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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

暑い日々

 今年の夏は異常に暑いそうで、午後は連日40℃近い気温になる。外で作業をするとTシャツがびしょびしょになるし、帽子やスカーフなしでは危険なくらいの日射しだ。
 最近になって、二頭の子羊が熱射病で死んでしまった。日陰があるのに、なぜか日向に行って昼寝をする羊がいるそうだ。一頭目は治療しようとして注射をしたりしたそうだが、二頭目は死ぬ前にハリルが「食べる」と言って、家に持ち帰ってきて切った。一人では持ち上げるのが難しいくらい重かったので、だいぶ育っていたと思う。




 羊肉も、一日冷蔵庫で熟成させて、翌日小さく切り分けて冷凍した。思いがけず羊肉が入ってわたしはホクホクだが、丹精込めて育てていた羊が死んで、ハリルは心で泣いているだろう。夏は暑い中、冬は寒い中、朝晩と出かけて世話をしているのだから、こんなふうに死なせるのは不本意なはずだ。

チョントリ

 カスピ海でとれる庶民的な魚、チョントリ。新鮮なのを見つけたので、買ったそうだ。冷凍庫が羊肉でいっぱいになったところに、さらにたんぱく質が追加された。鶏が卵を産まなくなったので、グッドタイミング!

チェクディルマ

 ところでこの暑さの中、電気の供給が非常に不安定になっている。こんなことはイランに来て以来、初めての経験だ。停電はたびたびあるものの、たいてい一時間もしないうちに復旧するのがこれまでの常だったが、昨日は三度も電気が切れた上に、なかなか戻らなかった。うちは水道の水を地下水槽から電動でくみ上げているので、電気が止まると蛇口から水が出なくなる。冷蔵庫も止まったりついたりで、食材が傷むんじゃないかと心配だ。ハリルがラジオで聞いたところによれば、これはイラン全土で起きている状況だそうだ。
 クミシュテペでもクーラーを使う家が増えているようだが、電気が止まったのでは仕方がない。うちは天井に吊るしたファン一台と、うちわだけで暑さをしのいでいる。でもここまで来ると、クーラーを使わないことが果たしていいことなのかどうか、疑問に思う。一日中、頭がぼーっとして物事に集中できないし、ちょっと横になれば気絶したように眠ってしまうのだから。ただし、夜はベランダに蚊帳を吊って寝ているので、熱帯夜もなんのその。多くの夜は、海からの心地よい風が吹いて、気持ちよく眠れている。

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ロミ夫

 南庭にいる犬のガチガチが、うちの動物の中で一番の年寄りになった。わたしたちがまだスウェーデンにいる頃から、うちの敷地で飼い始めた雄犬だ。


 いつも一番に走ってきて、撫でてほしそうにしていたのに、今は呼んでも来ないときもある。夏の初めに毛が抜けきらないであまりにみじめな姿だったので、櫛で梳いて毛を抜いてやったら、少しあか抜けたようだ(それでも上の姿)。

 今の家に住んで一年目に飼い始めた猫、チーちゃんとロミ夫も年を取ってきた。じつは、ロミ夫はもう死んでしまったんじゃないかと思っている。数日前に見かけたきり、うちに戻っていない。戻ってきたときに二回ほど、ヤギのミルクをやったらゴクゴク飲んでいた。でも体はマッチ棒のように痩せてしまっていて、顎のあたりのケガが治りきらず、固形物は食べられなくなっていたようだ。その甲高い鳴き声は、力のない悲鳴に変わっていた。
 最後に来たときは、家の中に入れてくれとロミ夫は言っていた。でも体があまりに汚れていたので、どうしても家の中に入れることができなかった。それを後悔しないと言ったら嘘になるが、それでよかったのだとも思っている。どこか、いつものねぐらに行って、静かに息を引き取ったのだろう。
 ロミ夫は素直でやさしい猫だった。どの猫にも攻撃的な態度は取らなかったし、チーちゃんは何度もかわいい黄色のこどもを作った。雄猫らしく外に出かけて何日も戻らないことがあったが、決していなくなることはなく、うちを拠点にしていた。チーちゃんとともに、思い出も多く、一番思い入れのある猫だ。でも、自由に生きて自然に死んだのなら、それでいいのだと思う。最後に撫でてやったり、お墓を作ってやることは、ロミ夫にとって特別な意味をなさないだろうから。

最後になってしまった十日前の写真。タイちゃんの後ろにロミ夫

ヤギのおっぱい

 今週ハリルが買ってきたネクタリン。双子が何かに似ていると思った。



ヤギのおっぱい

 乳飲み子を失ったヤギ2頭と羊1頭のミルクを毎日絞っているのだが、量はだんだん減ってきた。牛と違い、子どもがいないと自然とミルクが出なくなるのだろう。もっとも、牛もこどもがいるといないとでは、搾乳量が違うのだった。最初はめずらしがっておいしいと思っていたヤギと羊のミルクも、その野性味に少し飽きてきた。牛乳の味に、飽きたことはないのに。

ヤギのミルクで作ったヨーグルト。吊るしてスズメ(水切り)にする


 ヤギのチーズを乗せて朝食に出したいと思っていたお皿が、ようやく日の目を見た。しかしわたしはチーズづくりがあまり上手じゃない。作り方のコツがいまいち掴めないまま、いつもスズメにしてしまっている。

こうしてハリルが押さえて、わたしが絞る

雑貨

 先日、用事があってハリルの妹の家に行ってきた。突然訪れたにもかかわらず、彼女の家の庭はきれいに手入れされ、部屋はビシッと整頓されていた。わたしの知る限り、トルクメンの家はほとんど同じくそうだ。絨毯も洗うし、日常的に窓も磨く。玄関から外はきれいに掃いて、家の中の掃除機掛けも朝晩二回は必須だろう。いつお客さんが来ても、準備万端なのだ。知ってはいたけれど、ひさしぶりにそれを目の当たりにして、自分の家の手入れを恥ずかしく思った。そして帰ってきてすぐに、掃除機をかけずにはいられなかった。


 ロボット掃除機もあるというのに、わたしは毎日掃除機をかけていない。窓を磨くなど、一年に一度あるかないか…。なんやかんや床に物が置いてあったりするし、連絡なしにお客さんが来たら、ムッとしているくらいだ。連絡しないのはここの慣習だから腹を立てても仕方がないのだし、いつもきれいにしておけば「どうぞ~」ってなことになるだろう。なんとかこれを身につけたい。しかしこんなことを考えられるようになったのは、クミシュテペに来て六年半が経ち、家の機能がほとんど整って、余裕が出てきたからだと思う。突然、「こんな立派な家を建ててもらったんだから、きれいに手入れしなければ」と感謝の気持ちが湧いてきた。わたしはもうすぐ死ぬのかな?

 さて、先月日本から持ち帰った荷物は、全部で37キロだった。カタール航空とエミレーツ航空だけは、未だに受託手荷物を30キロまで無料にしてくれるのでありがたい。ただし、チケットの値段が高めなので、毎回利用するかどうかは迷うところだ。持ってきたものはほとんどが「必要な」ものだが、そうでもないものもいくつかあった。

これは何でしょう?

 こんなものを何年も前から欲しいと思っていて、今回ついに買った。なんだか知らないが、自分のアンテナに引っかかってしまったのだ。意外にも、ハリルも気に入っていた。北欧を思い出すらしい。

メガネスタンドです


 それからはちみつを入れる容器(ドイツ製)も日本で買ってきた。注ぎ口ではちみつが切れて、容器がベタベタにならないことが非常に大事だと思い、よく考えてこの容器を選んだ。ハリルに向かってはちみつ入れについて熱弁をふるっていたら、ほとんど呆れていたようだった。砂漠人にとって、そんなのはあまりにも些末なことらしい。長い時間をかけて道具を選ぶとか、道具の機能を追求するとか、こういうのは日本人の癖なのだろうか、よく分からないがわたしにもそんな態度が大いにある。
 マグカップは、亡くなった祖母が持っていたもの。いつもわたしの母(義理の娘)に出していたというから、祖母はあまり気に入ってなかったとか?(笑) マグが一つ壊れてしまったので、この形見をもらってきた。


ホルジュンの直し

 ハリルがバイクに掛けているホルジュンを直した。前に直したのは一年前だったが、今回は五ヵ所が大きくほつれている。直せない(直したくない)と断ったのだが、ハリルの頭には新しいものを買うという選択肢はないようなので、結局わたしが折れた。

縫いにくいし、暑いし、猫が邪魔するし、まったくやる気がしない作業だ

キルティングした布を五ヵ所に縫いつけて、布に空いた大きなほつれを直した

長すぎるので、座席部分を折りたたんで縫う

脇を袋状に縫う(猫ら、もうやめてーーー)

新顔の子猫まで来た

できました(五日もかかって)

 「もうこれが最後の直しだから。次回はお母さんのところに直行してね」と言って、ハリルに渡した。

 鶏の飼育はどうなっているかというと、わたしが日本に行っていた三週間に、産卵のピークが来ていたようだ。行く直前に卵を温め始めた雌鶏(クルチクメ)が三羽いたのだが、それらはみんな雛を孵して、雛だけが家禽小屋の二階でまとめて育てられていた。その他にも二羽のクルチクメが次々と雛を孵したので、その度に雛を二階へ運んだ。
 雛は、孵ってから二日くらいは何も食べなくても生きていられるようだ。成長の進んだ雛の集団に入れる場合、初日に放り込んでしまうとうまく歩けずに潰されてしまったりするので、二日目に十分に歩けるようになってから雌鶏から離すようにした。雛は全部で25羽くらいになった。
 雄鶏の数が多すぎるので、以前から売るか食べるかしようと言っていたのに、これもわたしが戻るまで放ってあった。最近になって、三回に分けて五羽を殺したから、残る雄鶏は六羽。雌鶏が二十羽くらいいるはずだから、最終的には雄鶏は3~4羽だけにしたい。最後まで残すのは、雛のときから特別に思っていたこの雄鶏にするつもり。


 たぶん、これがあの彼だと思うのだが、雛のときと変わって真っ赤な(茶色の)鶏になった。羽に艶があって、美しい雄鶏だ。そっくりなのがもう一羽いて、それとまちがえて殺してしまわないように気をつけなければ。

雌鶏は、雄鶏に乗られないように高い所で休んでいる

 さて、殺した雄鶏は義母にも何羽か届けたものの、ほとんどは自分たちで食べている。甥に教わった、皮をくるっと剥がすやり方が気に入って、自分でもそうすることにしている。


 羊を捌くときのように、皮と肉のあいだに指を入れてビリッビリッと剥がしていく。筋があるときは包丁で切りながら、とにかく剥がす。暑い台所で汗だくになりながら、ヒップホップを聴きながら、黙々と皮を剥がすわたしは誰か? いつのまにか、砂漠人でもない何者かになってしまった。
 内臓も取った肉は、決して水で洗わずにそのまま冷蔵庫に保管する。そのあいだに肉が熟成されるそうだ。一日置いた鶏肉はこんな色になった。


 大きめの鶏はモモと手羽を、小さめはモモだけを切り分けて、冷凍する。このときも水では洗わない。洗うのは、解凍して調理する直前に一度だけにする(なぜと聞かれても、明確な回答はまだ思いつきません)。

夏野菜

 あいもかわらず、青果爆買いの夏がやってきた。スイカ、トマト、きゅうり、じゃがいも、キャベツなど、量が計れないほどある。ハリルは家畜や家禽のことを第一に考えて買物をしているようだ。わたしが渡した人間用の買物リストに加えて、傷んだものも混ざった野菜を大量に運んできた。トマトなんか、100キロくらい買ったんじゃないだろうか。

じゃがいもを洗って南庭に運ぶ用意をするハリル

毎日ハリルを手伝う甥

さっそくトマトを選り分けて、潰れたものを鶏にやった

 台所では、わたしが果物と野菜の処理。日差しの強い中、露店で売られているので、買ってきたものはまず水に入れて冷やさないと冷蔵庫に入れることができない。




 どうする、これだけのトマト。慌てて庭に吊るしてあるニンニクを取りに行き、タラゴンを摘んできて、トマトソースを煮た。

にんにくは潰すだけ

道端に生えているタラゴン


 5リットルの鍋いっぱいに煮ても、3回分の食事にしかならない。今週はもうひと鍋、煮る必要がありそうだ。

冷蔵庫に押し込んだトマトときゅうり!

プラムジャムとプルニ(牛乳のライスカスタード)

さらに運ばれてきたスイカ。今週は25個も買った…

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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