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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「日常」の記事一覧

市場

今週は煮込みを作ってほしいと、ハリルがサブジを買ってきた。

スフラの上でひもを解いて、汚れた部分や不要な部分を除く

きれいにした状態で、水洗いをする

ところがコリアンダーもタラゴンも、まったく香りがしないどころか、なんだか変なにおいがした。ハリルに訴えると、そういえばこれはテヘランから来たサブジだと売り手が言っていたそうだ。なぜテヘラン近郊で育ったサブジがクミシュテペで売られているかというと、安いからだそうだ。逆に、地方で育った香り高いサブジはテヘランで売られるのだそうだ。真偽のほどは分からないが、これなら買う意味がないくらいのサブジだった。タラゴンは捨てて、ゴルメサブジにするコリアンダー、イタリアンパセリ、ディル、チャイブは一応炒めておいた。


今週もトマトはひとカゴ買ってきた。これは、二人で二週間くらいで食べきる。ラタトゥイユとトマトソースを鍋いっぱいに作ったあとでも、冷蔵庫に入りきらなかった。



トマト専用の引き出し


ハリルはバイクで買物に行くのだが、大きなメロンを7個とトマト十数キロ、そのほかにも果物や野菜をたくさん持って帰ってきた。一体どうやって積んでいるのだろう? ときどき、割れたスイカやメロンを持って帰ってくるので、途中で転ぶこともあるのだろう。そういうときは、とても悔しそうにしている(果物を失ったことを)。

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自然という世界

先日、放し飼いにしていた雛(小さな鶏)が、一羽だけいなくなった。朝に晩に鶏の数を数えているのだが、ある朝、一羽足りないことに気がついたのだった。いなくなった理由については決め手となる手がかりもなく、がっかりして諦めている。
一番高い可能性としては、タローかジローが食べたということだ。断然、タローが怪しい。別の朝早く、鶏の異常な鳴き声がしたのでハリルが窓の外を見ると、タローが雛を追っていたそうだ。タローは特におとなしい性質の犬だが、ときどき鶏がたむろしている牛小屋の方に一人で向かうので、以前から観察していた。けれど、日向ぼっこをしたり、日陰を楽しんだりしている様子しか見たことがないし、これまで鶏の数は減っていなかった。あのおとなしそうな瞳の奥には、じつは悪いやつが潜んでいるんじゃないかと何度も疑ってみたけれど、やはりタローはバグティのような穏やかな性格の持ち主のように見える。それとも、わたしの見えないところで、悪いことをしているだろうか。
もう一つ気になっていることがあって、それは鶏の卵を4個回収して、その辺のカゴに置いたまま別の作業をしていたとき、家に戻ろうと思って卵を見たら、1個減っていたということがあった。誰が取ったのか、分からないままなので気にかかっている。

タローに猫は懐いている

ジローも猫に懐かれている

庭には鶏が自由に歩き回り、何羽かの鶏は卵を温め、犬も猫も好き勝手にしている。犬と猫はなかよくしているし、犬が鶏や卵を襲うこともない(ように見える)。猫は鶏を追いかけているが、おそらくそれはじゃれているだけだろう。鶏はキィキィ言いながら、バタバタと飛び上がって交わしている。そんな日常の景色を眺めているときが、穏やかで平和を感じる。しかし、わたしの知らないところで、恐ろしいことも起こっているのかもしれない。

卵を温めている鶏。なぜか2羽がくっついて共同で温めている

スイカを突いているのが雛。だいぶ大きくなった(左はコッコ)

自分の庭で起こっていることはだいたい把握しているつもりでも、思わぬところから卵がごそっと出てきたり、草むらの中でトマトが育っていたり、誰かが鶏の卵を盗んでいたりする。おそらく、わたしが分かっているつもりでいることは、実際の世界のほんの一部でしかないのだろう。小さな虫から犬猫まで、あらゆる動物や植物がそれぞれに生きようとしているのだ。

夏の宿題

8月も半ばになり、もうすぐ夏が終わってしまう… と、少し焦ってきた。まるで夏休みの宿題が進んでいない小中学生のよう。
冬のあいだは寒いのと水温が低いのとで、大がかりな水仕事ができなくなる。それで作業ができるほど暖かくなるまでじーっと待っていたはずなのに、今はどれも終わっていない。毎日暑くて、効率よく仕事をしないまま、あっというまに三ヶ月が過ぎていったのだ。しかしあと一ヶ月ほどで、巻き返さないとならない。
この夏の宿題は、二階の床の掃除とカーペットの洗濯、そして階段と寝室ドアのペンキ塗りだった。ラストスパートをかけて、やってしまおう。

床の白い粉を落とす作業です

朝と夕方の鶏の世話、庭の水やりがとりあえずこなしている日課だが、夕方は草取りをしたりして喉が渇くので、一度休憩を取って冷えた麦茶を飲むのがなによりの楽しみだ。お腹が空いていたら無花果や桃を満足するまで食べて、それからまた庭仕事に戻る。日が沈むのは、今の季節で8時くらいだろうか。そのあと、軽い夕食を食べて寝る。
 
今週買った平たい桃

ハリルは毎日、夕食にほぼ1個食べている

園芸

まったく、園芸というものは!
植物が予想を超えて育つと力をもらえるが、実際は予想に反して枯れたり、なぎ倒されたり、動物に食われたりする方がよっぽど多いのであった。そのたびに「もう、やめたい。」と思うわたしは、根気がなさすぎるのだろうか。それとも、誰か(ハリル)が植えた果樹だから、いまいちやる気が出ないのだろうか。グングン育つどころか、2~3日水をやらないと葉が枯れ落ちてしまうこの状況(連日の日照り+水やりの時刻に水圧が最低)は、やる気を削がれるよ! そう文句を言い続けたら、ハリルが給水システムを買ってきた。もちろん、買ってきた部品を繋いだり穴を開けたり埋め込んだりして自分で設置するのだが(クミコが)、それを嫌々やってなんとかなったと思っていたら、今度は水が注がれて柔らかくなった木の根元を夜のあいだに犬が掘り下げたらしく、朝起きたら桑の木が倒れていた。「まだ続けるの? もう全部諦めていいかな(=世話を放棄)?」と聞いたら、ハリルは桑の木を立て直し、暴風で倒れかけている木々を紐でくくり直した。

なんだ、この紐システムは?

この夏、庭をいじってみたわたしが知ったことは、庭のほとんどの場所は、15cmも掘ると粘土質の土でガチガチになっているということだ。これでは根が呼吸できないので、ほとんどの植物は育たないんじゃないだろうか。表面にサブジを植えることくらいはできるかもしれないが、表面だと鶏が食べてしまうし、犬や猫が糞をするために土を掻いてしまう。しかし、あらゆる場所に雑草が1メートル以上の高さに茂っていたのは、一体どういうことなんだろう。それに、自然に生えた無花果の木があんなに大きくなったのはどういうわけだろう? まったくよく分からないが、来年は、この土地に自生するような植物を選んで育てればいいんじゃないかと考えている。


たとえばタラゴン。これは草取りをした場所に生えていたので、そのままにしておいたのだが、ものすごい香りがして、なんのハーブか調べた挙句、タラゴンじゃないかと思っている。ハリルもそうだと言った(が、これはあてにならない)。

綿花

たくさん蒔いた(捨てた)綿花の種から、いくつか芽が出てきた。これもこぼれ種から生えたのを見たことがあるので、育つと思ったのだ。しかしなかなか大きくならない。今は常時カゴを被せてあるので鶏に食べられていないけれど、それを取るとたちまちつまみ食いされてしまう。背丈がカゴより高くなったとき、そこで終わりかもしれない。

オシロイバナ

オシロイバナも、雑草の下に生えていたのを残したものだ。二株くらいは別の場所から移植して、成功した。鶏はここにはノータッチだが、水をやった後でそこで砂浴びをしているし、猫がトイレにしている。ときどき茎が折れているが、さすがオシロイバナ、すぐに新しい葉を出して盛りかえしている。


この花も雑草のように生えてくるもので、朝だけ花が開く。すてきなので、種を取って土に植えてみたのだが、まだ芽は出てこない。

名前が分からない砂漠の花。こういうのが庭に咲き乱れていたら楽しいだろう


これは日本のカボチャの種をまいて、二株だけ出てきたところ。今ようやく花が咲き始めたので、実がなるかどうかは怪しいところだ。
そして今日もわたしは果樹や草木に水をまくだろう。地元のブルーベリーがやたらに繁殖して、その実は鶏が食べるのにちょうどいいので、昨日からそれにも水やりを始めた。

発酵食品など

最近ハリルは、あるトルコ人女性のインスタグラムを見るのに夢中になっている。彼女はどこか地方に住んでいて、自家製の野菜などを使っていろいろな料理を作り、それらを販売しているようだ。昔ながらのやり方であらゆるものを作っているので、ハリルの興味をひくのだろう。彼自身は、料理のコツを祖母から教わったそうだ。
そして先週、そのうちの一つを試作していた。レシピは公開されていないものの、ハリルは彼女の書いた文章からそれを想像して作ったそうだ。それは、ヨーグルトで漬けたピクルスのようなものだった。しかし小さなガラス瓶に対するハリルの作業がワイルドすぎて、うまくいっているようには見えなかったので、今週は同じ材料でわたしが詰めてみると申し出た。


材料はスズメ(水切りヨーグルト)、ヨーグルト、牛乳、パプリカ、唐辛子、塩。ヨーグルトをさらに発酵させて、パプリカのピクルスにするようだ。ハリルはパプリカを半分に割って、そこにスズメを詰めたものを瓶に入れ、上からガシガシ押していた。わたしは最初からパプリカを四等分し、内側にスズメを塗って、ひとつひとつていねいに瓶に詰めていった。そうすれば、使うパプリカの量を増やすことができる。



3~4日後

今回は唐辛子と塩が足りなかったようで、マイルドな味になってしまった。来週は、それらの量を増やして再挑戦したい。しかしオリジナルの味が分からない料理ほど、作るのが難しいものはない。
毎週、夏野菜をたくさん買ってくるので、ラタトゥイユを頻繁に作る。夜の軽い食事に、これを温めてポーチドエッグを添えて食べている。





あいかわらずトマトソースのパスタもよく食べている。ほとんどベジタリアンになってきた。


最後に、チャルというラクダの発酵乳。夏はこれをよく飲む。近所にラクダを飼っている人がいるので、最初は彼から発酵乳を買ってくる。すべてを飲み切ってしまう前に、温めた牛乳を足して、温かいところに置いて発酵させたら、また冷やして飲む。ラクダの乳はかなり滋養があるようだが、そばにラクダがいない地域では手に入れるのは難しいだろう。味はうまく説明できないけれど、発酵乳なのでシュワシュワしている。ありがたいものを思って味わうので、おいしい気がするのだった。

ロミ夫と昼寝

フルーツマフィン

義母の家には、今は亡き義父が植えた大きな無花果の木があって、採っても採っても食べきれないくらいの実を毎年つけている。今年も熟してきたので採りに来いと言われていたものの、このところ、わたしは家を出ないことに決めているので諦めていた。しかし姪っ子のオグルグルがもいでくれるようで、牛乳を受け取りに行くハリルが無花果も持って帰ってくれる。そこで今日は、オグルグルにかわいいお菓子を焼いてお返しにしようと、やってみた。


てっぺんに無花果を乗せた小さなマフィンを焼こうと思いついたのだ。難しいことはせず、でもちょっと魅力的なものにしたかったので、おおむね成功か。試しにと思って焼いてみたけれど、これはこのままオグルグルにあげてしまおう。


アイシングをしてもっとかわいくしたいと思ったのだが、粉砂糖が手に入らないし、素朴な路線を保った方がいいかもしれない。24個のマフィン型はクミシュテペ用にと思って日本で買った。しかしオーブンの形が円形なので焼き具合にむらがあり、最後の方は最初に取り出したマフィンの残りが焦げ始めてそのにおいが立ち込める。どうしたものか、悩ましい問題だ。
ところで、どうしてわたしが外出しないことにしているかというと、歩いていて「チーニー」などと冷やかされることが絶えないのと、人にジロジロ見られることに耐えられなくなったからである。そんなことは以前から同じくあったが、なぜ今回また嫌になってしまったのだろう。気候のせいか、人が多く外に出ているために頻度が上がったからかもしれない。それと、何年ものあいだに親戚や色々な人との関係で嫌な思いをしたことが積み重なって、うんざりも限界を迎えたのだろう。とぼとぼ歩いているあいだに、あからさまに噂話をする人がいるし、たむろっている人たちの遠慮のない一斉の視線が耐えがたいのだ。最近では、たむろしている人たちの3メートルくらい手前からおもむろにそっぽを向いて(わたしが)、通り過ぎたら顔をまっすぐに戻す… というような具合だった。もちろん、外出時にサングラスは外したことがない。それで自転車を買ってくれるようハリルに頼んでいるのだが(自転車なら通り過ぎる時間が短くなる)、クミシュテペではそう簡単に手に入るものではないようで、未だに買えていない。昨日も、修理して用意してくれているのが一台見つかったとのことでハリルが見に行ったけれど、「試乗したらブレーキもないし、ボロすぎて機能していなかった」と帰ってきた。「ゴミでもかき集めてお金にしようとしている」とハリルは言っていた。
とにかく、無花果も諦めるくらい外を歩きたくないので、自転車は必要だ。手に入ったところで、乗って出かけたら「クミシュテペ初の女性自転車乗り」ということでさらなる視線を集めそうだが、疾風のごとく駆け抜けるつもりなので、そちらの方がましだろう。しかしその視線も憧れではなく、蔑み(女で外国人のくせに自転車に乗っている)または妬みなので、日本のみなさんはどうか誤解のないようお願いいたします。


Instagram にも写真を載せています!

小さな収穫

今日はミニトマトの収穫があった。これだけまとめて採れるのは、最初で最後かもしれない。水もほとんどやっていないし、鶏が茎を折りまくるので、苗たちは無残な姿になっている。それでも実を赤くしてくれて、ありがたい。


それから卵も順調に採れ始めた。しかし夏場は人が卵を買わないらしく、いまだに買い手がついていない。自分で市場を開拓できず、ハリルも人脈がないので、せっかく育てたのに収入にならずにもどかしい。今日はナーセルに電話して、買い手を探してもらおうと企んでいる。

一つだけ巨大な卵があってびっくり。誰かが雄鶏の卵だと言って笑えた


義母の家から無花果も届いた。今年は初めてだ。隣の家の無花果も、折を見てはもいでいるのだが、今朝はひとつだけもいでちょっとした場所に置いておいたら、目を離した一瞬のあいだに鶏に横取りされた。ものすごい嗅覚だ。

今週の野菜

今週のメロンとスイカ

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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