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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

鶏を食べる

今朝、食べるために雄鶏を一羽殺した。わたしが自分で世話をした鶏を食べるのは、初めてのことだ。犠牲祭で殺した羊の肉が終わってしまったので、ついにこの日を迎えたのだった。
わたしが鶏の世話をしようと思ったのは、あるブログで著者のお嬢さんが鶏や七面鳥などの家禽を買い、育てて大きくして売る… というのを読んだからだ。それまでわたしは「鶏は嫌い」という態度を取り続けて、ハリルが世話をしていてもあまり手伝わなかった。しかしそのお嬢さんは大学生なのに、自主的に世話をすることでちゃんとお金を稼いでいて偉いなと思い、それに感化されたのだ。不毛なこの土地で不満を多く抱えながらも、わたしはできることをしていないのだと、ずばり教えられた気分だった。
そうして意を決して世話を始めたものの、いまだに収入源にはなっていない。諸事情によりそれは仕方ないとしても、そろそろ卵だけではなく、肉も自家消費すべきだと思っていたところだ。牛も羊もそうだが、家畜や家禽は人に売るより自分が食べるのが一番いいような気がしている。その動物が、どういうふうに産まれて、大きくなる過程でどんなことがあって… と、肉になる前の生について多くを知っているのは自分だからだ。何も知らない人に、ただの肉の塊として扱ってほしくないような気持ちになる。実際それはあまりにセンチメンタルで、自分だって肉の塊を買ったときに動物の生をありがたく感じたりはしなかったりするけれど、とにかくこれが、育てる側としてのわたしが得ている一つの結論なのだ。店で買った鶏肉の質が気に入らなかった経験も加わり、今は自分の鶏を食べることは自然だと感じている。


肝心の首切りは、ハリルがしてくれた。朝一番に餌をやるタイミングで一羽捕まえて、残りの群れにわたしが餌をやっているあいだにハリルが処理した。犬や猫にも餌をやっていたのに、一匹の黄色い猫がハリルのそばを離れないのが見えた。ロミ夫だった。経験豊富な彼は、その場で落とした鶏の頭をもらったようだ。
羽根のついた鶏をどう処理するか、の写真は割愛することにする。今回は、本で読んだ知識を活用して、65℃くらいのお湯に一分、鶏を浸けてから羽根むしりをした。そうすると毛穴が開いてむしりやすくなるということだったが、本当だった。ただし、羽根は濡れてしまうので、枕などに使うことはできなくなる。


ここまで来れば、見慣れた鶏肉に近づいたはずだ。若いし、庭に放し飼いにしている鶏なので太っておらず、食べるのがかわいそうなくらいだった。

左から砂嚢、心臓、肝臓。チキンだけに、心臓が小さい!

鶏の砂嚢は、その中にある石で餌をすり潰して餌を消化するらしい。たしかに、砂を含んだ餌らしきものがぎっしり詰まっていた。しかしそれは袋ごとペロッと取り除くことができる。



解体した雄鶏はこのとおり。まずはガラでスープを取って、ボルシチを作る予定。脂がほとんどないので、羊の脂を足す必要がありそうだ。

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No Title

  • by paprica
  • URL
  • 2017/11/18(Sat)05:24
  • Edit
鶏さんもくみこさんにこんな風に丁寧にさばいてもらって、本望ですね。いや、本望とは言わないか… 細くて身が引き締まっていて食べるところが少なそうだけれど、これが本来の鶏の姿なんですよね。
砂嚢って… こんな風なのですねっ!ヒャぁ。。。焼き鳥屋さんでは必ず食べる大好きな部位だけど、本当に砂が詰まっているのをみてドキリとしてしまいました。。。

papricaさん

  • by 砂漠人
  • 2017/11/19 18:38
うちのはブロイラーとはまったく違いますね。野生のものはもっと違ったそうですが。
せめて、無駄にしないで食べようと思いました。

No Title

  • by Tamihime
  • 2017/11/18(Sat)09:48
  • Edit
私が子供ころは、年の暮れになるとご近所が我が家の庭(祖母が呉服屋だったので、洗い張り用の長〜い庭がありました)に集まって、餅つきの傍らで、鶏を絞めて、ドラム缶のお湯につけて羽を毟って、お雑煮用の鶏肉にしていました。
都心だったのですが、鶏を買っている家は何軒もあり、朝は賑やかでした。
育てて食べることが食の基本なのでしょうね。

Tamihimeさん

  • by 砂漠人
  • 2017/11/19 18:39
ちょっと数十年前までは、あの東京都心でもそういった暮らしがあったんですよね。だから、箱に入った食べものを買ってくるしかない今の状況の方が、異様なんだと思います。それにしても生きた鶏を捌いて食べるのも簡単じゃないです。時間と体力がないと!

無題

  • by まつざわ
  • 2017/11/18(Sat)16:23
  • Edit
考えるばかり。思うばかりです。

まつざわくん

  • by 砂漠人
  • 2017/11/19 18:39
何を考えた? ぜひぜひ教えてください。

No Title

  • by mariko
  • 2017/11/20(Mon)00:37
  • Edit
子供の頃、家で鶏を飼っていました。卵をとるのは子供の仕事でしたが、突っつかれそうでドキドキでした。クリスマスには我が家の食卓にのぼりましたが、母は鶏屋さんに頼んでいたようで家で絞めるのを見たことはなく、ペットとして可愛がっていたのでもないので美味しく食べていました。
後に従姉のパートナーが「鶏肉が嫌い」と言っていましたが、理由は子供の頃、家で羽をむしる係だったからとのことでした。

marikoさん

  • by 砂漠人
  • 2017/11/20 02:37
嫌いになるまでこどもに羽をむしらせたらまずいですね(笑)。そういえば、鶏が嫌いな人はある世代に多い気がします。絞めているのを見ていたからとか、身近にいたということなんでしょう。
鶏を飼っていて、クリスマスをチキンで祝う時代、いい感じの昭和だなあ!

No Title

  • by まつざわ
  • 2017/11/21(Tue)08:14
  • Edit
以前、ご主人の言葉として聞いた「日本の食品はケミカル」という言葉に引っかかり続けています。どうしたらそうじゃないようにできるのだろうと思っていますが、何もできていません。
今回の内容を見て我々人間は生きているものから生命を戴く行為や気持ちをもっと持たないといけないと思うだけで考えるだけで、繰り返して実感しますが何もできません…

まつざわくん

  • by 砂漠人
  • 2017/11/21 20:19
ああ! それでしたか。最近も、食品について話していたんですよ。
うちは鶏肉まで庭から食べるようになったので、日本でスーパーに行って買物をしなければならないとなると、かなり抵抗を感じると思うんです。ほとんどのものが、原型を留めず、箱やプラスチックに入っていますから。
つまるところ、材料が一度工場に運ばれて加工されると、肉や魚や野菜が持っていたエネルギーなどが、少なくとも一段階削がれてしまうということだと思います。それが、ハリルの持っている基準です。極力、自然に近いものを食べるというのはそういうことです。
ところで「一週間になにをどれだけ食べているか、並べてください」というプロジェクトがあって、世界のいろんな国の家庭の写真が並んでいるサイトを見てください:
https://menzelphoto.photoshelter.com/gallery/Hungry-Planet-Family-Food-Portraits/G0000zmgWvU6SiKM/C0000k7JgEHhEq0w
上で書いたようなことが明らかになると思います(笑)。

No Title

  • by まつざわ
  • 2017/11/21(Tue)23:35
  • Edit
ムムムム~~

見るの怖いのは生まれつきのチキンハートだからかも…

ちなみに僕の住む山北町に
山の頂上の旧県営牧場跡地で山地酪農と言う事業を始めようという若手女子が移住してきました。岩手の中洞牧場と言うところで経験を積んでその牧場の考え方や牛との生き方を神奈川県でも実践し、おそらく将来的には日本の酪農を変えようという意思でいると思っていますが、そんな女子がいます。

その山地酪農女子に対して小人者的には砂漠人も紹介してありますので、その辺も交流できたらなんか嬉しいな、と思っています。勝手に。

まつざわくん

  • by 砂漠人
  • 2017/11/22 02:39
見たらけっこうおもしろいと思うよ!
酪農の彼女、山小屋でシステムが足りないから役所の許可が下りなかったという件、気になりましたよ。その後どうなったのかな~
それを読んで、ここはあらゆるルールがゆるいから、いいところもあるか? と思いました。繋がることができる日は来るでしょうかね。農業従事者も、けっこう多忙なんですよ(笑)。

無題

  • by 昇
  • 2017/11/25(Sat)20:47
  • Edit
うちも先々月雄を締めました。
私はどうしようもなくやりたくなくて、インド料理店の料理人がやって半分はインド料理店の店員さんの賄いになりました。
結構体格よかったので半分でも二人プラスアルファが食べられました。
この鶏はうちで生まれて育った子でしたから、これが一番いいのかなと思いました。
今鶏は一番になってしまいました。多分よそから雌を入れると思いますが、それまでは庭をたった2羽で占領ですね(^^;;

昇さん

  • by 砂漠人
  • 2017/11/26 00:51
インド料理屋さん、よろこんだことでしょう。味はよく分かりませんが、庭の鶏の肉は歯ごたえがあると思います。わたしはしばらく続けてみようと思っています。そしてこれからは、食べる鶏を一ヶ月くらい隔離して、太らせて食べようと思います。

プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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