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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

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お向かいさんたち

 お向かいのおじさんが亡くなった。家の前の道路を挟んだお向かいで、数年前に亡くなったアフーンのお隣さんだ。ハリルより、よっぽど若いはずだ。おじさんはその敷地内で牛を飼ったり作物を植えたりしていたので毎日来ていたが、自宅は町のどこかにあり、家族はそこに住んでいるそうだ。彼はアヘンの常用者で、敷地内に建てた小さな家からは毎晩煙が出ていた。しかしある日、警察が犬を連れてその家を捜索しに来て以来、おじさんはピタッと来なくなった。それからだいぶ時間が経ち、また元の生活に戻ったようだったが。
 アヘンの常用者だからといって、近所としてとくに迷惑をこうむったことはない。おじさんはいつも穏やかな表情をしていたし、黙々と仕事をしているのが見えただけだ。壁越しに、ゴミを通りに投げるのは悪癖だったけれど。しかしハリルが言うには、彼は麻薬のディーラーでもあったらしい。訪ねてきた人に大きな塊を渡していたのを見たそうだ。
 彼の親戚に、エビの養殖場で働いている人がいるそうで、おじさんは先日、砂漠にある養殖場に日雇いで出かけた。そしてその晩泊って明け方に帰る際、お土産にエビをくれと頼み、エビの袋を持ってバイクで帰ってきた。その途中、エビの袋を落とし、そして本人も崩れ落ちた。人が助けに駆けよったときは、すでに息絶えていたという。

 おじさんの隣の家は、数年前にアフーンが亡くなった後、奥さんと二人のこどもが家を空けがちになった。奥さんの実家で暮らしているからだ。ときどき戻ってきても、一家で結婚式などのお祝いに出かけることも多く、うちはいつも「家をお願いね」と言われていた。奥さんは普段から話好きなので、あちこちで噂話を聞いては持ってきてくれた。ハリルが聞いてきたお向かいのおじさんの死もそうだが、クミシュテペの人たちは人づてにニュースを知ることができる。その伝達の速いことと言ったら!
 断食明けのお祝いの際、訪ねてきたアーフンの奥さんに日本から持ってきたロボット掃除機を見せたら、数日後に別の奥さんを3~4人連れてやってきた。ロボット掃除機の噂話をしたのだろう。そしてみんなで「見に行こう!」となったのだろうが、さすがに玄関口で断った。「そんなことしたらクミシュテペの人がみんな来ちゃうじゃない!」と言ったら、「ほんと、そのとおりね」とアーフンの奥さんは言った。素直で、決して人を責めたりしない、気のいい人でもあるのだが。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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