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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「トルクメン・イラン」の記事一覧

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アンナック

「アンナック」というのは、既婚のトルクメン女性が頭に乗せている輪っかのことである。既婚女性は、外出する際は大きなスカーフの下に輪のかたちが見え、それが目印(わたし結婚していますので)となる。これを頭に乗せてスカーフを纏っていれば、へんな男にジロジロ見られたり声をかけられることもないというわけだ。


 市場にて。二人とも既婚です


 ハリルの妹(ハリマ)←ダジャレじゃないよ

わたしもひとつ持っているが、出かける際に乗せるのを忘れることもしばしばある。しかしそれは、トルクメンとしたら絶対にあってはならないことのようだ。こどもに「どうしておばさんはアンナックを乗せないの?」と聞かれることがよくある。
アンナックはスカーフの下に隠れているものなので、それが公の目に晒されることはまずない。けれど、女性たちはたいがいアンナックに刺繍を施している。わたしも市場で買った刺繍を自分のアンナックにはめて使っている。


 Myアンナック

じつはこれ、普段は果物などを盛る日本のざるの下に敷いて使っている。こうすると安定するのでちょうどいいのだった。トルクメンが見たら、たぶん呆れると思う。


 ご自由にどうぞ

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クミシュテペの冬

イランの気象予測について、テヘランの日本大使館から「厳しい冬となる見込みである」という知らせが十一月に来ていたのだが、どうも様子は変わったようだ。雨も少ないし、今のところ寒さもそれほど厳しくない。1月1日の今日、暦の違うイランでは普通の日だが、遅い朝食をとったあとに新年の景色を見てみようとひさしぶりにベランダに出てみた。


テヘランの方角

変わり映えのしないクミシュテペの風景。それでも冬に入ってから少し雨が降ったので、大麦が育ち始めている。お向かいさんの庭も、緑色がはっきり見えるようになった。どこも草が青々と生えて、羊、牛、馬、ロバなど動物たちもよろこんでいるだろう。


子猫4匹、全員集合! サーリジャはすっかり元気になりました

今年もよろしくお願いします。よい一年となりますように。

ペンダント

刺繍作品の製作も、そろそろ一区切りつけけて今年の分は終わりにしようと思っている。今年といっても、イラン暦の今年はまだあと三ヶ月ほど残っているのだが、仕事を頼んでいる刺し手の事情が変わったりして、少し行き詰ってしまった。
けれど、義母だけは黙々と仕事をしてくれている。目が見えない、肩が痛いなどとグチも多いが、順調なときはどんどん刺してしまい、新しい布地を催促する電話がかかってくるのだ。大きな布地を渡せば「大変すぎる」と不満を漏らすのに、「もういいよ。わたしの仕事はしなくていいから」と言えば「そうしたらほかに誰が刺すと言うんだい?」と、わたしを助けてくれると言いつつ、義母も本当は刺したいようなのだ。だから最近も義母の家と頻繁に行き来して、新しい作品の試作を続けている。


5cm四方のペンダント

これはトルクメン刺繍のペンダント。布と紐で作ってある。こんなものはゴールドが大好きなトルクメンの女性は作ったり身につけたりしないだろうけれど、アクセサリーもなにか作ってみたいので試作している。この作業においても義母は「小さすぎるのは大変だ」と不満を言うのだが、図案を描いて渡している布は、刺しやすいように大きめのものを用意している。それに、刺したあとに四角い袋状に縫う難しい部分はわたしがやっているのだ。「お母さんは刺すだけで、あとはわたしが作業してるんじゃん! いったいなにが大変なんじゃ~」と言ったら黙ってしまった。でも出来に満足できないと二度も三度もやり直しを頼んだりするので、義母もうんざりしているのかもしれない。そういったブラッシュアップの作業には慣れていないというのもあるだろう。でもわたしは彼女がプロフェッショナルな刺し手であることを知っているので、こちらもできる限り努力をした上で、懲りずに頼もうと思っている。
昨日は義母が新しいアイディアを出してくれた。絨毯にある図案をちょっと変化させて、バッグの中央に刺したいそうだ。さっそく家に帰って絨毯とにらめっこして、図案を起こしてみた。次はバッグのモデルを考えて、布を用意して、母上様に献上しよう。


絨毯の中には模様がいっぱい

図案描き

トルクメンの民芸品製作は、細々と続けている。
作る品物の種類はわたしが考えて、そのための生地を用意し、刺繍の部分だけを刺し手に頼んでいる。すべての作業を地元の人にしてもらい、わたしは完成品を買うだけになるのが最終目標だが、始まったばかりの今はそれにはほど遠い。トルクメンは刺繍は上手なのだが、縫製作業となると急にその質が落ちてしまうので、品質を上げるためにほとんど自分で縫っているのが現状だ。教えればいいじゃないかと思うかもしれないが、若い子は外出すべきでないなどと言い訳して来ないし、おばさんたちはあれやこれやで忙しく、約束した日時にきちんと来るということができる人はいない。わたしも今はそんな呑気な日常につき合う根気がないので、自分で縫った方が早いということになるのだ。
布地のうち刺繍を施す部分は、裏側に別の布を数枚重ねて分厚くする必要がある。そうしないと模様がきれいに出ないのだそうだ。だからまずは布地をキルト化し、それから作品のかたちに縫製する。今回は小さなハンドバッグを作るので、やはりキルトした生地を縫い合わせてボディにした。


ハンドバッグの土台

これまではボディを仕上げたところで刺し手に渡していたのだが、義母がわたしに図案を描けと言うのでちょっとやってみることにした。この図案描きの作業もひとつの仕事なので、誰かにやってもらってその代金を払うべきだとわたしは考え、何度も何度も説明したのだが、義母は「近所の人に頼むとお金がかかる、あなたが描きなさい」の一点張りで要領を得ない。もう仕方がないので義母の分だけは自分で描いて渡そうと思ったのだ。


GELLY ROLLという日本製(?)のペンで描く。ペンはクミシュテペで買える

ところがこれがやってみたらものすごくおもしろくて、ハマってしまった! 図案集などというものはもちろんないけれど、個人的に図案ノートを作っている人はいるようだ。そのノートを見せてもらったら、整然と図案が並んでいるわけではなく、覚書のようなメモ帳のようなものだった。そこでわたしは義母の昔の作品(ズボン)を貸してもらって、いくつかを写すことにした。


実物のズボン

この幾何学模様の組み合わせを手で描くという作業が、想像していたより新鮮でおもしろい。実際は布に描くので、紙の上のようには簡単ではないけれど、ものすごく難しいわけでもない。もっといろいろな模様を探して、描いてみようと思っている。


ひとつが5センチ四方の小さな作品。何になるかはまたのお楽しみに

ハリルは、模様の型を作ってスタンプのように押すだけにすれば簡単だとしきりに言うのだが、刺繍を施す布の大きさはまちまちなので、それではうまくいかないのだ。正方形の模様ならそれでもよさそうだが、正方形の大きさも今のところ色々あるので、すべての型を作るのも手間がかかる。結局、手仕事というのは効率がよくないものなのだと思う。でも作業が楽しいし、時間に余裕があるのがクミシュテペ生活のいいところなので、それを生かしてやってきたい。

まるい巾着袋

クミシュテペに住む女性は、ほとんどが少女時代に刺繍を習い始める。いまだにそうだが、習った人すべてが手仕事が好きとも上手とも限らないので、義母のように一生刺し続ける人は稀だろう。子育てが一段落する40歳くらいになると早ければ老眼が始まるし、砂漠の町でも現代のせわしない生活では、ゆっくり座って刺繍をする時間を見つけるのも容易ではない。
わたしは刺繍をはじめとするトルクメンの手仕事を、彼女たちの収入につながるような形で発展させたいと考えている。また、わたし自身の日本での滞在費などがこれによって得られれば願ったり叶ったりだ。しかしながら、手仕事でお金儲けはできないこともよく分かっているので、まずはこの仕事をする意義を見出していきたい。それは、個人的には大いにあるのだ。トルクメン社会に嫁入りしながら、決してトルクメンにはなり切れない日本人のわたしができることといえば、両方に足のかかった立場で生み出せるものをつくるのが一案だと思っている。この仕事が発展することによって、ここでの自分の存在意義が見いだせないだろうかと期待もしている。
以上は大義名分だが、彼女たちの刺繍がすてきなので、なんとか日本でも使えるものにして世に送り出したいというのが実際のところだ。

この巾着袋は、わたしがここ何年もこだわっているまるい形のもの。紐を搾るとまんまるになるその形がとても気に入っている。この袋にトルクメンの刺繍を刺したらピッタリだと思うのだが、どうだろう? この模様は、よく使われる「グル(花)」である。紐は暫定的にリボンを結んでいるけれど、商品としてはトルクメン独特の組み紐を使う予定だ。
ちなみに刺繍の刺し手は義母ではなく、わたしより少し年上の女性だ。彼女の作品はほかにも目を見張るものがあったので、今後重要な刺し手のひとりとしてとても期待している。

手さげ

義母のトルクメン刺繍を施したポケットがついた、手さげを縫いあげた。麻100%なのでやわらかく、折りたたんでバッグに入れておけるエコバッグのようなもの。

今回の刺繍は、かなり独特なかたちと配色だ。義母はなにも言わなくても色の組み合わせを上手にしてくれる。ほかの刺し手にはつい、配色に関して明度、彩度、色相などの話をしてしまいがちなのだが、義母の才能と経験を前にして、そんなものは無用だ。もっとも、明度などの話はいくら説明しても正確に理解してくれる人はいない。こういうことは言葉で話しても理解は深まらないので、まず刺してもらい、その作品を前にしてあれこれ言うのが効果的だとわたしも悟ってきた。

義母や若い刺し手のなかに宿る図柄をできる限り引き出すことが、わたしの役目だと思っている。

ペンケース

刺繍のペンケースに裏地をつけた。これは義母ではなく、義母の娘、つまりハリルの妹が刺したもの。彼女は50歳代だろうか、まだ若いので刺繍のスティッチも細かく正確だ。

一番左の模様は、バスの中で見かけた女性が履いていたズボンの裾を見て、それをまねしたそうだ。トルクメンの刺繍は、民族衣装である女性のワンピースの襟ぐりや袖口、そしてズボンの裾に施されている。男性の場合は、頭の上に乗せる小さなイスラムの帽子がある。百年前と今で、身につけているものの種類はそれほど変わっていないんじゃないだろうか。ワンピースのウエストをくびれさせたり、胸元にヨーロッパ風の装飾を取り入れたり形の変化は少しはあるけれど、それも大きなスカーフを被ってしまえば隠れる程度だ。
これだけの刺繍技術を、ほとんどのトルクメン女性が習得して日常着に使っている。なによりもその幾何学的な模様がとても魅力的なので、日本にも紹介したいと思ったのだが、丈の長いワンピースもズボンも、日本人女性のファッションにはとても適するものではない。だから、ペンケースやバッグなど実用的なものにして紹介したいと思ったのだ。

義母以外の刺し手の作品やそのほかのトルクメンの民芸品は、小さなネットショップを開いて販売したいと思っている。開店はまだ数ヶ月先になりますが、わたしたちの小さな商売をどうぞ見守ってください。

プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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