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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「日常」の記事一覧

無花果

隣の家との境に生えた無花果の木。壁が壊れるのを危惧してうちは早々に切ったのだが、その根が隣の家に枝を出した。隣の家はそのまま放置し、それからまだ2~3年しか経っていないはず。しかし今はこんなに立派な木になっている。


わたしは毎日ここで犬猫の餌を作っている。今日はふと見上げると、黒い無花果の実が目に入った。クミシュテペでは緑色の小粒な無花果が標準的なので、たくさん実がついているこの木もそうだろうと思っていたのだが、どうやら日本のように黒い(皮が紫色の)もののようだ。大きくなって熟すと、黒くなり、食べごろになるのだろう。


初収穫。もちろん、うちの敷地内に垂れた枝だけでなく、お隣さんの側の実も盗んだ。とってもおいしい、自然の味がする。


まだまだ生えているけれど、これまで無花果にまったく関心を示さなかった隣の家は、果実を収穫するのだろうか。とにかくうちを目の敵にし、細かいことで文句を言ってくる奥さんなので、なにをするか分かったもんじゃない。こちら側の枝を落とされたりしなければいいのだが。まさかと思うが、疑心暗鬼で色々と想像してしまう。このあいだは犬の餌を煮ていたら、「臭いが来るからあっち側でやれ」と怒鳴ってきた。つい、言い返してしまったが、無視すべきだったと反省。

続々成長中

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暑いです

毎日とても暑い。日中は外に出られないほど暑く、周りの人もみな寝ているのか、音も声も聞こえてこない。そういうわたしも朝食の片づけが済むと「さあ、仕事にかかるぞ!」と思いつつ、いつも横になって爆睡している。

動物たちも日陰を探すのに必死だ

タロー

タローは、ジローに比べて落ち着いた性格で、頭がいいようだ。鎖に繋がれれば無駄な抵抗はしないし、お座りもできる。しかし餌をやるとたくさん食べて、それをどこかで吐き出して埋める癖には笑ってしまう。それは犬の習性だろうけど、タローは子犬でもらわれてきたときから、いつもそれをやっている。

ジロー

ジローは落ち着きがなく、人や犬が来るとやたらに吠えるし、近所から靴を持ってきておもちゃにしてしまう。これは困る。それからとびきり臭いゴミを持ってきて、食べたりする。おむつを二日連続で持ってきて、庭でボロボロにしたときは泣きたくなった。だから毎晩繋ぐようにしているのだが、翌朝自由にすると、喜びのあまりまた狩りに出かけてしまう。
しかしこの二匹は、ゴミのように捨てられたところを拾ってきて大事に育てているので、わたしに懐いているし、本当にかわいいこどもたちのようだ。

猫も伸びている



サバが三匹泳いでいます

暑いとイチジクが熟す

雨は降ったが

果たして、二日連続で雨は降った。しかし結論から言うと、飲み水としての雨水を溜めることはできなかった。一日目は10分ほどの強雨。二日目は一日中しとしとと降りつづく静かな雨だったのだが、よほど屋根が汚れていたのだろう。いつまで経っても水が透明にならなかったのだ。

試しにドラム缶に溜めてみる

この黒い水よりは白い水(水道水)の方がましだろう…

何ヶ月も雨が降らなかったので、当然といえば当然だ。大気中にも砂や埃が舞っているだろうし、今回の雨量では大きな屋根も洗いきれなかったのだろう。
しかし望みをかけて最善を尽くしたので、諦めがついた。いずれにしても3~4ヶ月後には降るだろうし、今年の夏は水道水を飲んで過ごすしかない。
ところでこの春に生まれた子猫たちにとっては、雨は初めての体験だった。ザーッと降りだしたとき、多くはパニックに陥ったようだ。走って大きな猫のあとを追ったのはいたかどうか。わたしが見ていた数匹は、地面にうずくまって丸くなり、雨に打たれるがままになっていた。子犬たちは、ジャポンやバグティが牛小屋に逃げていくのを真似していたので、安全な場所を見つけるのに時間はかからなかったようだ。子猫たちは、屋根の存在をこれから意識することになるだろう。

二日目の静かな雨のときは、玄関の横に集まっていた

それにしても、今回の雨でクミシュテペ全体がきれいに掃除されて、さっぱりした感じだ。うちの庭も、緑に降り積もった砂が洗われたし、イチジクの木もきれいになった気がする。庭の一角に撒いて(捨てて)おいた綿花は、芽が出てきたようだ。開花まで無事に育つかどうか怪しいものだが、花壇になってくれるとうれしいので、気をつけて見守ろうと思う。

イチジクの木

何年か前、隣の家と接する壁際にイチジクが生えてきた。どこからか種が飛んできたのか、うまいこと育った。しかし背が高くなるに連れて「このままだと壁や排水管が割れるな」と予想できたので、残念ながら根こそぎ切ったのだった。
しかし根は生きていたのだろう。しばらくすると、その木は壁を超えたお隣さん側にニョキニョキと育っていた。ちょうど牛小屋の後ろの空間に生えたので、隣の家は放っておいたのだと思う。それが何年も経った今は、巨木となってしまった。


ご覧のとおり、イチジクの木はお隣さんのものだ。壁を超えてうちの庭にも枝がかかっているので、その枝についた実はうちで食べていいはずだ。しかし問題は、壁である。


明らかに木の成長する圧力で、ひびが入ってきた。放っておいたら壁が崩壊するだろう。ハリルに頼んでお隣さんに言ってもらったら、予想どおりの返答だったのだが。つまり、

ハ:「イチジクの木が大きくなりすぎて、壁が壊れそうだよ」
隣:「あんたんちから来たものだろ」
ハ:「うちは切ったよ。お宅も切ってくれよ」
隣:「うちは植えていないぜ」

こういったやりとり。「壁が壊れちゃうよ、どうする?」とハリルの顔を見たら、「壁は壊れたらいいさ、イチジクを食べよう」などと言っている。




実はたくさんなっている。こうなったら、お隣さんの分まで採って(盗って)食べようと思う。お隣さんは家畜を飼っていてよく出入りするので、彼らが昼寝をする時間帯を今から探っておこうっと。

トマト畑

今年も、ミニトマトがあちこちに生えてきた。こぼれた種が運よく発芽して、育ったようだ。最初はそれらを植え替えて、一ヶ所にトマト畑を作ろうと思ったのだが、結局は三ヶ所ほど、生えてきた場所でそのまま大きくしようとしている。
庭に牛や羊はいなくなったものの、まだ子犬や猫、鶏がいるので、トマトのような背の低い植物を育てるのは難しそうだ。今のところ、オリジナルの支柱と鶏除けでなんとか対応している。


家禽小屋の前の牛糞を積んでいた場所に、トマトや地元のベリーが生えてきた(ベリーは鶏が食べるものだとハリルが言っている)。竹の棒が乱立しているあたりに4株ほど、トマトがある。


苗をカゴでブロックする前は、鶏がトマトの根元を掘り起こしたり(なぜだろう?)、枝を折ったりしていたが、今は少しマシになった。手前の苗は、根元から掘り出されてしまい、逆さまになって白い根っこが見えていたのだが、すぐに植え直したのでなんとか復活しそうだ。それにしても、トマトはよほど丈夫な植物なのだろう。こんな状況でもちゃんと実をつけている。


これは、トマトの脇に生えてきたカボチャ。種をばらまいたままで水やりをしなかったのに、二つだけ芽が出てきた。しかし一つはトマトの根元に生えたので、鶏が食べてしまった。


おととしだったか、畑を失敗したコンクリ塀の中にも4株、トマトが生えている。この囲いの中は、土の下もコンクリなので、土をもっとたくさん盛らないと植物は育たないだろう。トマトの下も5センチくらいしかなかったので、土を足しておいた。



こちらもオリジナルの支えを施した。あまりにしょぼいトマト畑ですみません。しかし今年は、プチトマトらしい果実の房がついている上に、昨日初めてそれが赤くなってきた。

これは収穫できるでしょう!

オリーブの実も、落ちることなく成長している。たくさんある木の中でたった1本しか実がつかなかったが、その1本にはけっこうな数がぶら下がっている。



しかしこの小さい粒はオリーブの実になるんだろうか? 直感的には、大きいものが収穫できて、小さいのはこのままのような気がする。そうだとすると、収穫量はかなり少ないだろう。
貧相なトマト畑でも、今年は適度に世話をして満足していたのだが、昨日ひょんなことからお向かいさんの庭を覗いたら、大きなミニトマト(笑)の苗がワイルドにわんさか生えていて、赤い実がいくつもなっていた。なんだか急に残念な気持ちが湧いてきた…。そういう運命なのか? それでもめげずに、わたしは自然発生農園を続けよう。

庭の真ん中、オリーブの陰にも生えていたトマト

市場

今日はどうしても買いたいものがあって、市場に行ってきた。それは、タローとジローを繋ぐための鎖だ。


市場に出ているこの店で、鎖と鎖の先につけて首輪に繋ぐための金具を買った。大きくなったタローとジローは、ジャポンとバグティについて砂漠の方に出かけてしまうようになったし、夜はどこからか靴や服を持ってきてはガリガリ噛んでダメにする習慣がついてしまったので、夜だけ庭に繋いでおきたいと思っている。


トルコ製で、1個140円くらいだと思う。鎖は、6メートルを買い、2匹分なので半分に切ってもらった。


左下に映っている鎖より、大きいものを買った。かなり重いので、これを引きずって歩くのは子犬にとってはきついと思う。写真のとおり犬用の首輪も売っていて、1個100円くらいだった。ハリルが「売っているじゃないか。なんで日本で高いのを買ったんだ?」というので、それは(わたしのセリフだよ)と思ったが、「あなたがクミシュテペで買ってくれないからでしょ!」と言っておいた。
その他に、この店にはこんなものも売っている。


日本人にはその用途が分からないものも多いが、すべてのものがトルクメンの生活において欠かせない道具のはずだ。この店で、チャッカマンも買った。この買物をした後、ハリルはバイクで家に帰り、わたしは歩いて写真を撮った。

イスラムグッズを売る店

金物屋

ディジーを作るアフガンの圧力鍋だそうだ

スイカを売るおじさん(じつはハリルの弟ユスフ)

メロン

スモモやネクタリン

メロン

プラムとバナナ

さくらんぼ、アンズその他

イランの果てのこの市場でも、これだけの果物が手に入る。やはりイランは果物王国だ。帰り道、近所の家の庭にもモモやイチジクなどがなっているのが見えた。



もうすぐ熟すね

じつは今年は、うちの庭でもイチジクが収穫できそうだ。ちょっと訳ありのイチジクなので、別途また報告したいと思う。

しあわせとは

自分の手帳を整理していたら、四葉のクローバーが出てきた。そういえば日本にいるときに、田んぼの脇で大きなのを見つけて、本に挟んで押したものを持っていたのだった。


手帳の整理は断捨離の一環だったのだが、どうしてわたしはいつも四葉のクローバーを探しては持ち帰り、本や辞書に挟んでいるのか、ちょっと考えてみた。単純に、しあわせになりたいと考えていて、「四葉のクローバーを持っているとしあわせになる」とこどもの頃から信じていて、その習慣を今でも手放さずにやっていたのだろう。そう思ったら、「四葉のクローバーを挟んでいてもしあわせにはならないから!」と自分でツッコミを入れると同時に、しあわせを願ってクローバーを摘んでいる自分がちょっとかわいいね、と思ったのだった。
でも、このクローバーは捨てた。上の事実を確認できたことで、要らなくなったのだ。これからもしあわせを願えばいいけれど、クローバーを摘んで持ち歩かなくてもそれはできそうだから。
クミシュテペに移住して五年が経ち、何事もうまくいかない状況が継続的にあり、資産も減る一方だ。スウェーデンにいた頃にハリルと描いていた「砂漠での暮らし」とはまったく異なる未知の世界を歩いてきたような感じで、ふと「これでいいのだろうか?」と考えることが増えてきた。いろいろな事情により、ひと言で言って「不毛」な場所であるため、将来の見通しが立たないどころか、お先真っ暗にも見える。しかし日々、そのときを生きている実感は強くあるし、空気や食べるものは最高で、暑さや虫による不快な状況があるにもかかわらず、夜は熟睡できて夢すら見ることがない。これはしあわせな人の生活といっていいのだと思う。
先日、スウェーデン時代に仲の良かった友人と連絡を取ったら、彼女は病気で仕事を休んでいると言っていた。ブラジル出身の彼女は、サンパウロで弁護士をしていたのだが、スウェーデン人の夫の転勤を機にカナダへ移住、その後スウェーデンへ移住したのだった。しかしスウェーデンで弁護士になる道は険しすぎたようで、彼女は調理のコースを取って学び、わたしがイランに移住した頃にはコックとして働くようになった。ホテルのレストランで順調に働いていたと思っていたのだが、去年は新しい上司とうまくいかず、ストレスで体調不良となってしまったそうだ。それでもスウェーデンという社会は日本と違い、そういう場合は休みを取って病気をケアする施設に通うことができる。もちろん、国がその費用を補助してくれる。そして彼女は、夏からは製菓のコースを取り、一年間勉強する予定だと言っていた。それも、国が費用を補助してくれる。体調を崩しても、ケアをした後で仕事の現場に戻ってくるための道筋がスウェーデン社会にはちゃんとあるのだ。だから、もともとタフな彼女のことだから、状況もきっといい方に向かうと思っている。
しかしその話を聞いて、思わず色々と比べてしまった。スウェーデンのように、しくみの洗練された社会に生きていても、ストレスで病気になってしまった友人。一方、腐り切った社会に住んで何事もうまくいかないけれど、健康そのものの自分。次から次へと体を使う仕事があって、精神的な病にかかっている状況にないのだ。よく食べてよく寝るからさらに健康になってしまう。日本に帰ったときに受けた健康診断では、オールA、身体測定ではからだ年齢が28歳だと結果が出た。実際に28歳だったころは東京で働いていたけれど、そのときの方がかなり年を取っていたと思う。
友人と自分を比べて、二つの社会の比較をするつもりではない。しあわせとは一体どこから来るのか、どういう状況がしあわせなのか、これを定義することはじつに難しいと思うのだ。そしてわたしは、この不毛な、ポンコツな、救いのない環境に生きる自分の暮らしも、それほど悲劇でもないのかと思い直しつつ、ひよこに餌をやりに行くのだった。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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