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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「日常」の記事一覧

パンを買いに

朝、めずらしくパンを買いに出かけた。普段はハリルに買ってきてもらうのだが、最後に道を歩いたのはいつだか思い出せないほどになったので、意を決して行ってきた。わたしはもともと出不精だが、最近のチーニ事情により、それがひどくなっている。
近所の家並みは貧しい村といった感じだと思っていたが、じっくり見ると、それなりに豊かな面にも気がついた。道路も排水溝も大体整備されている。排水溝に蓋はないけれど、溝さらいとして雇われている人もいるし、ゴミの回収も週2回ある。ゴミの行方はともかくとして、自宅付近にゴミの山があるという不潔な状況が起こることはない。
個人差はあるものの、家も塀や庭などもだいぶ整備されている。小さな路地に入ると、高い塀がある場合は稀なので、その庭もよく見える。多くの家には果樹が植えられて、今の季節、桃や梨などがたわわに実っている。貧しい感じの建物の外見と、果物の重みで垂れ下がっている樹々との対比がおもしろい。
塀と排水溝のあいだの1メートルくらいにもちんとタイルを敷いている家や、鉄で作ったゴミ置き場がある家もあった。蓋のついたカゴのようなものを鉄でこしらえて、四足をつけて、コンクリートの地面に固定する。ゴミのにおいも滞らないし、犬、猫、ネズミ、鳥などあらゆる動物がゴミを荒らすのを防ぐことができる。大体の家はゴミ袋を塀の上に置くか、レンガの塀の隙間に棒を突っ込んでそこにゴミ袋をかけるようにしているが、洗練された道具を自作する人もいるようだ。
路地にはタラゴンがたくさん自生している。密生しているそばを通るとぷうんと香って、清々しい。その他の草も生えているが、大概は散歩している羊に食べられて、草刈りをしたあとのような状態になっている。
クミシュテペは漁師の町だ。夏の強い日差しに加え、カスピ海からの風と湿気によって植物が育つことが、この町の豊かさを支えているのだろう。しかし町には産業があるわけではないので、漁師でない人は家畜を飼ったり(トルクメンはもともと遊牧民)、土方をしたりして収入を得る。それから、国からもらう生活手当のようなお金をあてにしている人がほとんどだそうだ。貧しいけれど、まだ切羽詰まってはいないのかもしれない。
貧しさを象徴するのもがあるとしたら、それは家につけられている鉄格子だ。窓と扉を鉄で厳重に覆っている家が非常に多い。泥棒はいるらしいのだが、多くの家は大家族なので誰かしら家の中にいるだろうに、それに大して高価なものは持っていないだろうに、と思うのだが、そうなっている。実際はみんな、家に金塊を貯めこんでいたりして。うちは今でも鍵をかけないことがほとんどだが、泥棒に入られるまではこのままだろうと思う。自ら進んで鉄格子の中には入ろうと思わない。

今朝の収穫パン4個。1枚16円くらい

一日中、焼きたてパンが食べられるのは、イランの豊かさのひとつだ。

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今年の夏は、毎日欠かさず庭仕事をした。そのわりに成果はないのだが、やってみたことで分かったことはあった。来年は、本格的な鶏園にするために、鶏が食べそうな草を積極的に生やし(自生している草に水をやる)、そうでない草は早めに抜いてしまおうと思う。しかし砂漠では、生える植物が毎年変わるので、来年がどうなるかは予想がつかない。きれいな野草がたくさん生える年もあれば、数えるほどの種類の草が一面を覆って終わりの年もある。今年は、なぜかうちの庭に菜の花が満開だった。

5月の庭の様子

こんな景色は初めてだったのだ。これは鶏にもいいので、来年も生えてほしいと思い、少し種を取っておいた。


勝手に生えてくるトマトは、あまり構わないようにして、地べたを這って育ってくれたらと思う。

わたしの花壇で砂浴びをする雄鶏(やめて)

わたしの花壇でくつろぐキティ(やめて)。綿花です

綿花は上手にケアすれば、鶏が食べないことが分かった。一羽が葉をつまむと他もみな真似してしまうので、背丈が伸びるまではカゴを伏せて保護するとよさそうだ。しかしこの綿花の種は収穫できるか分からないので、来年はないかもしれない。

放し飼いにした雛も大きくなっている

この鶏の後ろに生えているのが、クミシュテペのブルーベリーだ。これも今年初めて自生したので驚いている。ハリルがこどもの頃は、これを採って食べたとか。放し飼いの鶏にはほとんど餌をやっていないので、彼らはこういうものをつまんで生きている。
ところで今日、ハリルは帰ってくるなりプレゼントがあると言った。そんなものあるわけないよと思いながらも、期待に胸がドキドキしてきた。背中に隠しているので早く早くとせがむと、こんなものだった。




鉄でできたスコップ。そういえば水曜市場で買ってきてもらうようリストに書いたのだった。鉄職人に特別に作ってもらったそうだ。色も発注したとか。今使っているスコップは外側に反ってしまって困っていたのだが、これなら頑丈なので何年も使えるだろう。スコップの初仕事は、庭中に落ちている犬の糞をすくって片付けることだったけど。

市場

今週は煮込みを作ってほしいと、ハリルがサブジを買ってきた。

スフラの上でひもを解いて、汚れた部分や不要な部分を除く

きれいにした状態で、水洗いをする

ところがコリアンダーもタラゴンも、まったく香りがしないどころか、なんだか変なにおいがした。ハリルに訴えると、そういえばこれはテヘランから来たサブジだと売り手が言っていたそうだ。なぜテヘラン近郊で育ったサブジがクミシュテペで売られているかというと、安いからだそうだ。逆に、地方で育った香り高いサブジはテヘランで売られるのだそうだ。真偽のほどは分からないが、これなら買う意味がないくらいのサブジだった。タラゴンは捨てて、ゴルメサブジにするコリアンダー、イタリアンパセリ、ディル、チャイブは一応炒めておいた。


今週もトマトはひとカゴ買ってきた。これは、二人で二週間くらいで食べきる。ラタトゥイユとトマトソースを鍋いっぱいに作ったあとでも、冷蔵庫に入りきらなかった。



トマト専用の引き出し


ハリルはバイクで買物に行くのだが、大きなメロンを7個とトマト十数キロ、そのほかにも果物や野菜をたくさん持って帰ってきた。一体どうやって積んでいるのだろう? ときどき、割れたスイカやメロンを持って帰ってくるので、途中で転ぶこともあるのだろう。そういうときは、とても悔しそうにしている(果物を失ったことを)。

自然という世界

先日、放し飼いにしていた雛(小さな鶏)が、一羽だけいなくなった。朝に晩に鶏の数を数えているのだが、ある朝、一羽足りないことに気がついたのだった。いなくなった理由については決め手となる手がかりもなく、がっかりして諦めている。
一番高い可能性としては、タローかジローが食べたということだ。断然、タローが怪しい。別の朝早く、鶏の異常な鳴き声がしたのでハリルが窓の外を見ると、タローが雛を追っていたそうだ。タローは特におとなしい性質の犬だが、ときどき鶏がたむろしている牛小屋の方に一人で向かうので、以前から観察していた。けれど、日向ぼっこをしたり、日陰を楽しんだりしている様子しか見たことがないし、これまで鶏の数は減っていなかった。あのおとなしそうな瞳の奥には、じつは悪いやつが潜んでいるんじゃないかと何度も疑ってみたけれど、やはりタローはバグティのような穏やかな性格の持ち主のように見える。それとも、わたしの見えないところで、悪いことをしているだろうか。
もう一つ気になっていることがあって、それは鶏の卵を4個回収して、その辺のカゴに置いたまま別の作業をしていたとき、家に戻ろうと思って卵を見たら、1個減っていたということがあった。誰が取ったのか、分からないままなので気にかかっている。

タローに猫は懐いている

ジローも猫に懐かれている

庭には鶏が自由に歩き回り、何羽かの鶏は卵を温め、犬も猫も好き勝手にしている。犬と猫はなかよくしているし、犬が鶏や卵を襲うこともない(ように見える)。猫は鶏を追いかけているが、おそらくそれはじゃれているだけだろう。鶏はキィキィ言いながら、バタバタと飛び上がって交わしている。そんな日常の景色を眺めているときが、穏やかで平和を感じる。しかし、わたしの知らないところで、恐ろしいことも起こっているのかもしれない。

卵を温めている鶏。なぜか2羽がくっついて共同で温めている

スイカを突いているのが雛。だいぶ大きくなった(左はコッコ)

自分の庭で起こっていることはだいたい把握しているつもりでも、思わぬところから卵がごそっと出てきたり、草むらの中でトマトが育っていたり、誰かが鶏の卵を盗んでいたりする。おそらく、わたしが分かっているつもりでいることは、実際の世界のほんの一部でしかないのだろう。小さな虫から犬猫まで、あらゆる動物や植物がそれぞれに生きようとしているのだ。

夏の宿題

8月も半ばになり、もうすぐ夏が終わってしまう… と、少し焦ってきた。まるで夏休みの宿題が進んでいない小中学生のよう。
冬のあいだは寒いのと水温が低いのとで、大がかりな水仕事ができなくなる。それで作業ができるほど暖かくなるまでじーっと待っていたはずなのに、今はどれも終わっていない。毎日暑くて、効率よく仕事をしないまま、あっというまに三ヶ月が過ぎていったのだ。しかしあと一ヶ月ほどで、巻き返さないとならない。
この夏の宿題は、二階の床の掃除とカーペットの洗濯、そして階段と寝室ドアのペンキ塗りだった。ラストスパートをかけて、やってしまおう。

床の白い粉を落とす作業です

朝と夕方の鶏の世話、庭の水やりがとりあえずこなしている日課だが、夕方は草取りをしたりして喉が渇くので、一度休憩を取って冷えた麦茶を飲むのがなによりの楽しみだ。お腹が空いていたら無花果や桃を満足するまで食べて、それからまた庭仕事に戻る。日が沈むのは、今の季節で8時くらいだろうか。そのあと、軽い夕食を食べて寝る。
 
今週買った平たい桃

ハリルは毎日、夕食にほぼ1個食べている

園芸

まったく、園芸というものは!
植物が予想を超えて育つと力をもらえるが、実際は予想に反して枯れたり、なぎ倒されたり、動物に食われたりする方がよっぽど多いのであった。そのたびに「もう、やめたい。」と思うわたしは、根気がなさすぎるのだろうか。それとも、誰か(ハリル)が植えた果樹だから、いまいちやる気が出ないのだろうか。グングン育つどころか、2~3日水をやらないと葉が枯れ落ちてしまうこの状況(連日の日照り+水やりの時刻に水圧が最低)は、やる気を削がれるよ! そう文句を言い続けたら、ハリルが給水システムを買ってきた。もちろん、買ってきた部品を繋いだり穴を開けたり埋め込んだりして自分で設置するのだが(クミコが)、それを嫌々やってなんとかなったと思っていたら、今度は水が注がれて柔らかくなった木の根元を夜のあいだに犬が掘り下げたらしく、朝起きたら桑の木が倒れていた。「まだ続けるの? もう全部諦めていいかな(=世話を放棄)?」と聞いたら、ハリルは桑の木を立て直し、暴風で倒れかけている木々を紐でくくり直した。

なんだ、この紐システムは?

この夏、庭をいじってみたわたしが知ったことは、庭のほとんどの場所は、15cmも掘ると粘土質の土でガチガチになっているということだ。これでは根が呼吸できないので、ほとんどの植物は育たないんじゃないだろうか。表面にサブジを植えることくらいはできるかもしれないが、表面だと鶏が食べてしまうし、犬や猫が糞をするために土を掻いてしまう。しかし、あらゆる場所に雑草が1メートル以上の高さに茂っていたのは、一体どういうことなんだろう。それに、自然に生えた無花果の木があんなに大きくなったのはどういうわけだろう? まったくよく分からないが、来年は、この土地に自生するような植物を選んで育てればいいんじゃないかと考えている。


たとえばタラゴン。これは草取りをした場所に生えていたので、そのままにしておいたのだが、ものすごい香りがして、なんのハーブか調べた挙句、タラゴンじゃないかと思っている。ハリルもそうだと言った(が、これはあてにならない)。

綿花

たくさん蒔いた(捨てた)綿花の種から、いくつか芽が出てきた。これもこぼれ種から生えたのを見たことがあるので、育つと思ったのだ。しかしなかなか大きくならない。今は常時カゴを被せてあるので鶏に食べられていないけれど、それを取るとたちまちつまみ食いされてしまう。背丈がカゴより高くなったとき、そこで終わりかもしれない。

オシロイバナ

オシロイバナも、雑草の下に生えていたのを残したものだ。二株くらいは別の場所から移植して、成功した。鶏はここにはノータッチだが、水をやった後でそこで砂浴びをしているし、猫がトイレにしている。ときどき茎が折れているが、さすがオシロイバナ、すぐに新しい葉を出して盛りかえしている。


この花も雑草のように生えてくるもので、朝だけ花が開く。すてきなので、種を取って土に植えてみたのだが、まだ芽は出てこない。

名前が分からない砂漠の花。こういうのが庭に咲き乱れていたら楽しいだろう


これは日本のカボチャの種をまいて、二株だけ出てきたところ。今ようやく花が咲き始めたので、実がなるかどうかは怪しいところだ。
そして今日もわたしは果樹や草木に水をまくだろう。地元のブルーベリーがやたらに繁殖して、その実は鶏が食べるのにちょうどいいので、昨日からそれにも水やりを始めた。

発酵食品など

最近ハリルは、あるトルコ人女性のインスタグラムを見るのに夢中になっている。彼女はどこか地方に住んでいて、自家製の野菜などを使っていろいろな料理を作り、それらを販売しているようだ。昔ながらのやり方であらゆるものを作っているので、ハリルの興味をひくのだろう。彼自身は、料理のコツを祖母から教わったそうだ。
そして先週、そのうちの一つを試作していた。レシピは公開されていないものの、ハリルは彼女の書いた文章からそれを想像して作ったそうだ。それは、ヨーグルトで漬けたピクルスのようなものだった。しかし小さなガラス瓶に対するハリルの作業がワイルドすぎて、うまくいっているようには見えなかったので、今週は同じ材料でわたしが詰めてみると申し出た。


材料はスズメ(水切りヨーグルト)、ヨーグルト、牛乳、パプリカ、唐辛子、塩。ヨーグルトをさらに発酵させて、パプリカのピクルスにするようだ。ハリルはパプリカを半分に割って、そこにスズメを詰めたものを瓶に入れ、上からガシガシ押していた。わたしは最初からパプリカを四等分し、内側にスズメを塗って、ひとつひとつていねいに瓶に詰めていった。そうすれば、使うパプリカの量を増やすことができる。



3~4日後

今回は唐辛子と塩が足りなかったようで、マイルドな味になってしまった。来週は、それらの量を増やして再挑戦したい。しかしオリジナルの味が分からない料理ほど、作るのが難しいものはない。
毎週、夏野菜をたくさん買ってくるので、ラタトゥイユを頻繁に作る。夜の軽い食事に、これを温めてポーチドエッグを添えて食べている。





あいかわらずトマトソースのパスタもよく食べている。ほとんどベジタリアンになってきた。


最後に、チャルというラクダの発酵乳。夏はこれをよく飲む。近所にラクダを飼っている人がいるので、最初は彼から発酵乳を買ってくる。すべてを飲み切ってしまう前に、温めた牛乳を足して、温かいところに置いて発酵させたら、また冷やして飲む。ラクダの乳はかなり滋養があるようだが、そばにラクダがいない地域では手に入れるのは難しいだろう。味はうまく説明できないけれど、発酵乳なのでシュワシュワしている。ありがたいものを思って味わうので、おいしい気がするのだった。

ロミ夫と昼寝

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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