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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「日常」の記事一覧

モノと思い出

わたしはどちらかといえば、物に思い入れのない方だと思っている。つまり、「これは思い出の品だから捨てられない…」といろいろなものをしまい込むタイプではないということだ。しかしよくよく考えてみると、そういうモノもいくつか持っていた。
ブロ友の papricaさん は、急須の蓋が割れたのに何度も接着剤で継ぎ直して使っているそうだ。じつはわたしもまったく同じことをしている。スウェーデンから持ってきたティーポットの蓋を落として割ってしまい、何度も継ぎ直して五年くらい使い続けているのだ。ティーポットごと沸かすので、しばらくすると接着剤が剥がれてしまうようで、継ぎ直しが必要になる。

これはめずらしく思い出のあるモノなので、できれば捨てたくないが、今度割れたらなんとかしよう。
ヨーテボリに住んでいたときに週末に通っていた市場は蚤の市で、アンティークや中古の品もいろいろと売っていた。いつもステキなものを持ってくるお兄さんが一人いて、これは彼の店でハリルが見つけたティーポットだ。じつはそのとき、通りがかりのイラン人の奥さんがこれを欲しいと旦那さんに言ったのだが、旦那さんは「そんなの全然よくないよ。もっといいのを買ってやる」と、奥さんのリクエストを無視して買わなかったそうだ。ハリルがこれを買おうと値段交渉を始めたとき、わたしは高くても必ず買いたいと思ったほど、気に入っていた。そして案の定安く買ってもらい、ごきげんで帰ってきたのだった。
だからクミシュテペ生活が始まってわりとすぐ、蓋を床に落として割ったときは泣きそうになった。持っていた接着剤で必死に修復して、なんとか精神の平安を保ったものだ。思うのだが、モノというのはかなり確実に壊れるものだから、モノに強い思い入れを持つことは、賢明ではない。

これはまだ壊れていないけれど、ポットつながりで、伯母にもらったお気に入りの土瓶。1.5リットル入るので、スパイスを入れた紅茶を沸かすのに毎朝使っている。壊れても同じものを買い直したいくらい。

それから日本の友人にもらった白いお茶碗も大事にしている。誕生日祝いにもらって、なぜか駅のホームで包みを開けて喜んだ記憶がある。しかしいつのまにか底の一部が欠けていた。犯人はハリルか?(笑)

おまけに、食器置き場の写真。お皿以外の食器は、これでだいたい足りている。ヨーグルト用の小さな器とか小皿とか、買い足したいものを市場で見ているのだが、どの店も毎週同じものを持ってきているようでなかなか見つからない。日本だったら買いたい放題なのにな。ちなみに、モノに思い入れをしないとこだわりを持たないことは別の話だと考えている。こだわってモノを選ぶけれども、所有しているものを手放すことに固執しない、という意味で。

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ガトゥックラシュ

今日のお昼はガトゥックラシュという、トルクメン料理にした。ガトゥックラシュは、ヨーグルトごはんという意味だ。揚げた魚とヨーグルトごはんを一緒に食べるめずらしい料理で、味覚の発達していないわたしはこれも最初は好きじゃなかった。しかし食べ続けるうちに、そのおいしさがだんだん分かるようになる。

アシュの作り方は、火を通したほうれん草やハーブ類を冷ましたもの、茹でた米、にんにくやネギなどをヨーグルトで和える。


今回はほうれん草がメインで


米を茹でるときに強めの塩加減にしただけで、ヨーグルトには塩は入れなかった


ピクルス大集合


パセリソースの冷凍も、おおむね成功

魚の塩辛さと油っぽさが、ヨーグルトごはんでうまいこと中和される、不思議な一品です。

今日はコイネク(ワンピースドレス)が一着仕上がった。型紙ができていれば、1~2日で仕上げることができる簡単なワンピで、自分のコイネクはもうこの形と決めている。

生地は日本のネットショップで買った。同じ店でこのほかに3着分買ったので、全部コイネクにする予定。先染め織物の綿で、近くで見るとこういう布です。

アイロンをかけているときに糸を引っ掻けてしまったり(アイロンの先が欠けて尖っているのだ~)、黒い糸が表面に出るよう織りこまれているので、縫うのが難しかった。けれど布はしなやかで、着心地が最高だ。

酢を買いに

朝、犬猫に餌をやってから、残っている野菜の処理を始めた。ハリルがコリアンダーとまちがえて買ってきたイタリアンパセリが山ほどある。いったいこれはどうしたものか。


昨日作ったかりんジャムとビールのピクルス


ビーツ

このピクルスは、ビーツの甘みが不思議な風味を出している。お茶うけとしてつまんでいたらよく進みそうなので、カルフォルニアばあさんが5時間で食べきったというのも頷ける。
さあ、まずは足りなくなった酢を買いに、町中にある店へ出かけた。日本から戻って以来、わたしは自分で買物に行くことが増えた。以前はあまり出歩かないようにしていたものの、ハリルに頼むと時間や日にちがかかってイライラしていたので、方法を変えたのだった。去年の一時帰国では、日本で二人で生活したらどうなるかを試す意義もあったのだが、実際はあまりうまくいかなかった。やはりクミシュテペで暮らすべきなのかな… という思いが、覚悟を新たにしたということもある。あらゆることをハリル頼みにしていたら、ますます暮らしにくくなるので、失敗してもなんでも自分の望むとおりにやってみようと思っている(たかが買物なんだけど)。


町の大きな通り。左に見える大きな建物は、新築のワハブの家

この通りは、住宅街の中心にある道では一番大きいと思う。水曜市場もこのあたりから始まる。うちからここまで来るには、水路脇のでこぼこ道を歩き、小さな橋を渡ってしばらくしたら左折する。そしてこの通りをまっすぐ行って、ラクダを飼っている空き地を右に曲がったところに今日行った店がある。店に着いたあとはカメラのことをすっかり忘れてしまい、写真がないですが。

店では、若いお兄ちゃんとおじさんが番をしていた。酢とオリーブオイルとバターを買ったのだが、レジのところでおじさんとの会話は、わたしが買物に行くときの普遍的な内容だったので、一部を日本語訳で再現したい(実際の会話はトルクメン語)。

おじさん: トルクメン語を覚えたのかい? それともあんたはトルクメン?
クミコ: …わたしはトルクメンあるよ。
おじさんとお兄さん: ………。
クミコ: うっそ!
おじさんとお兄さん: 「うっそ!」だってよ。(ゲラゲラ)
クミコ: 本を読んで覚えたアルヨ。
おじさん: チーン(中国)にはトルクメンがいっぱいいるだろう?
クミコ: わたしチーンから来てないアルヨ。
おじさん: あ、ジャポン。
クミコ: ジャポンにはトルクメン少ないよ。
おじさん: そうかい。はい、お釣り。あんたハリルの奥さんだろう?
クミコ: そうだよ。(知ってたんじゃん!)

店に入った瞬間から、わたしが誰だかはみんな知っているのだ。おそらく通りを歩いている時点ですでに知られている。それなのに、店主はみんな知らない態度でこういうフリをしてくる。わたしも慣れたので、知られていないフリをしている。あいかわらず面識のないこどもなどから「クミコ~!」と呼ばれるのだが、それも聞こえないフリなので、昨日も市場でナーセルの家族を無視してしまった。
買物は無事に済んで、残りのピクルスとポタージュを仕上げた。


3リットルの容器にキクイモ、カリフラワー、にんじんのピクルス


ポタージュ工場


余った液で赤カブのピクルス

このあとさらに、イタリアンパセリを使って珍しいものを作った。長くなったので、別の記事にします。

水曜市場

水曜日はクミシュテペの市場の日で、不思議と晴れることがほとんどだ。今日は寝坊したので迷ったけれど、ハリルがバイクで連れて行ってくれたので、市場をひととおり歩いて帰ってきた。自分で買ったのは手芸用品、ジャム用のカリンとピクルス用のキクイモ、それにガラスのお皿3枚だけ。残りの買物は、ハリルが市場が終わる頃に再び行って、おつとめ価格でしてくれた。


キクイモのピクルス


セロリの煮込み用に下ごしらえ


かりんジャム。これからまだ2~3時間煮る


ポタージュ


ビーツのピクルス

カルフォルニアばあさんのレシピを試してみた。今は調理が終わって冷ましているところなので、味見はまた明日。酢がなくなったので、明日は3リットル入りのものを買ってきて、まだまだあるキクイモとカリフラワーをピクルスにするつもり。キクイモは1キロ50円くらいだったので、つい2キロ買ってしまったが、ピクルス用は1キロで十分のようだ。キクイモはごぼうと似ているので、きんぴらなんかにするといいそうで、それもやってみよう。暖かくなって、自然とやる気も出てきたようだ。

クミシュテペの市場はいまひとつ盛り上がりに欠けて、写真を撮ることもいつも忘れてしまうのだが、今日は新年のお祝い(ノウルーズ)のための品物が少し出ていた。金魚と金魚鉢。ペルシャ人のお祝いなのでよく知らないけれど、7つの春らしいアイテムを飾るようで、金魚はその一つ。特にお祝いをしないトルクメンも、買う人はいるようだ。

アーク・バールック

今朝は遠い親戚の漁師がひさしぶりにやってきたので、出て行ったらこれを手渡しされた。


アーク・バールック(白い魚)

大理石のワークトップの幅が50cmだから、魚もそれくらい。朝の漁から帰る途中で寄ってくれたようだ。なぜ彼がいつも魚を届けてくれるかというと、ハリルが持っているボート用のエンジンを彼に貸しているのだそうだ。レンタル料を魚で払ってくれているようだが、まだ3回しか来ていないので、料金が足りないような気がするけれど? わはは
あまりの大きさに途方に暮れて、しばらく台所に置きっぱなしにしていた。しかし魚はすぐに鱗と内臓を取るべきだと思い、作業にとりかかった。


2尾なら簡単

あいにくキャビアは入っていなかった。内臓は猫たちにやり、魚は切り身にして冷凍した。さすがに丸ごと料理できる大きさの鍋がなかったのだ。

ところで、チーちゃんの産んだ3匹の子猫は、すべて雄だった。これは歓迎すべきニュースだ。まだ目が開かないけれど、鳴き声が日に日に大きくなっていて、ときどきキティと間違える。けれど、キティはキティで成長して、最近は自ら外に出るようになった。

今日のお昼はブーレックを揚げた。揚げ物をした後の油はオイルポットに入れて何度も使っている。今日は残り少なかったので使い切ってしまおうと思い、油は足さずにフライパンを斜めにしながらブーレックを一個ずつ揚げていた。そんなセコい方法で料理していたら、ブーレックを入れるときに「アヂッ!」と中指の先を油に入れてしまった。ゆっくりゆっくりやればいいのに、なぜか急いでしまうことがよくある。作業しているうちに加速がついてきて、体の中で「ぁああああ!」となっている。十年前くらいまでは、そんな状況でよく失敗をしていたけれど、年の功か、今ではそういうときに「落ちついて、深呼吸。」と自分に言い聞かせることができるようになった。


キルカ(小さいいわし)とじゃがいものフィリング

しかし夜になって、ハリルが揚げ物が消化しないと不満を表明した。油の使い回しが過ぎたのかもしれない。次回からはセコさもほどほどにしよう。

ナスなど

先日作ったチーズケーキは、とてもおいしかった。たぶん、味は買ってきたクリームチーズと生クリームで作ったものとさほど変わらないのだろうが、自分たちの育てている牛から絞った初乳や牛乳やヨーグルトを使っているので、新鮮さがおいしさが倍増させるのだと思う。考えてみると、うちではパックされた食品をほぼ使っていない。日常的には、紅茶とマヨネーズくらいだろう。あとはすべて素材から食事を作っているし、その中には羊肉や卵など、自給できている食材もある。野菜や果物の皮、お茶の出がらしなどは牛や鶏にやるので生ごみもほぼ出ないし、パックされたものを買わないのでプラスチックのゴミも少ない。青果を買うときにレジ袋をたくさんもらうので、それを減らす工夫をすればごみはさらに減るだろう。けれど、クミシュテペの人は海に繋がる水路になんでもボンボンと捨てるので、わたしがごみを減らしたところで全く何の役にも立たないのだった。
さて、気を取り直して、今日はナスの処理にようやく取りかかることにした。3キロもあったので面倒で、ついつい放置してしまった。


焼き網でグリル


塩をして10分ほど置き、フライパンで焼く


皮が痛みかけていたトマトも保護

ナスの下ごしらえも無事完了し、本日のカレーライスに使った1パック以外は冷凍した。これであさっての市場に備えて冷蔵庫がすっきりした。
庭にいる鶏の産卵が止まって以来、なかなか元に戻らなかったのだが、今日は4個も集めることができた。鶏は好きな場所に卵を産むので、日が暮れる前に何ヶ所かをのぞきに行くと、卵を見つけることができる。


手書きで日付を刻印しています

今日はさらに、春から着るつもりのワンピースの縫製作業を進めた。昨日型紙を切っておいたので、次は布を整えて印つけと断裁だ。でもじつは、ワンピースを作る中で、印つけの作業が一番苦手だ。大きな布を整えたり、ずれないように布を押さえたりすることにストレスを感じる。


ポケットつきのワンピースドレス

それでも一着分できた。あと3枚も縫う予定だが、とりあえずは一着を仕上げたい。丈がくるぶしまであるワンピースを着ないとバラックも着ることができないので、今年は早めに縫っておくつもりだ。

冬の終わり

天気の月間予報を見ると、クミシュテペは明日から最高気温が15℃以上の日が続くことになっている。20℃を超える日もどんどん増えて、いよいよ冬が終わるだろう。しかし今年の冬は、家畜の仕事をしなかったこともあり、わたしはずいぶんと楽に越すことができた。雨漏りも数えるほどしかなかったし、台所も浴室もすぐにお湯が出るようになったので、辛いことは何もなかった。ハリルは逆に、今年初めて雇人なしに自ら家畜の世話をしたので、きつかったようだ。雨の降る日も風が吹く日もバイクで南庭に行って、朝晩の餌やり、または放牧があった。病気になって死んだ子羊は一頭だけで、あとは牛も羊も何頭かが出産した。先日は、犬のガラアーラも子犬を8匹産んだ。まだ目が開いていないので、犬とは別の生物のようだったが、とってもかわいく、近いうちにまた写真を撮りに行こうと思っている。
 自宅ではタローとジローが皮膚病も治り、コロコロした状態からスマートになってきた。


家の前の排水溝は、掘り返してほったらかしてのくりかえし(笑)


ジャポンと子犬たち


タロー&ジロー


バグティ

バグティとジャポンに習ってか、子犬たちは近所の犬が来たり人が近づくと「アウアウ!」と吠えたてている。そして鶏から自分の餌を守ることができるくらい、強くなった。


チーちゃん(♀・右)とガラジャ(♂)

チーちゃんのお腹はどんどん膨らんで、コロコロ体型のガラジャにそっくりになってきた。ガラジャだけはチーちゃん一族ではないので、体つきが異なる。まるっこいし、人間には決して爪を立てないので、限りなくぬいぐるみ的だ。


ガラジャ

キティは風邪をひいて咳がひどかったので、しばらく薬を飲ませた。今では咳も収まったが、一時はサーリジャのように片目がつぶれて、美猫が台無しだった。サーリジャがいつも涙で目が汚れているのは、自分の手で洗わないからのようだ。ほかの猫たちは自分で洗顔しているので、目元くっきり、美しいのだった。


チーちゃん

プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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