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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

ウーンラシュと果実

 夕方、ハリルがいちじくをもらってきた。近くに住んでいる親戚の家に木がたくさんあって、小さなバケツにもぎたてのを入れてくれた。待ちわびていた初物なので、とてもうれしい。

思う存分、食べました(もっとほしい)

 先日は暑い中、お昼にウーンラシュを食べた。日本のほうとうや中国の刀削麺のような、小麦の麺を煮込んだトロっとしたスープなので、「暑いから、まったく食べる気がしないよ」と言ったら、ウーンラシュは夏の食べものなのだとハリルが言った。

今回ちょっと少なめだが、ひよこ豆が入っている

和風に、ネギは刻んでみた

 ハリルは父方の祖母を見て、料理を覚えたそうだ。とてもやさしい祖母で、ハリルが初めて小学校に行った日、帰り道で待っていてくれて、学校から戻ったハリルを大いにほめてくれたのだそうだ。それで、ハリルは学校に通い始めた自分が重要な存在であると感じたそうだ。料理上手のその祖母が、冬にウーンラシュを作ることはなかったという。ならば、雄鶏のガラは大事に取っておかずに、夏のうちに食べきってしまおう。

先日、アーフンの家からもらった桃

 みなさんだいぶ実っていらっしゃる
ようで、うらやましい。
 
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ロッパー・ハリル

 ハリルは砂漠で牛や羊を追うとき、いつも日本のスニーカーを履いている。五年かけていろいろ履き倒した後にたどり着いた最高のスニーカーは、タイヤメーカーDUNLOPのものだった。他のどのスニーカーも、砂漠のでこぼこ道を歩き回るとすぐにソールが取れてしまったけれど、DUNLOPだけは取れたためしがない。壊れるとしたら、アッパーのどこかに穴が開いてしまうのだが、少しくらい穴が空いても靴の機能は依然として保たれるので、何か所にも穴が空いて、文字通りボロボロになるまでハリルは履いている。しかもそのスニーカー、ネットで買えば一足3,000円くらいの値段だ。30cmのスニーカーを見つけること自体難しいのに、こんなに用途に合致したものが安く手に入るので、ありがたい。DUNLOPのスニーカーについては、以前に取り上げられていたネット新聞の記事も読んだ。しかしライターは「自分では履かない」などと最後に書いていて、びっくりした。

赤点の部分を縫っています

 さて、上の写真は、ソールが取れて修理に出したスニーカー。クミシュテペでは靴は直して履くのが当たり前だし、日本や欧米のクオリティのスニーカーを履いている人はまずいない。今回の直しは、二足で10,000トマン(250円)。安すぎて心配だ。
 最近また、米ドルに対するリヤル(イランの通貨)が暴落していて、国内の経済は混乱しているようだ。対日本円もここに来た頃(5~6年前)は1,000トマンが43円くらいとして計算していたのに、いまや25円になっている。ということは、ドルや円を持ち込んでリヤルに換えて使えばウハウハじゃないか! と思う反面、イランの経済が破綻してすべてが紙屑になるリスクも考えると、難しい選択だ。しかし収入が増えない、または減っているにもかかわらず物価が高騰するだけなので、人々にはかなりの不満が溜まっている。ちょっと街に出ると、その話題ばかりで、ちょっと怖くなってきた。うちも御多分にもれず、まったく収入がなくなってから久しい。牛や羊は完全に赤字だし、ハリルの貿易関係の収入も、途絶えている。今はただ、モンゴルの肉の仕事の成果を待つばかりだ(ポシャっていないだけ、希望がある)。その前にイラン政府が倒れて混乱したりしないといいのだが。
 話を靴に戻すと、ハリルはこどもの頃、ろくに靴を持っていなかったそうだ。一足だけ、お兄さんと共用の、学校に履いていくための靴があったそうだが、午前授業のお兄さんが帰ってこないと学校に行けなかったんだとか。友達にもバカにされるので、「うちには靴が十足あるんだ! 大事に取ってあるんだ」と見栄を張っていたという。その話を聞くたびに、ハリルには靴を不自由させないようたくさん買ってあげようと思ってしまうのだが…。これって貢いでいるんだろうか。                                                                                                                                                                                                                                       

ストレッチ

 朝、突然、左の腕が上がらなくなった。キター! 四十肩? 五十肩? コップも落としそうなくらい痛いので焦ってしまい、すぐにネットでストレッチの方法を検索した。2~3種類のストレッチをやってみて、その日はなんとかしのいだら、翌朝は少しよくなっていた。
 よくよく考えたら、肩が痛くなる前日に、痛みの原因となることをしたのだった。うちの飲み水は、庭の地下水槽に溜めた雨水を使っている。20リットルくらいのポリタンク二つに雨水を入れて台所に置いているのだが、昨日はそのタンクに水を詰め替えたところだった。いつもは18リットルほどでやめている水汲みも、なぜか欲張って満杯にして持ってきたので、かなり重かった。それが肩の痛みの原因となったに違いない。


 二年前、腰痛で入院したあと、イランに戻って腰を普通に動かせるようになったころ、足の付け根が痛くなったことがあった。なんとかごまかしながら生活していたら、今度は太ももの内側にヒリヒリする痛みが出て、最後は膝が痛くなって、歩くのにも支障が出てきた。ここで病院に行くことは避けたいと常々思っているし、ヘルニアなどの重症でない限り、たいていは体のゆがみが原因なのだろうと考えていたので、そのときもネットで検索していくつかのストレッチをするようにした。すると驚くべき効果があって、足の痛みは徐々に、そして完全に消えたのだった。それ以来、寝る前にストレッチをする習慣を身につけて、足の痛みも腰の痛みも出なくなった。ストレッチをさぼるとおもしろいように痛みは戻ってくるので、この習慣は一生続けたいと思っている。膝の痛みを訴えていたハリルにも勧めたら、彼の場合も痛みが取れた。そしてさぼるとまた痛くなるのだ。それから、寝ているあいだに足がつって起きることもなくなった。
 四十肩が怖いので、予防のために、これまでにやっていたストレッチ7種類に3種類を加えることにした。十種類のストレッチというと大げさに聞こえるけれど、実際にやると十分くらいだろうか、まったく簡単なことだ。わたしはなぜだか自分にヨガが合うと思っていて、ヨガのDVD付の本を買ってきたにもかかわらず、そちらは習慣づかなかった。あとは簡単な筋トレを日常的にできるようになると満点なのだが、今のところその兆しはない。
 いずれにしても、体は使ってなんぼだと実感している。だるくても、少しくらい痛くても、安静ばかりしていてはだめで、無理にでも体を動かす仕事に取りかかると、思っていたよりは楽に体がついてくる。肉体は、動くことで調整するしくみを持ったものなのだと思う。

タロ子の出産

 タロ子が出産したのは、もう一週間ほど前のことになる。彼女の二度目の出産だった。一度目は一匹だけ産んだのに、二週間ほどで子犬を盗まれてしまい、かわいそうで、わたしはそのことを思い出すのもつらいが、タロ子は覚えているのだろうか。
 今回は、出産が問題だった。妊娠していると分かってから、タロ子はよく食べて子犬も順調に育っているように見えた。しかし出産の数日前に、熱射病に罹ってしまったようで、まったく食べないし、しまいには水を汲んである鍋に頭を乗せて、伸びた舌を水の中に入れたまま目をむいていた。それを見てまずいと思い、わたしは慌ててネットで検索した後、タロ子の体に水をかけ、うちわで仰いだ。
 翌朝、起きてベランダから庭を覗いたときは、タロ子は死んだと思ったほどだ。肢体はピンと伸びたまま、顎も上がって倒れていて、微動だにしなかったからだ。でも近寄ってみたら、まだ呼吸していた。そのあと明け方に雨が降る日が二日ほど続き、地面も少しクールダウンしたからか、タロ子は生き延びた。でもあいかわらず‫何も口にせず、そのあいだに出産が始まった。二日かけて、9匹の子犬を産んだ。毎日、タロ子の口の中に自家製ポカリを注ぎ込んだり、生卵を流し入れたりしていたけれど、後で考えたら効果があったのかどうかは疑問だった。
 生き残っている子犬は、一匹だけ。死産もあったし、生まれてしばらくして死んだのもいた。どの子犬も十分に大きく育っていたので、やはり出産直前の母体のトラブルが影響したのだろう。産んだ後、羊水の袋に入ったままの子犬を舐めることもできないほど、タロ子は衰弱していた。彼女自身にはどうにか生き延びてほしいと思っていたので、今は元気になって食欲も戻ったのでうれしい。ミルクもなんとか一匹分、賄えているようだ。

タロ子

息子!


牛のような模様です
 
丈夫に育ってほしい

 ちなみにジロ子は、今も妊娠していない。交尾している現場は何度も見ているのに、不思議なことだ。ジロ子はいつもタロ子や他の犬たちに遠慮していて、餌もあまり食べないので、体の発育が遅れているのかもしれない。

ジロ子

サーリジャの帰宅

 ある朝、トイレを出て庭の片隅にぼーっと座っていると、一匹の猫が飛びかかってきた。いつもそうしていると犬や猫が寄ってくるので、条件反射でその猫を抱きかかえたら、それは小さなサーリジャだった。彼は三か月も前にこの家から出て行った猫だが、すぐに分かった。黄色いトラ柄に白い手足、黄色い瞳で美しい毛並みの雄猫なのだ。


 サーリジャはずいぶん早い時期にこの庭を去り、旅に出たと思っていた。毛並みもきれいで(顔以外は自分でよく舐める)、ドアのガラス越しにじっと家の中を見たり、観察力の高い賢そうな猫だったが、オスなのであまり家に近づけないようにしようと思って育てていたのだ。その甲斐あってか、早い旅立ちだったが、なぜか家に戻ってきて、以前より甘えん坊になっている。ずっと玄関の前で寝ていて、わたしやハリルが出たら甘えようと思っているのだろう。家の中に入れてやっても、四方八方から体をなすりつけてきて、落ち着いたら体の一部をどこかくっつけたまま、寝ている。あまりにかわいくて、夜寝るときにベランダに連れていって蚊帳の中で寝かせていたのだが、わたしの虫刺されがひどくなったのでやめざるを得なくなった。


 母親であるタイちゃんはものすごく威嚇していたし、サーリジャ自身が他の猫との折り合いがつかないようだ。どの子猫が来ても「シャーッ!」と攻撃してしまい、まるでキティのよう。子猫の中でも、白黒(プシプシ)と黄色いのはとくにフレンドリーな性格で、威嚇されてもサーリジャに近寄っている。

イチジクの木

 今年は春に、イチジクの苗を二本植えた。二本とも義母の家の庭に生えたもので、根が出ていたのですぐに育つかと思ったら、まったくといっていいほど大きくならなかった。一本は葉まで落ちてしまい、もうだめかと思っていたのだが、先日、周りに生えている雑草を抜いて、ほかの果樹と同じように根元ケアをしたら、なんと葉が出てきた。


出た!

 根元ケアをする前から蕾らしきものはあったけれど、これまで生えては落ちてを繰り返していたので、今回は期待したい。イチジクはどの家にも大きな木があるほど一般的な果樹なので、これが育たなかったらおかしいと思う。

 ところでお隣さんのイチジクが壁越しに垂れてこないか念じている件だが、果実はたくさんなっているのに食べ頃の実が見当たらないのはどうしてだろうと思っていたら、今日その理由を見てしまった。


うちの鶏!

 壁に登って、熟れた実を突いて食べていた。アホなのか賢いのか、ますますわからないトリだ。



さらに枕

 枕の縫い直し、第二弾。新しく二つ追加したことで、四つが仕上がった。今回の古い枕は鶏の羽と野鳥の羽の入ったものだったので、詰め替え作業が想像どおりカオスだった。ひとつ、野鳥の羽は鶏の羽よりよっぽど軽いということを学んだ。


 英語を習いにうちに来ているナーセルの三女が、レッスンの後に作業を手伝ってくれた。毎日なにかしらの家事を手伝ってくれるので、わたしも無理に家事を見つけてやることになり、はかどっている。今日は写真を撮るくらいしか彼女の出番はなかったが、昨日は玄関前に石をきれいに並べる作業をして、一輪車で土を運んでくれたり、かなりの助けになった。

新調した枕本体


カバーを二重につけてできあがり

 彼女は12歳で、夏休み明けの学期から英語の授業が始まるそうだ。休み中にアルファベットはすらすら書いて読めるようになってほしいと思っている。
 毎日卵を集めたあとに、えんぴつで日付を書く仕事もやってもらっている。わたしは西暦で725(7月25日)などと書いているので、彼女にイラン歴だと何月何日かを尋ねたら、わからないと言っていた。おばあちゃんなら知ってるって。今が何月かわからない12歳って、だいじょうぶなんだろうか。おばちゃん心配です。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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