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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
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市場

今日はどうしても買いたいものがあって、市場に行ってきた。それは、タローとジローを繋ぐための鎖だ。


市場に出ているこの店で、鎖と鎖の先につけて首輪に繋ぐための金具を買った。大きくなったタローとジローは、ジャポンとバグティについて砂漠の方に出かけてしまうようになったし、夜はどこからか靴や服を持ってきてはガリガリ噛んでダメにする習慣がついてしまったので、夜だけ庭に繋いでおきたいと思っている。


トルコ製で、1個140円くらいだと思う。鎖は、6メートルを買い、2匹分なので半分に切ってもらった。


左下に映っている鎖より、大きいものを買った。かなり重いので、これを引きずって歩くのは子犬にとってはきついと思う。写真のとおり犬用の首輪も売っていて、1個100円くらいだった。ハリルが「売っているじゃないか。なんで日本で高いのを買ったんだ?」というので、それは(わたしのセリフだよ)と思ったが、「あなたがクミシュテペで買ってくれないからでしょ!」と言っておいた。
その他に、この店にはこんなものも売っている。


日本人にはその用途が分からないものも多いが、すべてのものがトルクメンの生活において欠かせない道具のはずだ。この店で、チャッカマンも買った。この買物をした後、ハリルはバイクで家に帰り、わたしは歩いて写真を撮った。

イスラムグッズを売る店

金物屋

ディジーを作るアフガンの圧力鍋だそうだ

スイカを売るおじさん(じつはハリルの弟ユスフ)

メロン

スモモやネクタリン

メロン

プラムとバナナ

さくらんぼ、アンズその他

イランの果てのこの市場でも、これだけの果物が手に入る。やはりイランは果物王国だ。帰り道、近所の家の庭にもモモやイチジクなどがなっているのが見えた。



もうすぐ熟すね

じつは今年は、うちの庭でもイチジクが収穫できそうだ。ちょっと訳ありのイチジクなので、別途また報告したいと思う。

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しあわせとは

自分の手帳を整理していたら、四葉のクローバーが出てきた。そういえば日本にいるときに、田んぼの脇で大きなのを見つけて、本に挟んで押したものを持っていたのだった。


手帳の整理は断捨離の一環だったのだが、どうしてわたしはいつも四葉のクローバーを探しては持ち帰り、本や辞書に挟んでいるのか、ちょっと考えてみた。単純に、しあわせになりたいと考えていて、「四葉のクローバーを持っているとしあわせになる」とこどもの頃から信じていて、その習慣を今でも手放さずにやっていたのだろう。そう思ったら、「四葉のクローバーを挟んでいてもしあわせにはならないから!」と自分でツッコミを入れると同時に、しあわせを願ってクローバーを摘んでいる自分がちょっとかわいいね、と思ったのだった。
でも、このクローバーは捨てた。上の事実を確認できたことで、要らなくなったのだ。これからもしあわせを願えばいいけれど、クローバーを摘んで持ち歩かなくてもそれはできそうだから。
クミシュテペに移住して五年が経ち、何事もうまくいかない状況が継続的にあり、資産も減る一方だ。スウェーデンにいた頃にハリルと描いていた「砂漠での暮らし」とはまったく異なる未知の世界を歩いてきたような感じで、ふと「これでいいのだろうか?」と考えることが増えてきた。いろいろな事情により、ひと言で言って「不毛」な場所であるため、将来の見通しが立たないどころか、お先真っ暗にも見える。しかし日々、そのときを生きている実感は強くあるし、空気や食べるものは最高で、暑さや虫による不快な状況があるにもかかわらず、夜は熟睡できて夢すら見ることがない。これはしあわせな人の生活といっていいのだと思う。
先日、スウェーデン時代に仲の良かった友人と連絡を取ったら、彼女は病気で仕事を休んでいると言っていた。ブラジル出身の彼女は、サンパウロで弁護士をしていたのだが、スウェーデン人の夫の転勤を機にカナダへ移住、その後スウェーデンへ移住したのだった。しかしスウェーデンで弁護士になる道は険しすぎたようで、彼女は調理のコースを取って学び、わたしがイランに移住した頃にはコックとして働くようになった。ホテルのレストランで順調に働いていたと思っていたのだが、去年は新しい上司とうまくいかず、ストレスで体調不良となってしまったそうだ。それでもスウェーデンという社会は日本と違い、そういう場合は休みを取って病気をケアする施設に通うことができる。もちろん、国がその費用を補助してくれる。そして彼女は、夏からは製菓のコースを取り、一年間勉強する予定だと言っていた。それも、国が費用を補助してくれる。体調を崩しても、ケアをした後で仕事の現場に戻ってくるための道筋がスウェーデン社会にはちゃんとあるのだ。だから、もともとタフな彼女のことだから、状況もきっといい方に向かうと思っている。
しかしその話を聞いて、思わず色々と比べてしまった。スウェーデンのように、しくみの洗練された社会に生きていても、ストレスで病気になってしまった友人。一方、腐り切った社会に住んで何事もうまくいかないけれど、健康そのものの自分。次から次へと体を使う仕事があって、精神的な病にかかっている状況にないのだ。よく食べてよく寝るからさらに健康になってしまう。日本に帰ったときに受けた健康診断では、オールA、身体測定ではからだ年齢が28歳だと結果が出た。実際に28歳だったころは東京で働いていたけれど、そのときの方がかなり年を取っていたと思う。
友人と自分を比べて、二つの社会の比較をするつもりではない。しあわせとは一体どこから来るのか、どういう状況がしあわせなのか、これを定義することはじつに難しいと思うのだ。そしてわたしは、この不毛な、ポンコツな、救いのない環境に生きる自分の暮らしも、それほど悲劇でもないのかと思い直しつつ、ひよこに餌をやりに行くのだった。

かき氷と三人組

甥っ子三人組は戻ってきた。お祝いのときに仕込んでおいた、日本の「かき氷」が効いたようだ。


実家にあったかき氷の道具をイランにってきたのは、彼らが喜ぶと思ったからだ。しかし断食月が終わったあとのラマダン祭では、ロボットのことで頭がいっぱいで、初めて見た「かき氷」はそれほど魅力がなかったのだろう。ひとしきりロボット掃除機で盛り上がったあと、かき氷のことを思い出して、うちに遊びに来たのだと思う。


道具を押さえる人と、回して氷をかく人、食べる人、ちゃんと役割を交代で分担していた。この三人の会話は黙って聞いているとちょっとおもしろくて、笑ってしまう。いつかは、わたしのことを三人で話していたのだが、その内容はこんなことだった。


A:この飴、おいしいね。どこで買ったのかね。
B:俺知ってるよ。○○の店で売ってんだよ。俺が店を案内してやったんだから。(クミコは)店の場所も知らないんだぜ!
(※数日前、なじみの店に買物に行ったら閉店中で、通りかかったBが別の店を案内してくれた)
A:・・・・・。
C:お前だって日本に行ったら店の場所分からないだろ。
B:分かるよ!
A+C:ウソつけ!


またあるときは、こんな会話も聞こえてきた。


B:俺、この世界で恐いものはな~んにもないぜ!
C:ほんとか? ヘビは怖くないのか。
B:ぜーんぜん、怖くない。
C:オオカミは怖くないのか!
B:怖くないよ。
C:俺が怖くないのか!(←Bより一歳年上)
やるか! 外に出てやるか(空手のポーズ)!
B:・・・・・・(笑顔)。


女子より、男子は純粋で健康的な会話をしている気がする。

ロボット掃除機

断食明けのお祝いには、一番乗りで甥っ子三人組が来た。まだ朝の8時くらいだったような気がする。ハリルも朝の仕事から戻る前で、かろうじて掃除機だけはかけておいたけど、お客さんを迎える準備はまったくできていなかった。

まんなかがジェリルの息子

なぜ甥っ子がそんなに早く来たのか。それは日本からのおみやげを期待していたからだ。日本に帰国中、ジェリルからは息子にロボットを買ってきてほしいという具体的なリクエストがあったので、ちょっと調べてみた上で、掃除機ロボットを買ってきてあった。
たぶん、甥っ子がほしかったのは、頭と手足がついて、話もできるおもちゃのロボットだろう。そういうものも日本では売っていた。しかしおもちゃにしては値が張り過ぎていたので、考えた挙句、実用性のある掃除機にしたのだった。
彼らが来てから包装を開けて、日本語のマニュアルを斜め読みしながら説明した。難しいことはほとんどなく、充電が終わったらスイッチを押すだけの仕様だったのだが。充電に何時間もかかるので、夜か明日にもう一回おいでと言ったら、その日彼らは3回もうちに来た。よっぽどロボットを見たかったのだろう。充電が完了して動かしてみたあと、すぐに家に持って帰ると言い、そのまま抱えて出て行った。それ以降、彼らの姿を見ることはない。現金で、分かりやすいな。


三人とも個性が違っておもしろい。いつまで同じ三人でつるんでいくのか、将来も見ものだ。
ロボット掃除機を実際に見たのはわたしも初めてだったのだが、階段から落下しない機能があったり、なかなか頼もしい機械だと思った。トルクメンの家は床にものを置きっぱなしにしない、広々とした空間が基本なので、掃除機ロボットは向いているかもしれない。しかしほとんどの奥さんが主婦で、炊事洗濯掃除をしているので要らないか? 洗濯機を買うくらいなら、新しい奥さんを一人迎えた方が安上がりだ、というジョークがあるくらいなので。
話はそれるけれど、このロボット掃除機は Amazon.co.jp で比較的安いものを買ったのだが、買った翌日にその半額で同じものが出たので、ついもう一台ポチってしまった。そうしたら、それは詐欺だったようで見事に引っかかってしまった。詳細を忘れてしまったのだが、それをポチったことで自分のEメールアドレスに Amazon.co.jp を装ったEメールが来たような気がする。それによってわたしのアカウント情報を盗もうとしたようだ。急いで現在のアカウントのパスワードを変更し、以前に持っていて忘れていたアカウントを削除して、どうなるんだろうと思っていたら、数日してその商品を返品したような手順で Amazon.co.jp によって返金手続きがなされていた。それに関する説明は一切なかったけれど、インターネットのニュースで詐欺が横行していることを読んでいたので、なんとなく納得して終わりとなった。
うまい話にはご用心! ですな。

ホルジュンのお直し

日本に行く前に買ったホルジュンが、ほつれてきたので直してほしいとハリルが言っていた。ホルジュンとは、バイクの後部座席に掛けて使う荷物入れのこと。キリムを織って作る民芸品だ。

美しいキティは健在です
細長いキリムの両端を折り返して縫い、飾り紐をつけた構造になっている。白黒の飾り紐が緩んできたと同時に、袋の端が解けてきたので、思い切ってすべて解いて縫い直した。


子猫を必死で舐めるサーリジャ。猫が舐めるときは、相手に「あっち行け」という意味のようだ


作業中ずっと昼寝をしていた子猫。ホルジュンを動かしても起きなかった


飾り紐もしっかり縫いつけてできあがり。これでしばらくは壊れず使えるだろう。キリムはしっかり織ってあるのに、やはり詰め
の甘い、トルクメンの仕事なのだった。
 

雛の様子と桑の実

昨日手当てをしたニワトリの雛は、朝はまだかろうじて生きていた。しかし目をつぶってほとんど死にそうな状態だったので、体を布で包み、温かくして外に出しておいた。せめて静かに、息を引き取らせたいと思ったのだった。
だが、死んで冷たくなったら、今度はそのボディを犬か猫にやってしまう。大きめの雛だったので子犬のタローに渡したら、頭からガブガブと食べていた。小さな雛ならば、子猫が一所懸命食べるだろう。残酷なようだが、世界はそうなっている。
それから昼には、小さな雛がもう一羽死んでいた。緑の草をやらないことで、これ以上の死を防げるかと期待したが、そう簡単にはいかなかったようだ。夕方には一羽も死んでいなかったので、草をやらずにもう少し様子を見るしかない。小さな雛が死んでしまう原因としては、ニワトリたちは身をくっつけて塊(集団)になる習性があって、そのときにほかの雛の下敷きになって圧死してしまうということもありそうだ。そればかりは、ニワトリがくっつかなくて済むように、室温を下げないように気をつけるしかない。
さて、話は変わる。ハリルが植えた果樹の苗に水をやっていて気がついたのだが、桑の木にいくつも実がなっていた。まだ葉もそれほど生えていないというのに、よく見たら桑の実がぶら下がっている。


そして葉がたくさん生えている根元を確認すると、なんと赤い実や熟して黒くなった実もついていた。


このあいだ地面に木を挿したばかりなのに、もう実が食べられるとは! 一気に楽しくなってきた。

ひょろっと長い桑の木。左に曲がっているのは支柱にしている竹、もういらないね


クミシュテペに戻る

一時帰国していた日本から、クミシュテペに戻った。わたしは五週間、ハリルは二週間の滞在だったが、ハリルは最初の、わたしは最後の一週間にひどい風邪をひいてしまい、不完全燃焼の感は拭えない。それでも二日近くかかる帰途に無事着いた。
戻ってみると、自宅の庭に草が高く茂っていた。母屋からトイレに向かう小道の両脇が、ジャングルのようになっている。ハリルが植えた果樹もほとんどが芽を吹き、葉が育っている。

自宅玄関を出たところでパチリ

しかし二十数羽いたニワトリは、十羽以下に減っていた。十五羽死んだとナーセルの奥さんが言っていたが、たった二週間でどうしたらそんなに死ぬのだろう。薬代わりのたまねぎをやらなかったんじゃないだろうか。


茂みの陰では、チーちゃんと子猫が昼寝をしている。チーちゃんは4匹、タイちゃんは3匹に、変わらず授乳していたようだ。二匹とも二回目の妊娠はしていないし、まだ子猫たちをそばに置いて面倒を見ている。

子猫たち

チーちゃん

ロミ夫

猫はチーちゃん、ロミ夫、タイちゃん、サーリジャ、キティと子猫7匹を確認した。不在なのは、ガラジャとお隣のアークジャ。こちらに戻って四日が経つが、まだ姿を現わさない。

ジャポンと隣の家の犬

犬はジャポン、バグティ、タロー&ジローの4匹は健在だった。しかし犬も猫も、心持ち毛並みが悪いように見える。猫たちはみな、雌のライオンのようにスリムになり、顔もほっそりしている。
南庭の犬や猫も元気だそうだ。猫たちは出産したらしく、近いうちに見に行くつもりだが、何十匹になっているのか考えるのも恐ろしい。しかし賑やかでポンコツな生活がまた始まる。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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