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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

子猫たちの死

 二週間ほど前に日本から戻ってきたとき、うちのキジトラの一匹が庭に三匹の子猫を連れていた。三匹とも小さくて、まるでネズミのように走り回っていた。まったく人に近寄らなかったが、あるときからそのうちの一匹がそばに来るようになった。今思えば、それは子猫が弱っているサインだったのだ。近くに来るので、台所に入れて水や卵をやった。しかしその翌日にはうんと元気がなくなり、二日後には死んでしまった。
 今年ほど、子猫が死んだ年はない。ベテラン母のチーちゃんも、外で出産したためなのか、早い時期に子猫を失っていた。家の中で出産したガウシャンとキティも、子猫を亡くした。生き残ったのは、ガウシャンの息子ただ一匹だ。

強そうな目つき!

奥のボウルに注目


 キジトラの二匹の子猫は元気に過ごしていたかと思ったら、また一匹、近寄ってきた。前の子猫は台所で一日以上かけて死んでいったので、今回はむりに水や餌をやらず、放っておこうと思った。その子猫はある日、一晩中草の上で寝ていたのだが、わたしが朝の搾乳から戻ったらいなくなっていた。そしてそれ以降、姿を見かけない。どこか見えないところで、一人で死んでいくのだろう。
 憔悴しきった子猫とはいえ、死ぬのは簡単ではないようだ。最初はおとなしく注入されていた餌もいやがるようになり、寝るばかりになる。そうなると大抵、内臓が傷んでいるかのようないやな匂いがする。ときどき起きては、助けを求めているのだろうか、力なく鳴いている。そして場所を変えてはまた眠り、だんだんと呼吸が弱くなっていく。ハエや虫が近寄ってくる。こんな状態を1~2日のあいだ耐えて、最後は心臓が止まって動かなくなる。


 上は残っている一匹の子猫。今朝はガウシャンの息子が彼に興味を示して、遊びたがっていた。初めて見たときから、目が丸くて強そうな猫だと思ったが、そのとおりだといいと思う。

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無題

  • by 大福
  • 2018/06/30(Sat)02:40
  • Edit
命は人でも動物でもあまりにあっけないですね
それで本当にすべてが終わってしまうのですから
なぜ自分はまだ生きているんだろうと思わせられます
そんなに幼くて死んでゆくのは、きっとひどく心細いでしょうね

なんのために生まれてくるのでしょうね

死に向き合うと人間社会にあるものが急にほとんど無駄のような気がしてきます
日々無駄を消費してるいるんです
ほんとうはただ食べて生きながらえて死に向かっているだけなのにね
でもまたそれを忘れて無駄を消費する

砂漠人さんは哲学者でしたよね?色々悟っておられるのでしょうか

大福さん

  • by 砂漠人
  • 2018/06/30 19:42
そう、心細かったんだと思います。ときどき起きて鳴くのは、まだ助かりたくて呼んでいるのか、苦しくて喘いでいるのか、いずれにしてもかわいそうです。

「死に向き合うと人間社会にあるものが急にほとんど無駄のような気がしてきます」

これは同感です。人間の生はなんと無駄なことに時間を割かれているんでしょう! わたしはもう二十年くらいそのことを考えています。哲学科は出ましたが、哲学者にはなっていませんね~。悟ることもなさそうですが、クミシュテペに来てから生や死について具体的な経験が増えて、考え方は変わりました。「なぜ生まれてくるか」よりも、「生きていたら死ぬ」という事実を受け入れるようになったんです。

No Title

  • by ボーダ
  • URL
  • 2018/06/30(Sat)05:44
  • Edit
「憔悴しきった子猫とはいえ」で始まる段落がすごい現実を物語っています。死ぬのは簡単ではない。怖い事実ですね。そのときが来たら、自分は精神状態も含めてどうなるんだろうとよく考えます。生きているものがみんな通ることなのにね。

ボーダさん

  • by 砂漠人
  • 2018/06/30 19:42
田山花袋の『一兵卒』という小説(下のリンク)を読んでみてください。死の前の精神状態について、わたしはこれがかなり現実に近いのかなといつも思い出します。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000214/files/1066_43394.html

No Title

  • by paprica
  • URL
  • 2018/06/30(Sat)05:58
  • Edit
この間、生まれたばかりの子鹿が飛び跳ねていたり、足元で死んでいくマルハナバチを見ながら、ふと、人間って生まれてくるときも生まれてからも周りの手助けが必要だし、死ぬときも一人で静かにっていうわけにはいかないよなぁ。なんてフットプリント(?)の大きな生きものなんだろ、って思ってたんです。
が、こんなちいさな猫も、死ぬのはたやすいことではないのですね。
私がばあちゃんになる頃までには、寝ている間にすっと逝ける薬か何かが自由に手に入るようになっているといいです。身の回りのことをきちんと片付けて、それで自分の意志で眠りにつける。そうあってほしいなぁ。

papricaさん

  • by 砂漠人
  • 2018/06/30 19:44
「寝ている間にすっと逝ける薬」

衝撃的なコメントでした(笑)。papricaさんのきちんとした面が出ているようで、興味深くもあります。なんだか、休暇に出かける前の準備のような。
安楽死を選べる国がある一方で、世界の多くの人間は、自分の意志とは関係ないところで人生が過ぎていくんですよね。猫たち変わりないという。

無題

  • by 大福
  • 2018/06/30(Sat)13:32
  • Edit
キリムの話をしようとして来たのに
別のことをコメントして完結していました 汗
玄関のマットにと思って購入したのですが
思っていたより小さかったんです
そうしたら母は自分のデスクの足もとに敷いていました
様々な使いみちがあるものです ( ^ω^ )
本当にちょうどよく収まっています
ペンケースをどれにしようかとずっと悩んでいて
実際見ないと決められないと思いました
工場生産のものとは違ってピンとくる感覚が必要です

上記の自分のコメントを読んだら相変わらず要点がまとまっていなくてびつくり

最期を見届けるのは私も経験があるのですが
誰でもふつうに出来るようなことじゃないです
私は数か月引きずりましたが
砂漠人さんは大丈夫ですか?

病気の内容にもよるようですが
砂漠人さんが書かれているような最期のときもある
「無理に注入はしないでそっとしておいてやる」は
砂漠人さんの環境でのきっと正解だと思います

アメリカはすぐ安楽死ですけど
動物は言葉が話せないから何が最善か本当のところはわからないし
処置が誰のためなのか。。。って

また上手く説明できなくなっているのでここいらで失礼しますね

あ、子猫たちは今回はいつもとだいぶ様子が違うので何か理由があるのかもしれませんね
でもできることはやっぱり犬猫に食べさせてはいけないものは食べさせないとか
基本的なことのみだろうと思うので
気に病んだりあまり考え過ぎないようにしてくださいね
砂漠人さんの気持ちが早く楽になりますように

大福さん

  • by 砂漠人
  • 2018/07/02 02:08
キリムの別の使い道が見つかってよかったです。じつはわたしも、日本に持ち帰る前はデスクの下に小さな絨毯を収納していました。ちょうどいいんですよ。
次回は展示をしたいなあと思っているので、お会いできるとうれしいです。

ご心配をおかけしましたが、大丈夫です。ありがとうございます。
猫のことですけど、最初の頃はものすごくつらかったですよ。最初の死は、子猫だったチーちゃんの兄弟を犬が噛み殺した出来事でしたから、かなりのショックを受けました。
ところが今では、猫が死んでもそれを引きずることはありません。道端に犬の死骸が転がっていても、毎日そこを通って見ています。「慣れた」と言ってしまえばそれまでですが、死について考え方が変わったからだと思います。このままいくと、クミシュテペの人たちのようになってしまうんでしょうか。それはイヤだなあ! でも、環境がそうさせていることは確かです。

No Title

  • by May
  • 2018/07/01(Sun)08:49
  • Edit
私はこのたび自分が体調悪くしてから、自分もいつか死ぬ日がきてこの世からいなくなる、ということをよく思うようになりました。
人生は80代まであると漠然と思っていましたが、そうだと誰が言いきれるでしょう。
と同時に更に医者嫌いになりました~
自分の体のことは自分しか分からないし、自分でケアするしかないと思いました。
医者は所詮他人の体だから、習得した一般的な知識で治療しようとしますが、それが個人個人に合っているかどうかは問題です。100%信じることはできません。
自分が弱ってきたとか、調子がよくなってきたとかも実感できるのは薬などを一切止めて、食べたものや生活習慣の影響が感じられる時です。
そうして生きていると、最期の時は事故でない限り突然やってくるのではない気がします。
動物と同じで目力が弱ってくるとまずいですね(笑)

Mayさん

  • by 砂漠人
  • 2018/07/02 02:08
そうですね。自分でケアするのが一番だとわたしも思います。そしてその場合、病気になったらある程度は諦めるのが肝心でしょうか。でも生き物だから、それを諦められないのが厄介ですね(笑)。
目力ですか? たしかに見えないと、やる気も下がりますね。しかしこれもある程度諦めが必要なんでしょうか。

No Title

  • by 大福
  • 2018/07/02(Mon)20:26
  • Edit
二十年前!?
二十年も前の若い時分からそんなことを思っておられたなんて、もうそれはすっごく砂漠人さんらしい〜 笑。
なかなか思考のレベルが合う人間が見つかりにくかったでしょうね。あ、だからの哲学科ですね。良い場所に身を置かれていましたね。

「生きていたら死ぬ」
ああー、それはこれまでに得られたご意見/回答の中で一番かもしれないです。

大福さん

  • by 砂漠人
  • 2018/07/03 17:38
90年代の東京でそんなこと考えていましたから、たしかに変な若者です。晩年(笑)、ハリルに会ったときにようやく扉が開いたんでしょうね。
生きている限り、死ぬ。これ絶対ですよね。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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