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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「日常」の記事一覧

旅の準備など

出発の日が三日後に迫った。先週から泊り客があって、そのお客とハリルは出張に出てしまったので、日本へ帰国する日は一人でテヘランの空港に向かわなければならない。言葉が通じないし、イランには騙す人が多くいるから心配だが、携帯電話を買ってもらったので、タクシーに乗る前にハリルに電話してなんとかしようと思っている。日本人と分かるとぼられるだろうから、ペルシャ語のできないトルクメンのふりをして通すつもり。
さて、旅の準備はそれほどないけれど、置いていく猫とハリルのために準備をしている。三週間ひとり暮らしをするハリルには、食事の作り置きだ。彼は料理は得意だが、毎日家畜の世話でヘトヘトになっているので、料理をする時間や気力はなさそうだからだ。
ごはんにかける煮込みを三種類、パンを添えて食べる豆料理を二種類、それにガトゥックラシュの素など、食材をあるだけ使い切った。これこそ写真を撮るべきだったが、必死に作業をしていて忘れてしまい、一枚だけ。


チリコンカン

家で焼いているパンは全粒粉が終わってしまったので、小麦粉のパンにレーズンを入れて焼いてみた。これはわたしが自分で食べているけれど、毎日4個ずつ焼いているので、残ったものは冷凍しておこう。


残った全粒粉が少しだけ入っている


キウィフルーツジャム


キウィフルーツはべクチンが多いのでジャムにしやすいが、色が出しにくい

帰国前にどうしても済ませておきたかった、寝室の掃除もした。梯子がないと届かない二枚の窓はできなかったけれど、天井、壁、床をきれいにすることができた。



新築なのに大々的に掃除をしなければならなかった理由は、去年ハリルがここにニワトリの一家を囲っていたからだ。床は、ニワトリの餌と糞からなる草原になっていた。それを掃き出して、水とブラシでゴシゴシやって、拭き取った(ドアの内側に、独特な虫の巣があった…)。もう臭いもまったくしない。この部屋に、留守中には隠しておきたい品々を入れて施錠していこうというわけ。

さて、猫のためになにを準備するかについては、長くなったので別の記事に。

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タロージロー

イランは新年を迎えた。正確には、3月20日の午後に年が明けたそうだが、その日は元旦とは考えず、日付としては21日からが1396年なのだそうだ。いずれにしてもわたしの頭の中はほぼ西暦で機能しているので、あまり実感がない。曜日はほとんどイラン暦で考えるようになったため、月日もイラン暦を覚えれば簡単なのだが、これがなかなか実行できない。今年はやってみよう。
そして例によって、イランのトルクメンは新年のお祝いを特にしない。外国のトルクメンはノウルーズを祝うようなので、これはイラニアン・トルクメンのペルシャのお祝いに対する静かな反抗の態度なのだろうか。
砂漠の春も雨が降ったり肌寒くなったりして、不安定だ。しかし確実に緑が増している。


ハリルが種を植えた桃。小さい苗になり、葉が生え出した

ハリルは庭のまんなかに、果樹の苗や挿し木をして春に備えている(まったく懲りていない)。今年は牛がいないのでましだと思うが、犬や猫が木で体を掻いたり、おしっこをひっかけたりしているので、依然として期待はできない。

タローが病気になったときにかけてやったTシャツを、ジローがあちこちに持ち運んではその上に座っている。自分用の座布団にしているようだ。
病気ですっかり小さくなってしまったタローは、ジローよりも気力が強い。体の大きさでは負けるのに、餌を前にすると凄むので、ジローが遠慮して食べなくなっている。犬にも猫にもヒエラルキーがあり、子犬の頃に現われるそれは、大きくなってもまず覆ることはない。


手前がタロー

ここは台所のドアを出たところにある、犬猫の餌用の簡易キッチンだ。小さなガス台の上に大きなガザン(鍋)を置いている。風で火が消えやすいので、金属の薄い板で周りを囲ってある。鍋には蓋がなかったので、大きな強化ガラスで代用した。それは台所のガス台についていた、カバーを外したもの。
餌は鶏肉屋で譲ってもらう「捨てる部分」を熱し、水を加え、そこにパンを加えて作る。鶏の皮や脂肪からかなりの油分が出るので、高カロリーの餌になるのだ。これをうちの4匹と南庭の犬たち、それから近所のアークジャ(猫)にやっている。うかうかしているとニワトリもつまみに来るのだが、最近は子犬たちが追い払ってくれるので面倒がひとつ減った。

モノと思い出

わたしはどちらかといえば、物に思い入れのない方だと思っている。つまり、「これは思い出の品だから捨てられない…」といろいろなものをしまい込むタイプではないということだ。しかしよくよく考えてみると、そういうモノもいくつか持っていた。
ブロ友の papricaさん は、急須の蓋が割れたのに何度も接着剤で継ぎ直して使っているそうだ。じつはわたしもまったく同じことをしている。スウェーデンから持ってきたティーポットの蓋を落として割ってしまい、何度も継ぎ直して五年くらい使い続けているのだ。ティーポットごと沸かすので、しばらくすると接着剤が剥がれてしまうようで、継ぎ直しが必要になる。

これはめずらしく思い出のあるモノなので、できれば捨てたくないが、今度割れたらなんとかしよう。
ヨーテボリに住んでいたときに週末に通っていた市場は蚤の市で、アンティークや中古の品もいろいろと売っていた。いつもステキなものを持ってくるお兄さんが一人いて、これは彼の店でハリルが見つけたティーポットだ。じつはそのとき、通りがかりのイラン人の奥さんがこれを欲しいと旦那さんに言ったのだが、旦那さんは「そんなの全然よくないよ。もっといいのを買ってやる」と、奥さんのリクエストを無視して買わなかったそうだ。ハリルがこれを買おうと値段交渉を始めたとき、わたしは高くても必ず買いたいと思ったほど、気に入っていた。そして案の定安く買ってもらい、ごきげんで帰ってきたのだった。
だからクミシュテペ生活が始まってわりとすぐ、蓋を床に落として割ったときは泣きそうになった。持っていた接着剤で必死に修復して、なんとか精神の平安を保ったものだ。思うのだが、モノというのはかなり確実に壊れるものだから、モノに強い思い入れを持つことは、賢明ではない。

これはまだ壊れていないけれど、ポットつながりで、伯母にもらったお気に入りの土瓶。1.5リットル入るので、スパイスを入れた紅茶を沸かすのに毎朝使っている。壊れても同じものを買い直したいくらい。

それから日本の友人にもらった白いお茶碗も大事にしている。誕生日祝いにもらって、なぜか駅のホームで包みを開けて喜んだ記憶がある。しかしいつのまにか底の一部が欠けていた。犯人はハリルか?(笑)

おまけに、食器置き場の写真。お皿以外の食器は、これでだいたい足りている。ヨーグルト用の小さな器とか小皿とか、買い足したいものを市場で見ているのだが、どの店も毎週同じものを持ってきているようでなかなか見つからない。日本だったら買いたい放題なのにな。ちなみに、モノに思い入れをしないとこだわりを持たないことは別の話だと考えている。こだわってモノを選ぶけれども、所有しているものを手放すことに固執しない、という意味で。

ガトゥックラシュ

今日のお昼はガトゥックラシュという、トルクメン料理にした。ガトゥックラシュは、ヨーグルトごはんという意味だ。揚げた魚とヨーグルトごはんを一緒に食べるめずらしい料理で、味覚の発達していないわたしはこれも最初は好きじゃなかった。しかし食べ続けるうちに、そのおいしさがだんだん分かるようになる。

アシュの作り方は、火を通したほうれん草やハーブ類を冷ましたもの、茹でた米、にんにくやネギなどをヨーグルトで和える。


今回はほうれん草がメインで


米を茹でるときに強めの塩加減にしただけで、ヨーグルトには塩は入れなかった


ピクルス大集合


パセリソースの冷凍も、おおむね成功

魚の塩辛さと油っぽさが、ヨーグルトごはんでうまいこと中和される、不思議な一品です。

今日はコイネク(ワンピースドレス)が一着仕上がった。型紙ができていれば、1~2日で仕上げることができる簡単なワンピで、自分のコイネクはもうこの形と決めている。

記事は日本のネットショップで買った。同じ店でこのほかに3着分買ったので、全部コイネクにする予定。先染め織物の綿で、近くで見るとこういう布です。

アイロンをかけているときに糸を引っ掻けてしまったり(アイロンの先が欠けて尖っているのだ~)、黒い糸が表面に出るよう織りこまれているので、縫うのが難しかった。けれど布はしなやかで、着心地が最高だ。

酢を買いに

朝、犬猫に餌をやってから、残っている野菜の処理を始めた。ハリルがコリアンダーとまちがえて買ってきたイタリアンパセリが山ほどある。いったいこれはどうしたものか。


昨日作ったかりんジャムとビールのピクルス


ビーツ

このピクルスは、ビーツの甘みが不思議な風味を出している。お茶うけとしてつまんでいたらよく進みそうなので、カルフォルニアばあさんが5時間で食べきったというのも頷ける。
さあ、まずは足りなくなった酢を買いに、町中にある店へ出かけた。日本から戻って以来、わたしは自分で買物に行くことが増えた。以前はあまり出歩かないようにしていたものの、ハリルに頼むと時間や日にちがかかってイライラしていたので、方法を変えたのだった。去年の一時帰国では、日本で二人で生活したらどうなるかを試す意義もあったのだが、実際はあまりうまくいかなかった。やはりクミシュテペで暮らすべきなのかな… という思いが、覚悟を新たにしたということもある。あらゆることをハリル頼みにしていたら、ますます暮らしにくくなるので、失敗してもなんでも自分の望むとおりにやってみようと思っている(たかが買物なんだけど)。


町の大きな通り。左に見える大きな建物は、新築のワハブの家

この通りは、住宅街の中心にある道では一番大きいと思う。水曜市場もこのあたりから始まる。うちからここまで来るには、水路脇のでこぼこ道を歩き、小さな橋を渡ってしばらくしたら左折する。そしてこの通りをまっすぐ行って、ラクダを飼っている空き地を右に曲がったところに今日行った店がある。店に着いたあとはカメラのことをすっかり忘れてしまい、写真がないですが。

店では、若いお兄ちゃんとおじさんが番をしていた。酢とオリーブオイルとバターを買ったのだが、レジのところでおじさんとの会話は、わたしが買物に行くときの普遍的な内容だったので、一部を日本語訳で再現したい(実際の会話はトルクメン語)。

おじさん: トルクメン語を覚えたのかい? それともあんたはトルクメン?
クミコ: …わたしはトルクメンあるよ。
おじさんとお兄さん: ………。
クミコ: うっそ!
おじさんとお兄さん: 「うっそ!」だってよ。(ゲラゲラ)
クミコ: 本を読んで覚えたアルヨ。
おじさん: チーン(中国)にはトルクメンがいっぱいいるだろう?
クミコ: わたしチーンから来てないアルヨ。
おじさん: あ、ジャポン。
クミコ: ジャポンにはトルクメン少ないよ。
おじさん: そうかい。はい、お釣り。あんたハリルの奥さんだろう?
クミコ: そうだよ。(知ってたんじゃん!)

店に入った瞬間から、わたしが誰だかはみんな知っているのだ。おそらく通りを歩いている時点ですでに知られている。それなのに、店主はみんな知らない態度でこういうフリをしてくる。わたしも慣れたので、知られていないフリをしている。あいかわらず面識のないこどもなどから「クミコ~!」と呼ばれるのだが、それも聞こえないフリなので、昨日も市場でナーセルの家族を無視してしまった。
買物は無事に済んで、残りのピクルスとポタージュを仕上げた。


3リットルの容器にキクイモ、カリフラワー、にんじんのピクルス


ポタージュ工場


余った液で赤カブのピクルス

このあとさらに、イタリアンパセリを使って珍しいものを作った。長くなったので、別の記事にします。

水曜市場

水曜日はクミシュテペの市場の日で、不思議と晴れることがほとんどだ。今日は寝坊したので迷ったけれど、ハリルがバイクで連れて行ってくれたので、市場をひととおり歩いて帰ってきた。自分で買ったのは手芸用品、ジャム用のカリンとピクルス用のキクイモ、それにガラスのお皿3枚だけ。残りの買物は、ハリルが市場が終わる頃に再び行って、おつとめ価格でしてくれた。


キクイモのピクルス


セロリの煮込み用に下ごしらえ


かりんジャム。これからまだ2~3時間煮る


ポタージュ


ビーツのピクルス

カルフォルニアばあさんのレシピを試してみた。今は調理が終わって冷ましているところなので、味見はまた明日。酢がなくなったので、明日は3リットル入りのものを買ってきて、まだまだあるキクイモとカリフラワーをピクルスにするつもり。キクイモは1キロ50円くらいだったので、つい2キロ買ってしまったが、ピクルス用は1キロで十分のようだ。キクイモはごぼうと似ているので、きんぴらなんかにするといいそうで、それもやってみよう。暖かくなって、自然とやる気も出てきたようだ。

クミシュテペの市場はいまひとつ盛り上がりに欠けて、写真を撮ることもいつも忘れてしまうのだが、今日は新年のお祝い(ノウルーズ)のための品物が少し出ていた。金魚と金魚鉢。ペルシャ人のお祝いなのでよく知らないけれど、7つの春らしいアイテムを飾るようで、金魚はその一つ。特にお祝いをしないトルクメンも、買う人はいるようだ。

アーク・バールック

今朝は遠い親戚の漁師がひさしぶりにやってきたので、出て行ったらこれを手渡しされた。


アーク・バールック(白い魚)

大理石のワークトップの幅が50cmだから、魚もそれくらい。朝の漁から帰る途中で寄ってくれたようだ。なぜ彼がいつも魚を届けてくれるかというと、ハリルが持っているボート用のエンジンを彼に貸しているのだそうだ。レンタル料を魚で払ってくれているようだが、まだ3回しか来ていないので、料金が足りないような気がするけれど? わはは
あまりの大きさに途方に暮れて、しばらく台所に置きっぱなしにしていた。しかし魚はすぐに鱗と内臓を取るべきだと思い、作業にとりかかった。


2尾なら簡単

あいにくキャビアは入っていなかった。内臓は猫たちにやり、魚は切り身にして冷凍した。さすがに丸ごと料理できる大きさの鍋がなかったのだ。

ところで、チーちゃんの産んだ3匹の子猫は、すべて雄だった。これは歓迎すべきニュースだ。まだ目が開かないけれど、鳴き声が日に日に大きくなっていて、ときどきキティと間違える。けれど、キティはキティで成長して、最近は自ら外に出るようになった。

今日のお昼はブーレックを揚げた。揚げ物をした後の油はオイルポットに入れて何度も使っている。今日は残り少なかったので使い切ってしまおうと思い、油は足さずにフライパンを斜めにしながらブーレックを一個ずつ揚げていた。そんなセコい方法で料理していたら、ブーレックを入れるときに「アヂッ!」と中指の先を油に入れてしまった。ゆっくりゆっくりやればいいのに、なぜか急いでしまうことがよくある。作業しているうちに加速がついてきて、体の中で「ぁああああ!」となっている。十年前くらいまでは、そんな状況でよく失敗をしていたけれど、年の功か、今ではそういうときに「落ちついて、深呼吸。」と自分に言い聞かせることができるようになった。


キルカ(小さいいわし)とじゃがいものフィリング

しかし夜になって、ハリルが揚げ物が消化しないと不満を表明した。油の使い回しが過ぎたのかもしれない。次回からはセコさもほどほどにしよう。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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