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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

しあわせとは

自分の手帳を整理していたら、四葉のクローバーが出てきた。そういえば日本にいるときに、田んぼの脇で大きなのを見つけて、本に挟んで押したものを持っていたのだった。


手帳の整理は断捨離の一環だったのだが、どうしてわたしはいつも四葉のクローバーを探しては持ち帰り、本や辞書に挟んでいるのか、ちょっと考えてみた。単純に、しあわせになりたいと考えていて、「四葉のクローバーを持っているとしあわせになる」とこどもの頃から信じていて、その習慣を今でも手放さずにやっていたのだろう。そう思ったら、「四葉のクローバーを挟んでいてもしあわせにはならないから!」と自分でツッコミを入れると同時に、しあわせを願ってクローバーを摘んでいる自分がちょっとかわいいね、と思ったのだった。
でも、このクローバーは捨てた。上の事実を確認できたことで、要らなくなったのだ。これからもしあわせを願えばいいけれど、クローバーを摘んで持ち歩かなくてもそれはできそうだから。
クミシュテペに移住して五年が経ち、何事もうまくいかない状況が継続的にあり、資産も減る一方だ。スウェーデンにいた頃にハリルと描いていた「砂漠での暮らし」とはまったく異なる未知の世界を歩いてきたような感じで、ふと「これでいいのだろうか?」と考えることが増えてきた。いろいろな事情により、ひと言で言って「不毛」な場所であるため、将来の見通しが立たないどころか、お先真っ暗にも見える。しかし日々、そのときを生きている実感は強くあるし、空気や食べるものは最高で、暑さや虫による不快な状況があるにもかかわらず、夜は熟睡できて夢すら見ることがない。これはしあわせな人の生活といっていいのだと思う。
先日、スウェーデン時代に仲の良かった友人と連絡を取ったら、彼女は病気で仕事を休んでいると言っていた。ブラジル出身の彼女は、サンパウロで弁護士をしていたのだが、スウェーデン人の夫の転勤を機にカナダへ移住、その後スウェーデンへ移住したのだった。しかしスウェーデンで弁護士になる道は険しすぎたようで、彼女は調理のコースを取って学び、わたしがイランに移住した頃にはコックとして働くようになった。ホテルのレストランで順調に働いていたと思っていたのだが、去年は新しい上司とうまくいかず、ストレスで体調不良となってしまったそうだ。それでもスウェーデンという社会は日本と違い、そういう場合は休みを取って病気をケアする施設に通うことができる。もちろん、国がその費用を補助してくれる。そして彼女は、夏からは製菓のコースを取り、一年間勉強する予定だと言っていた。それも、国が費用を補助してくれる。体調を崩しても、ケアをした後で仕事の現場に戻ってくるための道筋がスウェーデン社会にはちゃんとあるのだ。だから、もともとタフな彼女のことだから、状況もきっといい方に向かうと思っている。
しかしその話を聞いて、思わず色々と比べてしまった。スウェーデンのように、しくみの洗練された社会に生きていても、ストレスで病気になってしまった友人。一方、腐り切った社会に住んで何事もうまくいかないけれど、健康そのものの自分。次から次へと体を使う仕事があって、精神的な病にかかっている状況にないのだ。よく食べてよく寝るからさらに健康になってしまう。日本に帰ったときに受けた健康診断では、オールA、身体測定ではからだ年齢が28歳だと結果が出た。実際に28歳だったころは東京で働いていたけれど、そのときの方がかなり年を取っていたと思う。
友人と自分を比べて、二つの社会の比較をするつもりではない。しあわせとは一体どこから来るのか、どういう状況がしあわせなのか、これを定義することはじつに難しいと思うのだ。そしてわたしは、この不毛な、ポンコツな、救いのない環境に生きる自分の暮らしも、それほど悲劇でもないのかと思い直しつつ、ひよこに餌をやりに行くのだった。

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No Title

  • by May
  • URL
  • 2017/07/04(Tue)07:52
  • Edit
人の幸せって分からないですよね。
本当にそれぞれ基準が違う。
家族に縁が薄い私は、団欒が持てることを幸せだと思っているわけですが、それって単に無いものねだりと言うのかな。
食卓を囲んでその日の出来事を話し合う家族だとか、コーヒーテーブルで会話する夫婦だとか見ると”幸せそうだなぁ~”と思います。
kumikoさん、からだ年齢28っていいですね。
私は80近い気がします(笑)

Mayさん

  • by 砂漠人
  • 2017/07/05 02:55
家族の団らんって、「ほっこり」ばかりじゃないですよね。
夫婦の会話も(笑)。どうしても隣の芝生は青く見えます。
自宅にある体脂肪計で測ったら、からだ年齢が39と出ました。
なんで!!

幸せ

  • by なみちゃん
  • 2017/07/04(Tue)19:35
  • Edit
お久しぶりです。
本当に、幸せって何でしょうね。
うちの猫たちを見ていて、何も考えずに一生懸命生きられることなのかなーと思ったりします。

なみちゃん

  • by 砂漠人
  • 2017/07/05 02:56
ども! お元気でしたか?
「しあわせとは何か」を考えられること自体がしあわせ、
と聞いて「そうか!」と思いましたが、「何も考えずに…」
もまた真なり。猫たちは、先のことは考えていないよね~

No Title

  • by May
  • URL
  • 2017/07/05(Wed)08:14
  • Edit
青いも何も、うちは芝(会話)が無い(爆)

39は間違いかも~
28の方が合っていると思います。

捨ててしまったクローバー、大きかったですね。

Mayさん

  • by 砂漠人
  • 2017/07/07 12:48
クローバーの大きさ、気づいていただけましたか? 巨大だったので、しあわせも比例して大きいだろうと欲深く考えていたと思います。お恥ずかしい限り。

No Title

  • by paprica
  • URL
  • 2017/07/07(Fri)14:14
  • Edit
体年齢が28歳のくみこさんは「幸せ」そのものですよ!健康で美味しいものを美味しく食べれることは、幸せの源だと思います♪ 

papricaさん

  • by 砂漠人
  • 2017/07/08 14:42
なぜか家の体脂肪計では30代後半という結果です。あれは病院のサービスだったのか?(笑)
はい、しあわせを噛みしめて食べていこうと思います。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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