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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「日常」の記事一覧

夏野菜

 あいもかわらず、青果爆買いの夏がやってきた。スイカ、トマト、きゅうり、じゃがいも、キャベツなど、量が計れないほどある。ハリルは家畜や家禽のことを第一に考えて買物をしているようだ。わたしが渡した人間用の買物リストに加えて、傷んだものも混ざった野菜を大量に運んできた。トマトなんか、100キロくらい買ったんじゃないだろうか。

じゃがいもを洗って南庭に運ぶ用意をするハリル

毎日ハリルを手伝う甥

さっそくトマトを選り分けて、潰れたものを鶏にやった

 台所では、わたしが果物と野菜の処理。日差しの強い中、露店で売られているので、買ってきたものはまず水に入れて冷やさないと冷蔵庫に入れることができない。




 どうする、これだけのトマト。慌てて庭に吊るしてあるニンニクを取りに行き、タラゴンを摘んできて、トマトソースを煮た。

にんにくは潰すだけ

道端に生えているタラゴン


 5リットルの鍋いっぱいに煮ても、3回分の食事にしかならない。今週はもうひと鍋、煮る必要がありそうだ。

冷蔵庫に押し込んだトマトときゅうり!

プラムジャムとプルニ(牛乳のライスカスタード)

さらに運ばれてきたスイカ。今週は25個も買った…

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縫いもの

まくらカバーと敷布団カバーを新調しようと思い、市場の露店で布地を買った。事前に縫うものの大きさを計算して、何メートル買えばいいのか決めていったのだが、売り手のおじさんが布地の幅を大まかに言うもんだから、結局計算が合わなかった。2メートル巾だと言う布は計ったら190cmで、洗った後は184cmになったので、4つできるはずの枕カバーが3つしかできない。

裁縫ノートより

しかも半分に折って巻かれていた生地は、日焼けしたのか、広げてみると真ん中の色が落ちて白っぽい線が入ったように見える。敷布団の生地も、3.5メートルと言ったらおじさんはぎりぎりの長さを斜めに切ったので、20cmくらいは捨てである。せめて日焼けのものを買わないように、次からは商店街の店で買おうと心に決めた。じつは以前にもそう思ったのに、何年か経つと忘れてしまうという、ボケっぷり。


枕カバーは、イケアの商品に倣って折り込む部分もつけた。50×60cmのカバーを縫うために、布は50×140cmくらいに断裁した。


できあがり。手前は古い敷布団カバー。おそらくナーセルの奥さんが縫ったものだが、長年酷使したのでつぎはぎをするくらいボロになっていた。この布は、猫用におさがりする。
次は枕本体のカバーを新調しなければならない。袋状に縫って、中身(野鳥や鶏の羽)を詰め直したら口を縫って綴じるのだが、羽を扱う作業が面倒なのでつい後回しにしてしまう。

カスピ海

 カスピ海まで出かけてきた。うちから海までは多く見積もっても5キロくらい、それほど遠くないのだが、海が小さくなっているのか、水際が以前より後退しているようにみえた。というより、浜辺の手前にあったはずの水がなく、かなり乾いていたのである。
 前回、浜辺まで歩いて行ったのは五年前だ。そのときも、「こどもの頃は、この辺も水が胸のところまであった」とジェリルが教えてくれた場所は、足首が漬かる程度にしか水がなかった。海も魚が減っているそうだし、砂漠に作ったエビの養殖場のせいで海水も減っているのだろう。カスピ海は周辺の五ヵ国がそれぞれ勝手に利権を主張しているようなので、アラル海のように消滅する運命にあるのかもしれない。
 今回は行けるところまでバイクで行き、そこから歩いた。地面はぬかるんでいなかったので、靴を脱がずに海に到達することができた。道中の景色は前回ほど鮮やかではなかったと感じたが、それでも人が触れていないからか、驚くほど美しい色だった。その美しさも、数年後にはなくなってしまうだろう。そう思うと暗い気持ちになったが、ハリルは「いずれにしても、これだけの自然がまだ自分たちには残されている」と言っていた。

ハリルの郷愁を誘う場所




来たー! カスピ海



 こんなに近くにいるのに、五年に一度しか来ないとは。今度はお茶を持ってきて、ここで朝食をとるかもしれない。

水曜市場

 クミシュテペで毎週開かれる、水曜市場。ひさしぶりに野菜や果物を買いに出かけた。一時帰国のあとでは、何をしてもクミシュテペを新鮮に感じることができる。いつもはピリピリしているこどもたちとのすれ違いも、今日は余裕を持って構え、笑顔すら見せることができた。

サワーチェリー

プラム

 さっそくプラム、桃、サワーチェリーのジャムを煮る。サワーチェリーは種が入ったまま煮て、食卓で果実をしゃぶったあとに種を出すのだ。

鍋に果物を入れ、砂糖をまぶしてしばらく置いてから煮る

桃ジャムとサブジ

サワーチェリーとプラム。シロップは飲みものにする

焼き立てパンは、パン屋で

 水曜市場では、衣服や生地などを売る屋台が集まっている通りがあるのだが、そこで生地の買物をした帰り、かわいいお土産を見つけて買った。

トルクメニスタンで作られた、ラクダの置物キーホルダー。ラクダの毛で編まれている

Mr. ジャールー

 日本から持ってきたもので、今回一番大事だったのが、これ。

ロボット掃除機!

 これを買ったのは、たしか去年の秋だ。どうしても欲しいという思いが募り、ネットショッピングして日本の実家に送ってあったのが何ヶ月も経て、ようやくクミシュテペの自宅へ到着した。
 トルクメンの家は一般的に、人が集まる居間には絨毯と壁に立てかけるタイプのクッションだけが置かれ、家具はほとんどない。人が来ると、絨毯の上にスフラ(テーブルクロス)を敷いて、お茶を飲みながらくつろぐのだ。うちのサロンも、ダイニングテーブルとハリルのデスク以外は床なので、ロボット掃除機がうまく機能すると思っていた。実際、使ってみるとこれほどすばらしい機械はないというくらい、満足している。




こどもたちが釘付けになった

 問題点があるとすれば、サロンが大きすぎて(60平米くらいか)三回くらいかけないときれいになりきらないことと、掃除機が玄関のたたきに降りていってしまうことだ。ガタン! と一段飛び降り、そこを掃除したらまた一段飛び降りてしまう。一番下は靴を脱ぐ場所で砂が多いので掃除機をかけたくないのに、そこまできれいにして今度は登れないままうろうろしているのだ。落下防止の機能があるはずなのに、そんなオペレーションをする。


 ロボット掃除機の名前は、ミスター・ジャールー。ジャールーはペルシャ語で掃除機を意味するようだ。たまたま覚えていたので、テヘランの空港で調べられたときに、その単語を言って説明することができた。称号がミスターなのは、掃除機がけを男性にさせたいという潜在的欲求の現われと思われる。

クミシュテペに戻る

 三週間の日本滞在を終えて、クミシュテペに戻った。今回は(も?)あまりイランに戻りたくないと感じていたけれど、戻ってしまったのだから仕方がない。すっかり便利な日常に慣れたわたしは、テヘランの空港でトイレに行ったときに、さっそく「あぁ…」と思った。水洗の洋式トイレもあるものの、ペーパーはなく便座が(水で)濡れていた。イランはやはり、ちょっと別世界なのだ。
 帰りの飛行機の乗り継ぎはスムースで、テヘランの空港でもすぐにタクシーをつかまえて長距離バスのターミナルに着くことができた。ターミナルでも隣町までのバスにタイミングよく乗ることができ、いよいよ最後の帰路に就く。要所要所、ハリルに電話して運転手やその他の相手と話してもらったので、心配することはなにもなかった。
 バスはバンダルトルクメンという港町行きだったので、乗客がトルクメンばかりだった。空港からバスターミナルまでのタクシーだけは、言葉(ペルシャ語)が理解できないため異国情緒たっぷりで、少し怖い状況でもある。しかしバスに乗ったら人々が話している内容が自然と頭に入ってきて(トルクメン語)、今回は一人のおばちゃんの訛り具合で「あ、クミシュテペの人じゃないか」と分かったほどだった。ということは、わたしもクミシュテペ訛りのトルクメン語を話しているのだろう。わたしにも分かるくらい田舎っぺのアクセントだから、ちょっと恥ずかしい。
 もし外国人が一人でこの道程を辿ったとしたら、かなりスリルのある旅になる気がする。実際、ボーダさんはそれをやってのけたが、よほど旅慣れた人か異文化慣れした人でないと、難しいかもしれない。なんといっても英語が通じないし、イラン人はちょっと見怖いし、何を考えているのか分かりにくいタイプの人種だから。
 隣町のバンダルトルクメンに着くと、ターミナル(と言っても大通りに面する小さな待合室があって、バスは路肩に着けるだけ)で立ち話をしながら待っているハリルが見えた。かなり、スマートになったように見えた。兵役に就いている親戚の男の子が車を出してくれたそうだ。このあいだまで男の子だと思っていたのに、立派な青年になっていて驚く。
 家に着くとすっかり夜だったが、さっそく犬と猫が出迎えてくれた。犬はジャポン、バグティ、タロ子、ジロ子の四匹。猫はチーちゃん、ロミ夫、タイちゃん、キティ、ガウシャン、ガウシャンの子猫(1匹は出発前に死んでしまった)に加えて、三匹の新しい子猫とその母親(黒トラ)がいた。すぐに取り出せるようにして持ってきた煮干しをみんなに、ていねいにやった。気になるのはサーリジャが姿を現わさないことだが、日中台所に餌をもらいに来ていたとハリルが言うので、そのうち会えるだろうか。猫たちの状態はみんなあまりよさそうではない。痩せているし、皮膚にできものができたり、目が赤くなったりしているのもいた。ハリルは毎日餌をやっていただろうから、季節のせいだといいのだが。
 日本にいるあいだはクミシュテペのことをきれいさっぱり忘れようと思っていたので、そのとおりにして、だいぶリフレッシュできた。日本に着いてから二週間くらい時差ボケが治らなかったけれど、ウェブショップの手配以外は予定をほとんど入れず、雑用をこなしながら実家で両親と過ごしたので体調もまずまず、いい滞在だった。

桑の実

毎日、手のひらに乗るほどの量の桑の実をとっている。最初のうちは、数粒収穫できただけで大喜びしていたけれど、そのうちにいくつかのテクニックを身につけた。

去年、苗を植えたばかりの桑の木

まず第一に、桑の木に水をやること。スプリンクラーで毎日ちょろちょろと水をやったら、実の大きさが目に見えるくらい大きくなった。赤い実が色づき、まっ黒になる直前にものすごく大きくなる。水をやらないときの倍くらいに膨らむのだ。


それから、収穫してさっと洗ったら、氷水につけておく。しばらくすると、ぱさついた実もしっとりジューシーになるのだった。こうやって食べると、おいしさも4倍だ! たぶん地元の人は知らなだろうから、人には教えずに「うちの桑の実はとても大きいのよ」と自慢するつもり。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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