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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

セルニック

すんごいものを焼いてしまった。こちら↓

ベイクドチーズケーキだが、ポーランド風にしたので「セルニック」か。アウズを解凍した後で、底に敷くためのビスケットがないことに気づいたけれど、どうしても焼いてしまいたかったので、セルニックのようにビスケット部分も自分で作ればいいと思いついたのだった。
材料は以前と同じだが、底と表面部分に使うビスケット生地は、材料をボールかビニール袋に入れてバターをすり潰しながらよく混ぜる。底にはしっかり敷き詰めて、表面にはパラパラと振りかける。表面に振りかける分には、カカオパウダーを混ぜて茶色い生地にしてもいいと思う。スウェーデンで買っていたポーランドのセルニックはそうだった。

[底と表面のビスケット生地]
- 小麦粉 100g
- 砂糖 50g
- バター 50g
- 卵黄 2個分
※余った卵白はメレンゲにしてケーキ生地に混ぜる

[ケーキの生地]
- アウズ+カイマック+スズメ=400g
- 卵 2個
- 砂糖 100g
- 小麦粉 30g
- オレンジの果汁(レモンジュースの代わり) 適宜
- オレンジの皮のすりおろし 適宜

ビスケット生地が用意できたら、半分くらいを底に敷き詰めたあと、ケーキ生地を作る。まずは、卵白をよく泡立ててメレンゲにする。別のボールで残りの材料を十分に混ぜ、最後にメレンゲと混ぜ合わせてからケーキ型に落とす。軽く空気を抜いてから、残りのビスケット生地をパラパラと乗せてオーブンに入れる。適度な火加減で、40分くらい焼く。

オレンジの皮のほかに、レーズンを入れたセルニックもたしかにあったと思う。
このチーズケーキのなにが特別かというと、乳牛が年に一度、出産した際にだけ出る初乳を使っていることだ。それから新鮮な牛乳で作ったスズメ(水切りヨーグルト)、生乳を温めたときにできる膜(カイマック)も特別だ。おまけに卵もうちのニワトリ様が産んだもの。オレンジが庭の木からもいだものだったら、もう夢のようだが、そこまではまだ叶っていない。いずれにしても、本来のチーズケーキというのは、酪農家のおばちゃんが新鮮な材料を使って焼いた、こういうお菓子のことなのだろう。差をつけるようで申し訳ないけれど、店で買ったクリームチーズや生クリームでは、この味は出せないのだ。

ところで、食事やパソコン作業に使っているうちの大きなテーブルとイスは、標準的な高さより10cm高い。発注するときに、なにを思ったかハリルが10cm足してしまったのだ。できあがったものは、足がつかないことはないけれど、座り心地が悪いし、腰にも悪そう…。それで、足元にフットレストになるよう大きなクッションを置いて足を乗せている。


イスを引いたところです

ところが最近は、気がつくとわたしのフットレストが猫に占領されている。足が置けないんだよね。


でもかわいいから、いいか♡

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ペンケース

ペンケースの縫製にようやく取りかかった。刺繍はだいぶ前に指し手から納品されていたのだけれど、長いあいだ放ってあったのだった。

今年は、刺繍の刺し手をかなり選んでいる。わたしが惚れ込んでいる刺し手は今のところ一人いて、上の赤・黄・白のペンケースは彼女が刺したものだ。彼女はこのあたりでも一番の刺し手なので、お祝い用バラックの注文が絶えず、仕事を頼むのは容易ではない。


このスティッチの細かさ、正確さ

上の模様は「ゴチョック」と言って、オスの羊の角を表わしている。一見、ハートに見えるのだが、黄色だけ、白だけに目を凝らすと角の姿が見えるかもしれない。

この模様は、カタツムリ。いかにもトルクメンらしい模様で、たしかにカタツムリ的だ。

縫製したのは全部で10個。まだ裏地をつける作業が残っている。新作はこれしかできていないけれど、ペンケースをさらに作るかどうかは検討中。今はバラックとチャイガップ(茶袋)に集中して作っている。このペンケースは「大人の小さなペンケース」をイメージして作っているのだけれど、友人が言うにはメガネケースにもぴったりだそうだ。それを聞いたので、裏地はなるべく厚めの布をつけようと思っている。
じつは、急用ができて、来月日本に帰国することになった。今年は夏に帰国して刺繍作品の販売をしたいと思っていたのだが、帰国が早まったことで販売はできなくなりそうだ。とても残念だけれど、いまは作品製作も迷走中なので、時間をかけてより発展させたいと思っている。ちなみに、急用とはわたしの歯医者です。一ヶ月ほど、千葉県の実家に滞在する(ハリルは最後の二週間だけ合流)ので、集まりがあったら誘ってください。

トルクメンの靴下

気候が変わったので、衣替えを始めている。冬物のセーターなどを洗濯して、虫がつかないようにビニールの袋に入れたあとスーツケースに入れて、クロゼットにしまう。衣替えついでに衣類の断捨離もしたのだが、その際、ずっと放ってあった2~3足の靴下を見つけた。

これは市場で買ったもので、トルクメンの手編みの靴下。素材はウールではなくアクリルのような化繊である。数回履いたような感じだが、まだ新しい。

これも市場で買ったものだが、トルクメンのものかペルシャ人のものか、それ以外か、まったく分からない。けれど、トルクメンの伝統的な手仕事を売っている店で買ったので、トルクメンの可能性が高い。それにしては、非常にモダンな色柄だけれど。
数年前、トルクメンの手編みの靴下を日本で販売しようと思っていて、いろいろ調査していた際に買った2足だが、よく見ると青い方はかなり日焼けしているし、靴下を扱う気は今はないので、洗濯して来年自分で履くことにした。

これも典型的なトルクメンの手編みの靴下。トルクメニスタンの人におみやげでもらったものだ。自分で履いていたのだが、かかとの部分がほつれてきたので、これも来年直して履こうと思っている。しかし編み直し方が分からないので、かがるだけになりそうだ。
しかしトルクメンの仕事は大概において雑だと感じることが多いのだが、女性の手仕事となるとなぜこんなにも緻密なものができあがるのだろう。特に刺繍と編物はそう。本当に不思議でアルヨ。

最後に、古いスーツケースの上に乗っているのは、わたしが持っているスカーフのすべて。数えたら18枚もあった。ろくに被りもしないのに、よくもこんなに集めたものだ。自分で買ったのは半分くらい、もらいものが半分。しかも、この他に未使用のスカーフがまだ何枚もある。これらは断捨離しがいがあるが、するつもりはない。これからとっかえひっかえ被って、クミシュテペのファッションリーダーを目指すことにする。

犬猫について

今日はハリルが悪いニュースを持って帰ってきた。南庭の犬たちに餌をやっているとき、老犬ガラウェズ(キング)に手を噛まれたそうだ。それでワクチンを打ちに行ったのだが、そこで医者から文句を言われたとのこと。
イランには狂犬病があるので、犬や猫に噛まれたらワクチンを打つ。ところがそのワクチンが非常に高価なものらしく、保険に入っているので患者はそれほど支払わなくて済むものの、クミシュテペの診療所がそれを負担することになる。医者が言うには、ハリルは一人で何度も打ち過ぎだそうだ。
たしかにハリルは、わたしが覚えている限りでもこれまで3回は打っている。そのうち2回は飼い猫と飼い犬に噛まれた。きっとハリルは「うちには犬と猫がたくさんいすぎてどうしようもないんだ」と話したのだろう。野良をケアする施設などがあるはずだろう、と医者に尋ねたら、クミシュテペでもそういう議論は行われたのだが、結論は、増えすぎたら殺すということになったそうだ。だから、殺処分してほしい犬や猫がいる場合、連絡すれば取りに来てくれるという。
最初の一匹だったチーちゃんが毎年子猫を産むようになって、わたしはこのときが来ることは想像していた。猫を飼う習慣のない地域では、避妊ができない限り、数が増えたら殺すしかなくなるだろう。市の政策がそうであることも今日はっきりしたので、絶望的だ。
毎日毎日、ハリルは家畜の世話のほかに、犬と猫のために餌を買いに鶏肉屋へ、パン屋へ出向いている。ひょっとすると、犬猫の餌代にはわたしたちが食べるよりも多くのお金を費やしているかもしれない。子犬や子猫も合わせて41匹となった今、その負担は体力的にも経済的にも大きいのは事実だ。
牛や羊は食べていくための家畜なので、人間がその生をコントロールしている。うちなどはコントロールしていない方だが、それでも犠牲祭のときは殺している。犬や猫は食べるためではないけれど、庭を守らせたり、ネズミを捕らせたり、かわいがって癒されるために飼っている。食べるわけじゃないから、その生をコントロールしてはいけないという理屈は、あまり論理的じゃない。実際、避妊という形で解決するのが日本の場合だ。
しかし、自分の大事な犬や猫を、どうして殺すことができるだろうか。殺処分に出すくらいなら、自分で安楽死させてやりたいと想像したのは確かだが、子猫を前にして、成長したチーちゃんやロミ夫を見て、そんなことは非現実的に思える。しかし50匹、60匹、100匹の猫を目の前にしたら、どうだろう。餌をやったり庭に置くのは現実的ではなくなるだろう。
ぼんやりとした嫌な予感がして、子猫を眺めても悲しくなってくる。

ヤハナ

ヤハナは、魚を使ったチェクディルマのことだ。魚を揚げて、たまねぎ、トマトを炒めて水を入れて煮込み、お米を入れて炊き上げる。


アークバールク(白い魚)。軽くフライ


にんにく。刻む


レーズンも入れる

今回は切り身の魚を使ったので、頭でダシもとっておいた。煮込むときに水ではなくてスープを入れる。



たまねぎは色づくまでゆっくり炒め、トマトを入れて水気が飛ぶまで炒める。スープを足してグツグツ煮込み、いい感じになったら米、にんじん、レーズン、にんにくを一緒に入れる。にんじんは細切りにする。揚げた魚も入れるけど、煮込みすぎないうちに鍋から出しておく。

途中で何度か蓋を開けてかき混ぜたり、蓋についた水分を捨てたりする。これが日本米の調理と違うところだ。お米が炊けたらできあがり。煮込んでいるあいだにサラダを作ったり、ピクルスを盛りつけたりしておく。

今日も簡単なトルクメンの食卓のできあがり。朝はパンも焼いた。

チーちゃんタイちゃん

タイちゃんの子猫4匹は、庭にある小さな小屋の中でタイちゃんが育てていた。しかしニワトリが頻繁に出入りしたり、子犬が入ったりして落ち着かないし、子猫に虫もつくだろうと思い、家の中のチーちゃんの猫ハウスのとなりにタイちゃん一家も移すことにした。


左がチーちゃん。子猫たちは行き来している

ところがそうした途端に、タイちゃんはほとんど子猫(家)に寄りつかなくなり、外で雄猫たちと戯れるようになった。あまりに長い時間戻って来ないので、見かねた(?)チーちゃんが子猫たちの世話を始めた。


「タイ子はどこ行ったの!」

となりのハウスから移ってきたタイちゃんの子の匂いを嗅いで、舐めたりミルクをやったりしている。チーちゃんとタイちゃんは親子なので、匂いが似ているのだろうか? 2匹は毎年同じ時期に子猫を産むので、結局はどの子猫にも分け隔てなく授乳するようになる。


遊び疲れて爆睡するタイちゃん

タイちゃんが戻ってきたとき、チーちゃんはタイちゃんにお仕置きをしていた。タイちゃんはこれまで自分の子猫を慎重に育ててきたので、悪い母親だということはないだろう。家の中で安全なのと、チーちゃんが側にいるので少し油断しただけだろうか。
しかしタイちゃんはほとんど家に戻らなくなり、庭でロミ夫、アークジャ、黒トラ(ほとんどの子猫の父親)に追いかけられている。ハリルも「二度目の出産は受け入れがたい…」と言うし、わたしはタイちゃんの子猫を庭に戻すことにした。子猫を守るという仕事があれば、雄猫とのつきあいも少しは減ると思ったのだが、どうだろう? 今朝はロミ夫が子猫を抱えるタイちゃんに添い寝していたが…。

一方チーちゃんは、一日のほとんどを子猫との添い寝に費やしている。子猫が寝静まるとその場を離れ、餌を食べたりわたしにくっついて寝たりしている。チーちゃんの甘えっぷりがかわいいけれど、まさか「これからまたわたしの春が始まるから、子猫たちをよろしくね♡」と言っているんじゃないだろうな。もう孫の世話はたくさん、自分で面倒みてちょーだい!
南庭を合わせると、現在猫の数は23匹になっている。犬は18匹。

タロージロー

イランは新年を迎えた。正確には、3月20日の午後に年が明けたそうだが、その日は元旦とは考えず、日付としては21日からが1396年なのだそうだ。いずれにしてもわたしの頭の中はほぼ西暦で機能しているので、あまり実感がない。曜日はほとんどイラン暦で考えるようになったため、月日もイラン暦を覚えれば簡単なのだが、これがなかなか実行できない。今年はやってみよう。
そして例によって、イランのトルクメンは新年のお祝いを特にしない。外国のトルクメンはノウルーズを祝うようなので、これはイラニアン・トルクメンのペルシャのお祝いに対する静かな反抗の態度なのだろうか。
砂漠の春も雨が降ったり肌寒くなったりして、不安定だ。しかし確実に緑が増している。


ハリルが種を植えた桃。小さい苗になり、葉が生え出した

ハリルは庭のまんなかに、果樹の苗や挿し木をして春に備えている(まったく懲りていない)。今年は牛がいないのでましだと思うが、犬や猫が木で体を掻いたり、おしっこをひっかけたりしているので、依然として期待はできない。

タローが病気になったときにかけてやったTシャツを、ジローがあちこちに持ち運んではその上に座っている。自分用の座布団にしているようだ。
病気ですっかり小さくなってしまったタローは、ジローよりも気力が強い。体の大きさでは負けるのに、餌を前にすると凄むので、ジローが遠慮して食べなくなっている。犬にも猫にもヒエラルキーがあり、子犬の頃に現われるそれは、大きくなってもまず覆ることはない。


手前がタロー

ここは台所のドアを出たところにある、犬猫の餌用の簡易キッチンだ。小さなガス台の上に大きなガザン(鍋)を置いている。風で火が消えやすいので、金属の薄い板で周りを囲ってある。鍋には蓋がなかったので、大きな強化ガラスで代用した。それは台所のガス台についていた、カバーを外したもの。
餌は鶏肉屋で譲ってもらう「捨てる部分」を熱し、水を加え、そこにパンを加えて作る。鶏の皮や脂肪からかなりの油分が出るので、高カロリーの餌になるのだ。これをうちの4匹と南庭の犬たち、それから近所のアークジャ(猫)にやっている。うかうかしているとニワトリもつまみに来るのだが、最近は子犬たちが追い払ってくれるので面倒がひとつ減った。

プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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