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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「住まい」の記事一覧

水槽設置

うちの水道と電気関係の工事は、このところずっとアフーンがしてくれている。アフーンは、一昨年亡くなったお向かいさんのアフーンを通じて知り合った人だ。「アフーン」というのはイスラムの聖職者の呼名なのだが、位がどれほどなのかはわたしは知らない。お葬式などでお経をあげたりするそうだから、お坊さんなのではないかと思う。彼はさすがお坊さんだけあって、物事を理解するレベルがほかのクミシュテペ人とは違うようにみえる。もっとも、彼はクミシュテペに住んでいないのだが。アフーンなのに、職人として生計を立てているようだ。


下でロープを引っ張っているのがアフーン。きっとわたしより若い

最初の引き上げは失敗したようで、位置を変えてまた上げていた。おそらくベランダの柵に滑車をつけてロープで引き上げている。この滑車のことを、トルクメン語で「ガラガラ」というのだが、回るときのカラカラをいう音がそのまま道具の名になったとしか思えない。
上にはナーセルと力仕事の職人がいる。ナーセルが連れてきた人はハリルより力がなさそうに見えたが、なにかの技術を持つ人だとハリルは言っていた。


職人さん


ハリルさん。いつもユーモアがあっていいですね

水槽は無事ベランダに引き上げられ、アフーンがパイプを整備して水を貯め、家中に配水されるようになった。これで電動モーターを使わなくても水道を使うことができる。重要なのは、断水時や水圧の弱いときにも変わりなく家の中の水道が使えるということなのだった。
うちは地下に二つの水槽があって、一つは飲み水用に雨水を、もう一つは飲み水の倍量の大きさに水道水を貯めている。ベランダの水槽は空になるたびに、地下水槽からくみ上げて使う。まあとにかく、便利で経済的になったのだ。
ところで以前の記事はアフーンを「アーフン」と書いていた。実際「アフーン」にも「アーフン」にも聞こえるのでどちらでもいいのだが、これがペルシャ語なのかトルクメン語なのかは分からない。未だに分からないことがたくさんあるのだった。

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フックの取りつけ

ニワトリ御殿 新築の一階に、いくつかフックを取りつけた。イランにも質のいいフックはあるはずなのだが、クミシュテペの市場で売っているものや近所の人が使っているフックはどれもみなプラスチックに銀色の塗装をしただけのもの。一階のためには、以前から周到に準備しておいた。日本の友人がイケアで買って、郵送してくれた貴重なフック類があるのだ。


 玄関を入ったところにコート掛け


 洗面台の脇にタオル掛け


 台所のシンク脚にタオル掛け&鍋つかみ掛け。包丁をつけるマグネットも設置した


 浴室の壁にタオル掛け(奥の壁にもレールをつけた)。手前のレールはシャワーカーテン用のつっぱり棒(仮)です

手前の5つ掛けのフックは、その上に鏡を垂らして棚もつけるので、ドライヤー類を吊るす予定だ。
どのフックも壁にドリルで穴を開けて、プラスチックの筒のようなものを入れ、そこにネジを入れた。穴あけは電気ドリルを借りたけれど、ネジを入れるのはドライバーを使って手作業でした。いずれにしても初めてやった作業だったので、思ったより難しく、何度もドリルを壁に這わせてしまったのだが。


 失敗するとこうなります

職人が失敗したら怒るけど、自分でやったので文句が言えない。せいぜい「女のわたしには難しいよ…」とぼやくくらいだ。玄関のコート掛けは高いところにあったので職人に手伝ってもらったら、プロの作業は自分のしたものとはまったく違っていた。穴の中にプラスチックの筒を入れるときは、ネジを入れた状態でねじ込んでいた。わたしはプラスチックだけをねじ込んだので、穴自体を大きく開けていたのだ。それからプラスチックの余った部分をナイフで切るとき、わたしはカッターでギコギコ切っていたのだが、職人は切り口にナイフを当てて、金槌でナイフを叩いて切っていた。たった一度の見学で、職人の技を二つも学ぶことができた。
玄関、洗面所、台所、浴室とそれぞれに、棚も取りつける予定だ。棚と言っても一番単純な形の、棚板をブラケットで止めるタイプのもの。今日はイチロー似の木工職人ワハブが来て棚板用の採寸をしてくれた。一週間以内に納品できないのなら今回は要らないと言ったのだが、「日本から帰ってきたらやればいい」とか言っていた。「帰ってこないかもしれない」とも言っておいたので、どうなることやら。


 コート掛けの上に一つと、ドアの横の壁に二つの棚を取りつけたい


 おまけに、アークジャ。よくうちの玄関前に餌を食べにくる

今日はアークジャの前歯をよく見てみたら、下の小さな歯が2~3本しか生えていなかった。アークジャは子猫のときからお向かいさんが飼っているのだが、満足に餌をもらえなかったのかもしれない。最初はうちに捨てようとしたお向かいさんだが、つい最近ハリルに「飼ってよかった。ネズミが出ることがなくなった」と言ったそうだ。

新築した地上階はどうなったのか

去年の夏に新築(倉庫を改装)した自宅の地上階はどうなったのか。内装工事はほとんどすべて終わったはずなのだが、結局、引越はせずに今年の冬も二階で過ごした。その理由は、ハリルにとっては「家具一式を買っていないから」のようだが、わたしにとっては「台所の床がきれいにならないから」だった。


台所

明るいレンガ色のはずのタイルが真っ白になっている。当初は、これは職人が目地材を上手に拭き取らなかったからだと思っていたのだが、その後、壁を白く塗ったときの粉がこびりついているのだということが分かった。タイルを貼ったばかりの床になにも敷かずに壁を塗って(白いセメントを叩きつけて)いたのだ。今ではもう驚きもしないけれど、当時は油断していてこういうことになった。
固まった白い粉は手ごわい汚れで落ちることがなかったが、ハリルの弟ジェリルが金属のブラシを持ってきてくれて、それで力を入れてこすればなんとかなるようだった。けれどわたしは、もうこの部屋で生活する気力も失せてしまったので、放っておいた。そのうちハリルが養鶏を始めて、こうなった。


  玄関を入ると…


 サロン全体

床には一面にニワトリ様たちの糞が敷き詰められている。別に、なんにも感じませんけど。ナーセル一家はこれをすべて掃除して、一階に住んでくれるそうだ。ほんとかね。ちなみに二つの寝室は、それぞれメンドリ様一家のお住まいになっております。

 

台所

台所の内装は完成した。ここはレンガ壁やタイルなど、自分の希望がだいたい通ったので満足している。西日が当たって、夏はとても暑い部屋になりそうだ。冬はこれまで冷蔵庫のような部屋で食事の支度をしていたので、ここなら少しましになるだろう。

台所とサロンはドアで仕切られている。ドアは希望どおり、サロン側に開く。

シンクをつけた側の壁には、二階からの水道管を隠すための覆いがつけられた。サロンにもついている。思ったよりは洗練されたテクニックだった。

勝手口の外の階段は、石が貼られてきれいになった。二匹の黒トラは、まるで双子のようだ。一匹はタイちゃんの子で、もう一匹はお向かいさんがうちに捨てた、母親不明の猫だ。父親は、二匹ともたぶん例の黒トラだろう。


ふてぶてしい近所の黒トラ。望遠で撮った

寝室前の階段

ついに南側の壁も白くなった。外装は、完成まであとひと息だ。とはいえ、完成するのは西側と南側の壁だけで、東と北はレンガ壁のままである。北側はお隣さんの許可が出ないので、工事はできないことが分かっている。東側のお隣さんは問題ないけれど、彼らの庭から赤い花の咲く蔓が見事にうちの壁を伝っているので、そのままでもいいような気もする。初めのうちは、四つの壁面すべてが同じ装いでないトルクメンの家に違和感を覚えて仕方なかったが、今は慣れてしまった。そして気がついたら自分の家もそうなっていた。
さて、南側の端にある寝室の出口には、小さな階段がついている。これは夜中にトイレに行く際に使う私用の出口となるはずだ(でもこういう場所は、こどもが好きなんだな)。わたしはひそかに、高いところに猫の居場所を作ろうと思っている。


階段下の階段のはなしです


下段が未完成

階段用の灰色の石だけ新しく買って、あとは職人Kに任せようと思っていたのだが、ここでうっかり作業現場を見てしまい、しばし考えた。まずは、ドアを出たところに貼ってある茶色のタイル。とても変な柄なので、家には使わないようにしたいと思っていたのをバッチリ敷いてあった。この家を造ったときに使った残りのタイルがいくつかあるのだが、このタイルはどこにも使われていないにもかかわらず、数枚のストックがあった。それを彼は選んで使ったようだ。


この白いタイルは絶対に使いたくない。いっそのこと、割ってしまおうか?(笑)

でも、階段の踊り場用のタイルを用意していなかったので仕方がない。これ以上新しくタイルを買ってほしいとハリルに言うのを、わたしもためらったのだ。なにしろこの家の建設には、すでに相当のお金がかかっていて、それがどれだけハリルの負担になっているかを考えたからだ。
さて、残る下の踊場部分はどう埋めるのか。使えそうなのは、茶色、鈍い茶色、灰色の正方形のタイルだった。職人は茶色と鈍い茶色を組み合わせて、全体的に茶色っぽい面を作ろうと考えたようだが、わたしは灰色のタイルと組み合わせてほしいと伝えた。そしてできたのがこれ。

あれー? 失敗か? 茶色でまとめた方がよかったかと思ったけれど、やはり階段となじんでいるような気もするし、どちらでもそれほど変わりないかと思い直した。ここの作業も無事終わり、あと残っているのは玄関前のアプローチくらいだ。しかしハリルは、お金があったら建設(建て増し)を続けたいと言っている。

台所

ラマダンを挟んで二ヶ月近く放ってあった地上階の工事が、突然再開した。まずは、残っていた台所の天板を乗せる作業が終わり、ようやく形になった。

天板の高さは93cmと、希望どおりになったのでほっと一息ついた。天板を壁一面に渡し、シンクを中央につけてある。イラン産のシンクは底が浅いものが多いのだが、使っているうちに慣れたので、地上階にも同じものを買った。蛇口も買物済みなのだが、水道の設置は別の職人がする作業なので、部屋の内装ができあがるまで待たなければならない。水道を設置する際は、せっかくできあがったシンクの脚に、また無造作な穴が開くのだろう。

レンガ壁の下の空いたところには、ガス台をすっぽり納めることになる。窓ガラスもドアもついたので、ここもだいぶ部屋らしくなってきた。


西側の壁。右下が台所

そしてついに完成した、西側の壁。窓ガラスが入り、壁一面が白く塗られた。傍目にはどう見えるか分からないが、わたしはとても満足している。この壁はお向かいの家からよく見える。去年亡くなったアーフンに、ぜひ見せたかった。生前はうちの汚らしい壁を毎日見て過ごしたと思うので、申しわけなかったな。
今は家の前の通りからこのように、西側の壁がばっちり見えるけれど、すべての工事が終わったら、通りと敷地のあいだに高い壁を建てて、プライバシーはしっかり確保するつもりだ。本当にその日が来たら、わたしは泣くかもしれない。

追記:

その後、シンクのまわりにタイルが貼られた。このタイルと床のタイルは、レンガ壁に合わせてわたしが選んだものなので、こうして無事に貼り終えたことに胸が熱くなる(掃除しないとよく見えないけどね)。床のタイルは20cm四方の小さいもので、貼る作業が大変だと職人が文句を言っていたけれど、「他になかった」と嘘をつきました。


シンクまわりのタイルはこういう柄

台所のキャビネット

最後に残った、台所の工事が始まった。なんといっても、ここはわたしにとってのハイライト。大きな力が入る(監視の頻度が上がる)。監視というのは失礼だが、大まかにでも、わたしが計画したとおりに機能する台所にならないと困るので、工事のあいだそばにいて、質問するようにしている。これを家のすべてにやっていたら身が持たないだろう。もう家を建てるのは金輪際ごめんだ。日本でも、リフォームでも、いやだね。


キャビネットの脚

床のタイル張りが終わり、今度はキャビネット造りにとりかかった。キャビネットといっても、吊戸棚はつけないので、シンクとガス台とそれを繋ぐ台がL字型に造られる。ワークトップは石で、脚はレンガを積んで造っている。本当は、ガス台の前のレンガ壁と調和するように、キャビネットの脚もレンガむき出しにしたかったのだが、ナーセルが買い足してくれたものが予想どおりボロボロだったので、レンガは隠すしかないようだ。このままだと見た目はがまんできても、でこぼこのところに虫が巣を作ってしまう。


ガス台の前のレンガ壁(あとで白い目地を入れるそうだが、不安100%)


キャビネットの脚に積むレンガ。廃材か!(笑)

さて、キャビネットの配置については、わたしは細かくスケッチを描いてある。職人Kが説明してくれたとおりの本数の脚を、何cmごとに設置すべきかを計画した。

おまけに、脚の途中に石をもう一枚かませることで、鍋を置くための棚を造るようにした。それからシンクのまわりの壁は、水が飛び散ってもいいようにタイルを貼ることにした。全体の壁は白いモルタルになる。台の高さは90~95cmを指定した。以前から何度も言ってあったが、結局はスタンダードで造ろうとする職人の習性をわたしも習っているので、直前にもう一度確認して正解だった。ちなみにイランのスタンダードは、85cmだそうだ。身長165cmのわたしには少し低いし、台所ではサンダルを履く可能性が高いので、90cm以下だと作業がしにくくなるのだ。


棚部分ができたところ

トップに置く石は、石屋さんが指定の大きさに切ってくれる。すべての資材は、施工主が店で買い、自分で持って帰るのが基本だ。もし配達を頼んだならば、その費用は負担することになる。それから作業の段になって、細かいカッティングを職人が行う。石に関しては、その角をやする作業を職人Kがしている。機械は、職人自前のものだ。これで石を削ったり、タイルを切ったりする。

ところで台所の床は貼ったばかりなのだが、すでにこんな具合だ。ちょっと見では、遺跡の修復現場のようにも見える。


テラコッタ風にしたつもりの、新築の床

壁に面した中央にはシンクを置き、レンガ壁の前にガス台を置く。上の写真で職人が造っている最後の脚は、ガス台の右側にあたる部分で、35cmの幅がある。鍋ややかんを置くと思ったので太くしてほしいと頼んだのだが、これだけの幅をレンガで潰すのはもったいない。そこで前面の上の方に、レンガを抜いて小さな穴を造れないか聞いてみた。小物入れを作れないかと思ったのだ。わたしはできると確信したのだが、職人Kはちょっと考えてできないと言った。要は、面倒なことはしたくないのだろう。換気扇用の穴のように、上の部分にセラミックを被せれば、簡単にできると思うのだが。


これと同じ構造で

でも、床には20cm角の小さなタイルを選んで、職人を余分に働かせてしまったので、ここはすぐに折れることにした。台所の床面積は10平米ちょっとの大きさなのだが、そこに20cm角のタイルを貼るのに職人Kは二日かけていた。ひとつひとつ調整しながら貼るので、大変なのだ。

キャビネットの脚がすべてできあがり、翌日はその表面がセメントで補強された。このあと白いモルタルを塗るか、タイルを貼るかを決めなければならない。わたしの考えは白いモルタルに傾いているが、白くて安いタイルがあるならば、それでもいいかもしれない。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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