ハリルが新鮮な魚を仕入れてきた。いつも砂漠で一緒になるラクダ飼いの知人が漁師を紹介してくれたようで、袋には今朝獲れたチョントリが30匹入っていた。
鱗と内蔵を抜いたところ。内臓を犬猫にやったら大喜び!
チョントリは、両脇に1~2cm間隔の切れ目を入れることで火を通しやすくして素揚げにし、ごはんと一緒に食べる。揚げたものの写真を撮ろうと思っていたのに、その後に来客があるということになって慌てていたら、その考えはすっ飛んでしまった。
食事が終わってお茶が沸いた頃、親戚の男性が四人のこどもを連れてきた。自分のこどもが一人、その他三人で、そのうち11歳の男の子が韓国語を習っているというのだ。彼はさっそく、紙にすらすらと韓国語を書いてわたしに見せたのだが、わたしに読めるはずがない。「これは韓国語だからわたしは読めないよ」と言うと、今度は「たのか」とひらがなを書いた。「たのか?」と不審そうに尋ねたら(たぶん「田中」のことだと思う)、その下に "ta no ka" とアルファベットを書いた。学校ではまだ英語をならっていないはずなのに。それから「こんにちは」と書いたり、「北川涼太」と書いて音読し、しまいにはひらがなと漢字を混ぜて「私は十一です」と来たもんだ。
たまげた。誰に教わったのかと聞いたら、自分で学んだのだそうだ。父親のスマホにアプリがあって、それで覚えたというようなことを言っていたが、彼の集中力がただ事ではないと感じた。一連のやりとりも、わたしがこれまでに見知っているトルクメンの子とはまったく違い、大人と話しているようにスムースだった。この秀才君は今すぐにちゃんとした先生に付くべきだと思ったけれど、とりあえず学年を飛び級して中学・高校を早く終わらせ、テヘラン大学の日本語学科へ行きなさい! とアドバイスした。しかし他の教科も成績が優秀だそうなので、そのうち興味が別のものに移る可能性もあるだろう。とりあえず、わたしは明日、リクエストされたひらがなとカタカナの一覧表をプリントアウトしに行くつもりだ。あんなにたくさんひらがなが書けるのに、体系的に知らないから覚えたいのだそうだ。
タロ子の息子はだいぶ歩けるようになってきた。猫を追いかけたり、わたしやハリルに向かって走ってくる。
キティの子猫たちのうち、白っぽい雌猫は少し前に死んでしまった。風邪をひいたようでくしゃみが続き、そのうち元気がなくなって、食卓の下で息絶えた。しかし残っている三匹は元気で、体も大きくなってきている。
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