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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   
カテゴリー「さばくの民芸店」の記事一覧

さばくの民芸店

ついにウェブショップを開店しました。この1~2年のあいだに義母やほかの若い刺し手といっしょに製作したものに加えて、クミシュテペで織られた絨毯とキリムも少し販売しています。

さばくの民芸店:https://turkmen.thebase.in/

義母の刺繍仕事は、これが最後のものとなってしまいました。ハンドバッグとバラックは、すべて彼女が刺したものです。バラックはトルクメン女性の下着なので、部屋着としてぴったりです。ストレスフリーのズボンの履き心地を、一度体験してみてください。

商品は日本国内への発送を前提としていますが、海外への発送をご希望の場合は、ウェブショップ内の CONTACT よりメッセージをいただければ幸いです。

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çaý gap(チャイ・ガプ)

クモのパターンを以前に作った、チャイ・ガプ(茶葉入れ)。今回は「サソリ」のパターンができあがった。例によって、キンドルが入る大きさにしてある。


トルクメンのバラック(ズボン)は、裾にいろいろな柄の刺繍を施すものなのだが、メインとなる柄の外側(つまり裾から一番遠いところ)に、白でレースのように刺して仕上げる部分がある。それを「サーリチヤン」という。サーリチヤンは、トルクメン語で「サソリ」の意味だ。たしかに、サソリに見えるサーリチヤンもあるのだが、多くのものはメインの柄に似合った、さまざまな形をしている。



メインの柄が大きくても小さくても、それに合ったサーリチヤンを刺す


このチャイ・ガプに施されたメインの柄は、それ自体がサーリチヤンという名前だ。いろいろな色で刺してあるので、ドゥルリ(various)・サーリチヤンという。そう言われると、サソリが並んでいるように見えなくもない。色の組み合わせで、同じ図案でも別の形に見えることがあるのも、おもしろい。

義母が刺したハンドバッグ。大きな刺繍部分がサーリチヤン

リストバンド

しばらくのあいだ、夢中になって作っていた作品が完成した。それは初めてのアクセサリーで、手首につけるもの。リストバンドというのかな?


古いトルクメンのタバコケースの「四ツ目」という図柄を見て、それでなにか身につけるものを作ろうと考えていた。できあがったこれは、義母や周りのトルクメンにもかなり好評を得ている。さっそく刺し手に渡して商品の製作を始めたいけれど、はたして日本でリストバンドを身につける人はいるだろうか。実際、見たことがない。それでも、これは作るつもりだ(笑)。わたしは時間があればとにかく刺したが、それでも一週間くらいかかったと思う。



刺繍のステッチについて

トルクメン刺繍のステッチは、チェーンステッチという技法に近い。ただし、その刺し方は独特で、布のすくい方や糸の押さえ方、ステッチの間隔の狭さなどが、いわゆるチェーンステッチとは異なっている。


トルクメンの中でも、とくにヨムート族の刺繍は緻密だと感じる。そして昔のものよりも、現代のスティッチはさらに緻密になっているような気がする。昔は砂漠で放牧生活をしていた女性も多かっただろうから、町で生活する現代のトルクメンは、より近眼的なのかもしれない。


上は、いま試作している「四ツ目」の刺繍。緑の枠線を刺し、その内側の四ツ目の枠線を刺し終えたところだ。チェーンステッチひと筋だが、線の外側が一本の線のように連なって見えるのが分かるだろうか。独特の刺し方をすると、こういう形になる。そしてその内側に刺す線は反対まわりに刺せば、二本の線が一本の太い線に見える効果があり、美しく見える。
…なにを言っているんだか分からなくても、問題ありません。できあがったら「美しい~」となるはずだから。

次に、わたしが初めて刺したものと、最近刺したものを比べてみたい。最初に自分で刺繍をしてみたのは、おそらく二年くらい前だと思う。そのときは見よう見まねで刺して、まあまあ上手に刺せたと思ったが、義母のスティッチと比べてみたら、まったく違うものに見えたのを覚えている。今でも、職人のものと比べて自分のスティッチがゴミのように見えることがあるけれど、さすがにトルクメン刺繍の範疇には入ったと思う。

はじめてのトルクメン刺繍

二年後

しかしまだ、指先に穴を開けたりして痛いし、やたらに肩が凝ったりして、名人の域はまったく見えてこない。

四ツ目の習作

新しい作品を決めるための、習作ができた。


商品にするものの刺繍はすべて、上手な刺し手に頼んでいる。わたしの仕事は、どういうものを作るか、それをどう作るか、色や形はどうするかを決めることなので、プロデューサーといったところだろうか。しかし決めたはいいが、ほぼすべての商品の縫製作業も自分でやっているので、進行がもたもたしている。縫製作業を地元の女性にやってもらうとなるとさらに時間がかかりそうなので、これが一番早いのだが。
さて、上の刺繍は、トルクメンの古いタバコケースなどに施されている模様から習ったものだ。てっきり花の模様だと思って刺したあと義母に見せたら、これは「四ツ目」というデザインだとか。配色はこれで正解だと言ってくれたけれど、色褪せていい感じになったアンティークのものと比べると、別物ののよう。


なるべく古いものを見てまねしようと思っているのだが、古い刺繍は色が褪せてしまってとくに黒・青・緑の判別が難しい。配色のルールは、大原則は今も同じようだとはいえ、枠線の色が違ったりするので写真から読み取るだけでは不確かなのだ。今、刺繍をしている女性たちも、義母ほどの年齢で配色の変遷を見てきた人でないと、本来の原則を知らないだろう。
それにしても、昔は草木染をした天然のシルクで刺していたため、百年以上経った今でも美しい色合いを見せている。生地も、手織りの木綿を使っていたはずだ。噛みタバコを入れるケースなので、夫を想って細かい模様を刺したのだろうか。四ツ目は、お守りの意味もあったかもしれない。芸術的だ。

ペンケース

ペンケースの刺繍をまた買い取ってきたので、さっそくケースの形に縫った。あとはそれぞれに裏地をつける作業が待っている。
この刺し手は仕事ができるので、ペンケース1本を約一日で仕上げるようだ。とはいえ、十日で10本という訳にはいかないだろう。非常に細かい作業のため、ぶっ通しで8時間できるものではないし、家事や子育ての合間に集中できる時間を見つけるのも大変だろうから。この仕事は収入はたいしてよくないけれど、家で好きなときにできるのがいいところだ。しかしトルクメン刺繍はほとんど売買されないので、お祝いの品としてオーダーがくる以外、お金をもらって刺している人は稀だろう。どの刺し手にも、わたしは精度を高く要求するので、相場より少し高い値段を支払おうと思っている。


これらの小さな模様は、どれも幅が1センチ以下の大きさだ。刺繍はどれもバラック(女性がワンピースの下に履くズボン)が基本となっていて、ペンケースに刺しているのは、バラックに刺す中でも一番小さな模様だ。最近は薄い生地で一本のズボンを縫い、こういった刺繍をささっと刺して、古くなったら再利用せず処分してしまうのだと思う。昔ながらの大きな模様を刺したバラックは二枚仕立てになっているので、上の方が傷んだら、生地を変えて縫い直したり、裾だけを再利用したりしていたようだ。


今作っている商品は春にウェブショップで販売するつもりだが、この刺繍はぜひ間近に見て手に取って選んでほしいと思っている。予定はまだないものの、展示会をぜひまたやりたい。ワークショップなんかも楽しそうだ。本当は熟練された刺し手を一人、日本に連れて行きたいが、これはまだ夢の域を出ない。

裏地をつけるともう少ししゃんとします

チャイ・ガプ

新作である、袋ができあがった。ちょうどキンドルが収まるサイズだが、手帳を入れてもいいし、特に用途は決まっていない。昔のトルクメンは、茶葉を携帯するときに使う「チャイ・ガプ」というものを持っていたようだが、それがこういう形をしていた。チャイ・ガプは古くなったバラックの裾の部分を切り取って、リメイクした袋の場合もあったようだ。

わたしが形を考えて布地を縫い(表布はキルティング)、図案を描いて、刺し手に刺繍をしてもらった。そのあと裏地をつけて、仕上げのチュナール(入り口の縞模様の部分)を別の刺し手に手がけてもらった。刺繍とチュナールは別の作業なので、同じ人が両方できる場合は多くない。義母はもちろん、どちらもできるのだが、最近では義母ほどのマルチな才能の人は少ないようだ。それでチュナール職人を見つけるのに相当時間がかかってしまった。必要(需要)がないというのと、向上心があまりないのと両方が、一方しかできない理由なんじゃないかとわたしは見ている。



ちなみに刺繍の模様は、伝統的な「クモ」の形。菊の花ではありません。春に販売予定です。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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