出すのだ。

鍋に果物を入れ、砂糖をまぶしてしばらく置いてから煮る

桃ジャムとサブジ

サワーチェリーとプラム。シロップは飲みものにする

焼き立てパンは、パン屋で

 水曜市場では、衣服や生地などを売る屋台が集まっている通りがあるのだが、そこで生地の買物をした帰り、かわいいお土産を見つけて買った。

トルクメニスタンで作られた、ラクダの置物キーホルダー。ラクダの毛で編まれている

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Mr. ジャールー

 日本から持ってきたもので、今回一番大事だったのが、これ。

ロボット掃除機!

 これを買ったのは、たしか去年の秋だ。どうしても欲しいという思いが募り、ネットショッピングして日本の実家に送ってあったのが何ヶ月も経て、ようやくクミシュテペの自宅へ到着した。
 トルクメンの家は一般的に、人が集まる居間には絨毯と壁に立てかけるタイプのクッションだけが置かれ、家具はほとんどない。人が来ると、絨毯の上にスフラ(テーブルクロス)を敷いて、お茶を飲みながらくつろぐのだ。うちのサロンも、ダイニングテーブルとハリルのデスク以外は床なので、ロボット掃除機がうまく機能すると思っていた。実際、使ってみるとこれほどすばらしい機械はないというくらい、満足している。




こどもたちが釘付けになった

 問題点があるとすれば、サロンが大きすぎて(60平米くらいか)三回くらいかけないときれいになりきらないことと、掃除機が玄関のたたきに降りていってしまうことだ。ガタン! と一段飛び降り、そこを掃除したらまた一段飛び降りてしまう。一番下は靴を脱ぐ場所で砂が多いので掃除機をかけたくないのに、そこまできれいにして今度は登れないままうろうろしているのだ。落下防止の機能があるはずなのに、そんなオペレーションをする。


 ロボット掃除機の名前は、ミスター・ジャールー。ジャールーはペルシャ語で掃除機を意味するようだ。たまたま覚えていたので、テヘランの空港で調べられたときに、その単語を言って説明することができた。称号がミスターなのは、掃除機がけを男性にさせたいという潜在的欲求の現われと思われる。

クミシュテペに戻る

 三週間の日本滞在を終えて、クミシュテペに戻った。今回は(も?)あまりイランに戻りたくないと感じていたけれど、戻ってしまったのだから仕方がない。すっかり便利な日常に慣れたわたしは、テヘランの空港でトイレに行ったときに、さっそく「あぁ…」と思った。水洗の洋式トイレもあるものの、ペーパーはなく便座が(水で)濡れていた。イランはやはり、ちょっと別世界なのだ。
 帰りの飛行機の乗り継ぎはスムースで、テヘランの空港でもすぐにタクシーをつかまえて長距離バスのターミナルに着くことができた。ターミナルでも隣町までのバスにタイミングよく乗ることができ、いよいよ最後の帰路に就く。要所要所、ハリルに電話して運転手やその他の相手と話してもらったので、心配することはなにもなかった。
 バスはバンダルトルクメンという港町行きだったので、乗客がトルクメンばかりだった。空港からバスターミナルまでのタクシーだけは、言葉(ペルシャ語)が理解できないため異国情緒たっぷりで、少し怖い状況でもある。しかしバスに乗ったら人々が話している内容が自然と頭に入ってきて(トルクメン語)、今回は一人のおばちゃんの訛り具合で「あ、クミシュテペの人じゃないか」と分かったほどだった。ということは、わたしもクミシュテペ訛りのトルクメン語を話しているのだろう。わたしにも分かるくらい田舎っぺのアクセントだから、ちょっと恥ずかしい。
 もし外国人が一人でこの道程を辿ったとしたら、かなりスリルのある旅になる気がする。実際、ボーダさんはそれをやってのけたが、よほど旅慣れた人か異文化慣れした人でないと、難しいかもしれない。なんといっても英語が通じないし、イラン人はちょっと見怖いし、何を考えているのか分かりにくいタイプの人種だから。
 隣町のバンダルトルクメンに着くと、ターミナル(と言っても大通りに面する小さな待合室があって、バスは路肩に着けるだけ)で立ち話をしながら待っているハリルが見えた。かなり、スマートになったように見えた。兵役に就いている親戚の男の子が車を出してくれたそうだ。このあいだまで男の子だと思っていたのに、立派な青年になっていて驚く。
 家に着くとすっかり夜だったが、さっそく犬と猫が出迎えてくれた。犬はジャポン、バグティ、タロ子、ジロ子の四匹。猫はチーちゃん、ロミ夫、タイちゃん、キティ、ガウシャン、ガウシャンの子猫(1匹は出発前に死んでしまった)に加えて、三匹の新しい子猫とその母親(黒トラ)がいた。すぐに取り出せるようにして持ってきた煮干しをみんなに、ていねいにやった。気になるのはサーリジャが姿を現わさないことだが、日中台所に餌をもらいに来ていたとハリルが言うので、そのうち会えるだろうか。猫たちの状態はみんなあまりよさそうではない。痩せているし、皮膚にできものができたり、目が赤くなったりしているのもいた。ハリルは毎日餌をやっていただろうから、季節のせいだといいのだが。
 日本にいるあいだはクミシュテペのことをきれいさっぱり忘れようと思っていたので、そのとおりにして、だいぶリフレッシュできた。日本に着いてから二週間くらい時差ボケが治らなかったけれど、ウェブショップの手配以外は予定をほとんど入れず、雑用をこなしながら実家で両親と過ごしたので体調もまずまず、いい滞在だった。

桑の実

毎日、手のひらに乗るほどの量の桑の実をとっている。最初のうちは、数粒収穫できただけで大喜びしていたけれど、そのうちにいくつかのテクニックを身につけた。

去年、苗を植えたばかりの桑の木

まず第一に、桑の木に水をやること。スプリンクラーで毎日ちょろちょろと水をやったら、実の大きさが目に見えるくらい大きくなった。赤い実が色づき、まっ黒になる直前にものすごく大きくなる。水をやらないときの倍くらいに膨らむのだ。


それから、収穫してさっと洗ったら、氷水につけておく。しばらくすると、ぱさついた実もしっとりジューシーになるのだった。こうやって食べると、おいしさも4倍だ! たぶん地元の人は知らなだろうから、人には教えずに「うちの桑の実はとても大きいのよ」と自慢するつもり。

ラマダンの始まり

今週の市場では、ハリルが大量のそら豆を買ってきた。10kgくらいあったんじゃないだろうか。さやから出して茹でたら豆は4kgくらいになったと思う。



半量の処理が終わったところ

あらゆるサイトに、そら豆を茹でる場合は「切りこみを入れてから茹でるとよい」と書いてあるけれど、これだけあるとそんなことはやっていられない。




グリーンピースも少し買っていた。薄皮を剥かなくていいので、わたしはグリーンピースの方が好きだ。

生で食べるサブジ、ディル、桑の実(庭の)

あんず

あんずが出てきたので思わず買ってみたけれど、あまりおいしくなかった。熟して柔らかくなるまで待ってみて、それでもだめならジャムにしよう。
今日の夜から断食月が始まった。日の出から日没のあいだは、飲み食い禁止です。パン屋も夜11時にならないと開かない。

またもや帰れず

先日、イランのパスポートの更新に行ってきた。じつはゴールデンウィーク明けから月末まで、日本に帰るつもりでいろいろ手配していた。そしてついに、テヘラン行きの長距離バスに乗り込んだのだが… 結論としては、隣町からタクシーで帰ってきた。クミシュテペでバスの出発を待っているあいだ、イランのパスポートを見たら、なんと有効期限が切れていたのだ。わたしはイランの出入国はイラン人としてすることになっているので、これがないと出国できない。
でも実際、バスの中で失効の事実を確認したときはそう考えていなかった。日本のパスポートがあるんだから、日本に行く権利はある… などと自己中心的な考えを根拠に、強行突破できるんじゃないかと思っていた。なによりも、一度キャンセルしている日本行きなので、今回は行かなければならないという思いが強すぎたのだ。それでも隣町までに行くあいだに、空港での尋問などいろいろと考えを巡らせていて不安になってきた。ハリルに電話すると、「引き返してこい」という。「確実に準備をしてから出発した方がいい」と。それでもまだわたしは一か八かのことを考えていたけれど、今思えばとんでもないことだった。入国したパスポートでしか出国できないに決まっているじゃないか。
タクシーの運転手もパスポートは三日でできると言ったし、さっそくクミシュテペの事務所に申請に行ってきた。すると、二年前に六ヶ月以上イランを留守にしたことが問題となり、ゴルガンという大きな町の警察に行かなければならなくなった。そこはわたしがイランのパスポートを取得する際にものすごく嫌な思いをさせられた部署だったので気が重くなったが、数日後行ってみたら、驚くべきことに仕事はほぼ5分で済んだ。最悪だった役人(まだいた!)が、親切な対応をしてくれた。晴れて新しいパスポートの申請ができることになったので、その足でまたクミシュテペの警察に行って届け出た。これ以上問題がなければ、十日くらいで発行されるようだ。
そういうわけで、いつもどおり格安航空券を買っていたので、今回もまた無駄に捨ててしまった。でも手配したフライトに乗らなかったなどということは、人生で初めての経験だ。よく考えると、自分がイラン国籍を持つ者としての自覚が足りないことからくるミスだった。そして今後のイランでの人生についても、よくよく考えてしまった。ペルシャ語(イランの国語)もまったく理解していない状態でこの国に住むのは、今更ながら、あまりに心許ない。それに、少しくらいペルシャ語が分かったところで、どうにもならない不条理なことがあるのがイランだ。

もとの生活に戻るとそれなりに安心だが

しかしとりあえずは、三度目の正直の一時帰国に向けて、再び準備を始めたい。近いうちにこっそり帰って、ウェブショップを開きます。取返しのつかないくらいの赤字スタートだ~(笑)

スプリンクラー

庭の果樹に自動的に水をやるために、ホースを埋める作業を始めた。蛇口にホースをつけて、それを地中に埋めて、果樹の根元だけ地上に出し、そこに穴を開けておく。蛇口をひねると、果樹の根元だけにその小さな穴からチョロチョロと水が流れだし、水やりができるというしくみである。

点線の部分に、ホースが地中に埋まっている


オリーブの木は去年よりたくさん花をつけているので、果実の収穫量も増えるだろう。去年はたしか、10粒くらいだった。それからカボチャの種を植えたら、三日で発芽していてびっくりした。一昨年に日本から持ってきた種なのに、よく生えたものだ。


鶏はようやく順調に産卵数が増えている。毎日6~9個の卵を見つけることができるようになった。野鳥が食べてしまったり、産卵場所が隠れたところにあったりして見つからないこともあるけれど、あとでごっそり出てきたりする。毎日、洗面所に産み落とす鶏が一羽いる。猫用にシープスキンを敷いて快適に昼寝ができるような場所を作ったのだが、そこにいつも卵がひとつ落ちている。


左の端に注目


子猫たちの具合はちっともよくならない。いよいよ命に関わってくるので、むりやり牛乳を飲ませたりしているけれど、本当は母親が温めてミルクをやってくれると一番いいのだ。獣医のいないここでは、それしか方法がないというのも実のところ。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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