忍者ブログ

砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「動物」の記事一覧

南庭

 双子の子ヤギが産まれたというので、南庭に行ってみた。


 前方に見える大きな倉庫が、南庭の敷地内にある。まわりにポツポツと立つ建物はご近所さんのものだが、もう家畜を売って来なくなった人も多く、あたりは静かだ。後ろに見えるのは、カスピ海の南側に沿って聳えるアルボルズ山脈の一部。アルボルズは、クミシュテペのあるゴレスタン州からアゼルバイジャンの方へ続く山脈である。テヘランへ向かうときは、これを越えていく。


 近くに来ると、ナーセルの長男が羊と牛の群れを阻止していた。南庭では、ハリルが飼料を作り、ナーセルが餌箱に入れている。その作業が終わるまで、羊飼いが家畜たちを外に留めておかおないといけないのだ。甥は羊、牛と順番にうまいことさばいていた。数十頭の動物が弾になってかかってくると、簡単に止めることはできない。鉄製の扉など、牛なら簡単に壊してしまうだろう。

子羊の抱き方がまずいです

 甥は9歳となり、本当に頼りになる手伝いとなった。彼は動物が大好きなのだ。うちに来たときに窓からそっと見ていたら、犬や猫を抱き上げて「僕はお前が大好きなんだよぉ~」と言いながら頬ずりしていて、思わずこちらの顔も心も緩んでしまった。しかし牛のお尻に飛び蹴りをしたりしていたので、やはり感覚は砂漠人だ。

この雄牛がなかよしなんだそうだ



 お目当ての子ヤギ。母ヤギが警戒している。栄養いっぱいのミルクを飲んで、ウンチをしたらとりあえず安心だ。

子羊は4匹いた

 自宅の犬バグティは、ガチガチ亡き後、南庭のボスになろうとしているようだ。自宅を放り出して、南庭にいる時間が長くなった。南庭には、飼い主を失った野良犬が何匹もやってきて、ハリルは結局餌をやり始めた。隣のおじさんに捨てられた犬は、わたしもオーナーの一人だと分かるとすり寄ってきて、撫でてくれとせがんでいた。本当にかわいそうな犬たち。彼らは餌よりも、飼い主が必要なのだ。


 最後に記念撮影をして、庭を後にした。さようなら、牛たち、羊たち、犬たち、猫たち。この景色と空気。

クミシュテペの町に戻る

 帰り道、行きに自転車を停めたあたりで、犬のガラアーラが出てきた。また自転車を停めてひとしきり撫でた後、彼女にもバイバイをした。

がんばってね、賢い犬よ

PR

犬と猫

 雨が降り、気温が10℃くらい下がった。寒がりの猫たちは冬を感じて不安になったのか、やたらに家の中に入ろうとしてくる。毎年、寒くなると弱い猫を家に入れていたので、今年の冬は彼らにとって過酷な状況になるだろう。なんとかがんばって生き抜いてほしい。
 数日前に、新しい猫が庭にやってきた。三毛猫で、ハリルは以前うちにいた猫だなどと言っていたが、そうではない、初めて見た猫だった。しかしその猫は、鼻が完全にもがれていた。頬の一部もなくなっていて、顔の正面から犬にかじられたんじゃないかと思う。それでも血は止まったようだし、食べることも鳴くこともできるので、一命はとりとめたのだろう。どこから来たのか、ここは安全地帯だと思ったようだ。今日は手洗い室で子猫のとなりで寝ていたし、餌の時間には群れに交じって食べていた。キティは他の猫に対してものすごく攻撃的な態度をとるのだが、傷ついた猫には手を出さなかった。猫たちは、弱いものはそれ以上いじめないということを自然に身につけているんだろうか。
 この家で過ごすのは、残り七日となった。はっきり言って、結婚式場から駆け出す花嫁の気分だ。これが結婚だったら確実にキャンセルしているが、自分で決めた帰国なので覚悟を決めるしかない。こちらもあちらもなんとかなるだろうけど、犬と猫のことだけはどうにもできない。

大きくなりました

チーちゃん。怒ってる?

 鶏の世話をするようになって、一年以上経っただろうか。今は食べる分には困らないくらい卵が取れるし、雛も順々に生まれて育っている。途中、死んでしまうのもいるけれど、それは仕方のないことだ。どの動物も、群れの中には強いものや弱いものが必ずいて、すべてが同じように育つわけではないようだ。弱いものは特別にケアをしても、生き延びないことの方が多い。死んだ雛は、犬のタロ子・ジロ子にやるけれど、大きくなって庭に出している雛が死んだ場合、タロ子・ジロ子には見せず、南庭の犬に持っていってもらう。庭を歩きまわっている雛を食べる癖がついてしまわないように、注意している。

二階が雛用、一階は鶏用の小屋。日中は庭に放し飼いにしている

 昨日、一羽の雌鶏が雛を孵した。卵を割った五羽がピヨピヨ、雌鶏の下で動いているのを確認したのだが、今日は親子で外に出て歩いていた。雌鶏が座っていたかごの中には割れかけの卵がもう二つあり、一つは雛が出かかった状態で死んでいた。雌鶏は新米だからか、その卵を潰してしまったようだ。


 この大きさの雛が外を歩くと猫に狩られてしまうので、急いで小屋の二階へ移した。雌鶏と卵も一緒だ。
 そういえば先日、また雄鶏を殺して食べた。どれを殺すかは、事前によく考えて決めていた。茶色の雄鶏が三羽いて、その中で一番大きいのが、雛の頃から目をかけていて、立派なリーダーとなった茶色い雄鶏。それによく似た雄鶏が一羽と、少し痩せているのが一羽だ。少し前に痩せているのを捕まえて殺そうとしたら、ものすごい悲鳴を上げた挙句、押さえていたハリルの手から逃げてしまったので、今回は二番手の茶色を殺すことにした。
 わたしが捕まえて、ハリルが首を落とした。雄鶏が悲鳴を上げているあいだ、わたしは離れたところで残る鶏たちに餌をやっていた。そして何気なく眺めた目の先に、二番手の茶色の雄鶏を見かけた。それはつまり、たった今悲鳴を上げて殺されたのは、わたしがずっと目をかけていた彼だということだ。とても美しく輝く赤茶色で、大きな体に育っていたのに。今度はわたしが悲鳴をあげて、「ひぇ~! 友達を殺しちゃった!」と言った。けれど、そのあとよく考えたら、彼を友達だと思っていたのはわたしの思い込みに過ぎないし、彼自身はただの鶏だったのだから、いずれ食べられてしまう運命だったと思い直した。動物たちの運命に、いろいろなストーリーをつけて考えているのはわたしの想像に過ぎない。彼らはまた別の次元で生を生きているのだろう。しかしどおりで、逃げ惑う鶏たちの中で、彼がわたしの目の前におとなしく座っていたはずだ。やはり信頼関係はあったのだからね。

ガチガチの死

 犬のガチガチが死んでしまった。鼻から血を流していたそうだ。南庭にいるガチガチはだいぶ老いていて、近づいても気がつかずに眠りこけていることが増えていた。それでも昨晩、南庭で見たときは、わたしのあいさつで起きた後に、門の前で外に向かって吠えたりしていた。きっと、仕事をしているところをわたしに見せようとしたのだろう。
 ガチガチは、以前はうちの庭にいたのだが、餌を独り占めするし、リーダーシップに欠けるので、ジャポンやバグティにも慕われていなかった。それで自ら南庭に移り、絶対的リーダーだったキングが死んだ後、なんとかその地位を得たようだった。それもそのはず、ほかの犬はみな雌犬か子犬だったのだ。
 それでも彼は、わたしが飼い犬として一番最初にかわいがった犬だった。首に紐を結んで義母の家からうちまで歩いたときは、まったく嫌がらずに、むしろ嬉しそうにわたしに繋がれて歩いていた。怖い犬がいると、わたしが彼の盾になって守ったものだ。
 猫のロミ夫が死んで、ガチガチも死んだ。時が流れ、時代が変わったことを実感する。

二か月前のガチガチ

ジロ子の恋

 ジロ子の恋の季節がやってきた。いつもどおり、近所の雄犬がうちに集まってしまって困っている。しかし今回は弱そうな犬ばかりなので、子猫が噛まれることはないだろう。
 二度妊娠したタロ子と違い、ジロ子は一度も妊娠したことがない。交尾しているところは何度も見たことがあるのだが、あまり食べないので発育が悪いのか、こういう結果だ。妊娠したらわたしたちが非常に困るのは確かだが、若いのにこどもができないジロ子は少しかわいそうに思えてくる。なぜ食が細いかというと、こどもの頃からヒエラルキーの一番下だったので、餌に十分ありつけなかったということがあるだろう。ジャポン、バグティはもちろんのこと、タロ子にも餌を横取りされてしまうからだ。
 今回、ジロ子に熱心にくっついている雄犬は、イチジクをくれた近所の親戚の犬だ。いつもその家の前の通りに座っているので、わたしも顔を見知っている。悪い犬ではなさそうだが、どのくらい賢いかは分からない。でもその穏やかで熱い視線と粘り強い態度で、ジロ子のハートを射止めたようだ。

順番待ちの雄犬が彼らの下に潜む

 ジロ子は最初、彼に向って吠えていたけれど、昨日ふと見かけた光景はわたしを驚かせた。二匹は寄り添って座り、雄犬が別の雄犬に噛まれてケガした前足の傷を、ジロ子が舐めてやっていたのだ。ジロ子はこの犬に恋をしているのだ、と思った。でも数日前には別の犬にお尻を許していたのだから、いったいどういう心境なのかは謎だ。盛りのついた犬たちを見ていると、いつも「犬畜生」という言葉が浮かんでくる。


 タロ子の恋は見たことがないのだが、二度目の出産で授かった子犬が
元気に育っている。これまでの子犬たちと比べて毛並みに艶がないのだが、このところ餌の質と量が低くなっていることがその原因だろう。犬猫たちはかわいそうだが、クミシュテペの人間たちも飢えかけているので仕方がないことだ。一度出て行った猫がうちに戻ってくるのも、外で拾える餌が減ったということがあるのかもしれない。
 

猫のごっこ遊び

 いま庭には、六ヶ月未満の月齢の子猫が4匹いる。ガウシャンの息子プシプシと、タイちゃんの子猫3匹だ。遊び盛りで、とくに黄色い猫が好奇心が強く、活発だ。プシプシもそうだが、オスの方が子猫のときに活発かもしれない。ときどきガウシャンにぶら下がってその3~4匹がおっぱいを飲んでいる。しかしガウシャンが出産したのは半年前。おっぱいが出ているはずがないのだ。だからこれは、おっぱいを飲むふりを楽しむ「ごっこ遊び」なのだなと思っていた。
ガウシャン親子
 そんなある日、家の中からふと外を覗いたら、彼らは玄関前でまたおっぱいごっこをしていた。でもよく見ると、母猫役はガウシャンではなく、ガウシャンの息子プシプシだった。雄の子猫のおっぱいにぶら下がる子猫たち。声をあげて笑ってしまった。

子犬

 タロ子の産んだ子犬は、順調に育っている。ようやく目が開いてきたようだ。


 体の模様が牛みたいで珍しいと思っていたけれど、全体的にタロ子によく似た犬だった。


 歯が生えていないので、口を大きく開けるとスヌーピーみたいでかわいい。しかしスヌーピーはあまり口を開けないんだったか? タロ子が彼を大事にしすぎて、風通しの悪い小屋の奥にしまいこんでしまうので、ときどき外に出している。人の目に触れないよう、盗まれないよう、気をつけなければならないのに、つい忘れてしまう。


 彼がちょこちょこ歩き回るようになったら、また楽しそうだ。しかしすでにいる四匹でも多すぎるので、自宅の庭に犬が増えることは、本当に困る。ナーセルの仕事の取引先に、犬を一匹欲しがっている人がいると聞いているので、順調に育ったら彼はやることになるだろう。その頃には庭の塀も造り終えて、タロ子・ジロ子の妊娠も抑制できるといいのだが…。まあ、楽観的に考えていこうと思っている。タロ子とジロ子は、わたしが日本に行っているあいだ随分と自由な時間を過ごしたようで、その結果がタロ子の9匹の出産だった。遊びすぎじゃないのか。


 小屋の中で育てていた鶏のヒナは、大きくなった順に12羽を外に出した。彼らは放し飼いにして草などを食べさせた後、自分たちで食べてしまうつもりだが、実際はどうなることやら。今のところかなり活動的で、庭中を歩き回っている。わたしだけでなく、犬にも猫にも近寄っていくけれど、みんなヒナを襲うことなく過ごしている。

プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

P R

Copyright ©  -- 砂漠人5 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]