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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

市場へ

今朝はひとりで市場に出かけた。まずは義母の家に行って自分の刺した刺繍を講評してもらい、近所の人に頼んでおいた刺繍を受け取り、その足で市場に寄ろうという計画だ。
家を出て水路沿いの道を歩いていると、お向かいのアーフンの奥さんを見かけた。彼女はたくさん買い込んだ荷物を地面に置き、携帯電話で話していた。軽く会釈をして通り過ぎようと思ったら、「サラーム、クミコ! 元気? 調子はどう? 体調はどうなの?」というクミシュテペ人お決まりのあいさつをひとしきり飛ばしてきた。携帯電話の相手は完全におざなりだ。「ゴーウィ~ゴーウィ~(Good good)」などと変なあいさつを返し、先を急いだ。途中、「チーニ」という声が聞こえたような、聞こえなかったような…。今日はチノパンに長袖Tシャツと、お尻が隠れるくらい長いカーディガンという服装だったので、いつもより目立ったかもしれないが、トルクメンの民族衣装を着ていたとしても、日本人じゃなかったとしても、結局クミシュテペ人はじろじろ見るのだ。最近そういうことが分かってきた。
義母には刺繍の色についてアドバイスしてほしかったのだが、言っている内容は肝心のところが分からなかった。彼女の説明は、かなりの確率で理解ができない。おそらく思考方法というか論理が違うのだと思う。それは諦めて分かったことだけを確認していたら、今度は刺繍の刺し手がやってきた。刺し始めた刺繍についてわたしに質問があったのだが、彼女は普通の会話がすべてどなっているような感じで、最初はどうしたのかと驚いたものだった。しかしそれは、ただの話し方のクセなのだろう。義母がわーっと刺繍の説明をしているところに刺し手がどなり、ナーセルの奥さんがまったく別のことを話かけてきて、おまけに甥っ子があっちの方から何か叫んでいる。いつもどおり、そんな状況だった。わたしは一瞬、あっけにとられて黙りこみ、また義母との話に戻った。
しばらくして、市場に行くために義母の家を出ようとすると、ナーセルの奥さんも行くという。奥さんと姪と三人で連れ立って、市場へ向かった。
市場はかなり賑わっていたが、後でハリルに聞いたところによると、売り手はみんなクミシュテペの市場からほとんど収入を得られなくなったとこぼしていたそうだ。人々はお金がないのだ。しかしなぜそんなに人が出ているのかといえば、おそらく出かけてきている人たちとあいさつしたり、話し込んだりしたいのだろう。現に、ナーセルの奥さんは1メートルおきに止まって誰かにあいさつしている感じだった。これはまさに、昭和の商店街の状況なのだ。週に一度、たとえ商品を十分に買うお金がなくても、みんなここへ買物に来てなじみの顔を確認し、クミシュテペに暮らしている実感を得ているのだろう。ナーセルの奥さんたちと別れ、わたしは少しだけ買物をして戻ってきた。


ブロッコリーは1キロ90円だったので、150円分買ってきた。わたしが「5000トマン分ちょうだい」と注文していると、そばにいたおばさんが「5000トマン! 5000トマン分だって言ってるわよ!」とお店の人に重ねて伝えている。わたしは正確に言ったので店主には伝わっていたと思うのだが…。ブロッコリーを詰めてもらって、今度はキクイモを少しちょうだいと言ったら、またおばさんが「ほらあのじゃがいもみたいなの! あれよ、あれがほしいって!」みたいな。クミシュテぺの人は、こういう人たちに代表される。
そして帰り道、別の知り合いに会い、キャベツをいくらで買ったのか聞かれたので「2個で2000トマン」というと、「高い! わたしなんか2個1000トマンで買ったわよ」とのこと。1000トマンは約30円だ。ちなみにこの量のディルが30円。わたしの買物、全部で300円。主要な買物は、午後の空いた時間にハリルがしてくれる。

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イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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