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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

驚いたこと

日々いろいろなことがあるけれど、今日のはちょっと大きめの出来事だった。
まず、犬のジャポンの首の回りが異様に腫れていることに気がついた。触ってもまったく痛くないようなのだが、ネットで読んでみると、どうやら「唾液腺嚢腫」という病気のようだ。その症状は、唾液が溜まって唾液腺という組織が腫れてしまうという。化膿すると、痛みも出るそうだ。外科手術ができないクミシュテペなので、とても心配になった。
しかし、ジャポンにはまったく自覚症状がないようだ。それはいいのだが、気にして見ていたら、一日中子犬のジローのお尻のにおいを嗅いでいる。雄犬でも子犬のときに、なにかいい匂いが出るのかな? と思いながら「アホなジャポンが…」と思っていた。ジャポンという犬は、「変な」という形容詞をつけたくなる性質を持っている。お仕置きしようと思って棒を振り上げても逃げないし、実際に叩いてもちょっと喜んでいるようにすら見える。お腹が空いているときは、その巨体で飛びかかってくるのに(本人は子猫のようなつもり)、そうでないときはおいしい餌にも見向きもしない。昼寝をしているときは呼んでもこちらを見もしないのに、通りかかるとしっぽをガンガンと地面に叩きつけて、親しみを表現している。ほかにもまだ変な面はありそうだが、変すぎてよく思い出せない。とにかく、ジローのお尻を嗅ぐのはやめなさい、と言いたかった。
ところが家の前に、めずらしい雄犬が立っていた。うちの敷地に入りたそうにしている。そこではっと気づいたのだ。そしてジローに駆け寄ってお尻を確認すると、なんとジローは雌だった!


彼ら、いや、彼女らを拾ってきたのは8か月前だ。たった8ヶ月で、もうフェロモンを出してしまうのか。それにしてもジローというこの名前、どうしたものか? トルクメンには分からないけれど、雌の彼女をジローと呼ぶのは違和感がありすぎる。それに、タローとのコンビ名はどうなってしまうのか?

タロー

タローには雄犬が寄ってきていないけれど、嫌な予感がして彼のお尻も見た。雌だった。なんと、二匹とも雌だったのだ。なるほど、飼い主が捨てた理由が腑に落ちた。拾ってきたときに、わたしがお尻を見て雄2匹だと思っていたのだが、見間違いだったようだ。そういえば、タローの後ろ姿を見て「お尻が女性っぽいな」と思ったことが、たしかにあった。「チンチンが細長くならないね」と思ったことすらあったのだ。けれど、8ヶ月のあいだ、まじまじと彼ら、いや、彼女らの性器を見ることはなかった。
驚き、そして二つの困惑がある。一つは、雌なので子犬を産んでしまうということ。二つ目は、彼女らの名前をどうしたものか。息子たちと思って育てていたこどもが、じつは娘たちだったという(彼らは性同一性障害ではないけれど)、親としては複雑な状況なのだ。今のところ、「じろん子」「たろん子」などと呼んでみているが、まったくしっくりこない。ジャポンの病気のことなんか、どこかへ吹っ飛んでしまった。

ジャポン、やめなさい!

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犠牲祭よ早く来い!

庭のプチトマトがまだ実をつけている。初めの頃は、実を効果的に大きくするために芽を摘んだりしていたけれど、途中から完全に放置して水もやらなかった。しかしトマトの勢いは収まることなく、実をつけ続け、赤くなり続けた。したがって、摘心はあまり意味がないような気がする。

ある朝の収穫

全部使ってサラダにした

トマト、きゅうり、たまねぎ、パプリカ、チリ、コリアンダーなど、考えてみたらサルサと似たような材料のサラダだ。サルサを作ろうと思ってレシピを読んでいるときに気がついた。

ヨーグルトソース

ヨーグルトにすりおろしたきゅうりやにんにくを入れて作るジャジキは、クミシュテペでも一般的なのだが、この夏は一度も作っていなかった。当たり前の料理をすっかり忘れてしまうことがあるので、見なくても作れる料理でも、レシピノートに記しておくべきだと思った。カルフォルニアのばあさんブログを読んでいて、思い出したのだった。

フライドポテトの昼食。一時間かけて大きなジャガイモ2個を揚げた!

今日はクミシュテペの家庭ではよくあり得る、フライドポテトとパンの食事にした。うちでは初めてかもしれない。もう肉がなくなって、犠牲祭を待っているので限りなくベジタリアンに近くなっている。ハリルも、もう肉は要らないというようなことを言っているけれど、その真偽は二日後に明らかになるだろう。
先週、ブロイラーのチキンを一羽買ってきてもらったら、なんだか肉の具合がおかしかった。色も変だし、全体的にぶよぶよしていて、ささみの筋を取ろうと包丁を入れると、するするっと肉が削げた。運動していない(筋繊維が発達していない)鶏なんじゃないかと感じた。そのとき、これからは鶏肉は買わずに、自分で育てたものを食べようと心に誓ったのだった。

にんにくの酢漬けとみそ漬け

漬物も作り足して、犠牲祭(肉)よ早く来い! といった状態だ。

猫たちも、あと二日で肉だからね!

五代目ガウシャン

先日、うちにやってきた子猫は元気にしている。ガウシャンと名付けた。トルクメン語の動詞「ガウシュマック」は受け取るという意味なので、受け取った猫ということでガウシャンだ。初代ガウシャンは、家のそばの道端で拾った子猫だった。二代目は、遠くの家にやったのに、何ヶ月もかけてうちに戻ってきた猫。三代目は、二代目の娘。みんな死んでしまったが、四代目は生きていて、南庭に住んでいる。

五代目ガウシャン

あれから三週間が経った。このガウシャンは昼も夜も家の中に入れてもらい、特別な餌をもらい、好きなだけ昼寝をしている。入れてくれとせがむので、ほかの猫は入れないようにしているのに、なぜか彼女は特別だ。近くに寄ってきてかわいいし、鳴き声もバラエティーに富んでいておもしろい。なにか欲しいものが手に入ったときは「ニン!」とカタカナに近い音で鳴く。
それから彼女は、モミモミキャットだった。モミモミというのは、子猫が母猫のミルクを飲むときにする動作で、前足を交互に押しながら、掴んで放すことを繰り返す。わたしの体に乗って、好きな場所を押すのだ。うつ伏せになってガウシャンを乗せたら腰をマッサージしてくれたので、念願のマッサージ猫が手に入ったと思った。
うちで飼っている子猫たちが、母親以外にモミモミをしたところは見たことがない。だからモミモミというのは、子猫のときに母親と引き離された場合にするものかと思っていた。そうしたら、このあいだ大きなサーリジャがわたしにモミモミを始めたので驚いた。ガウシャンを特別扱いしているので、赤ちゃん返りをしてしまったんだろうか。サーリジャはもう立派な成人男子のはずだが。


片目がつぶれているけれど、「目が見えない」とか「痛い」とか文句は一切言わない。ハンディキャップはまったくなく、ほかの猫たちに交じっている。狩りはまだ苦手だが、木登りは得意なようで、オリーブの木に登ってしまうので困っている。



カーペット

四年間生活していた二階から、一階へ移って一年くらい経つだろうか。ついに、セメントの床がすべてカーペットで覆われた。

台所から見たサロン

反対側から

サロンのカーペットは、こげ茶色にした。二階にも敷いた肌色のようなのが似合うと思ったのだが、その色は見飽きてしまったので気分転換だ。ハリルは「この色はオフィスみたい」と言ったけれど、一体どこが?

柱の角もきっちり切ります。日本人が故


玄関を入って右手奥にある洗面台までの廊下も、きっちり敷き詰めた。こうなると、今度はあらゆるところにすてきなキリムでも敷きたくなってくる。


しかしキリムを選ぶ前に、剥がした二階のカーペットの洗濯などなど、体を使う仕事がたくさんあるのだった。それでも、わたしの中で、一幕が静かに降りたのはたしかなことだ。ここまで整備するのにどんなに時間がかかったことか。

今年の犠牲祭は9月1日、あと3日だ。犠牲祭はトルクメンにとって最大のお祝い事で、多くの人があちらこちらの家をあいさつに回る。うちは、家畜の世話がある(助っ人がいない)のでいつもどおり。わたしは南庭に出かけて、ハリルの手伝いをするつもりだ。
犠牲祭には羊を殺すことになるので、その肉が入るよう、一週間前から冷凍庫を空にしようとしている。残っていたアウズを使って、チーズケーキを作った。



おまけ。前回帰国した際に買った、お気に入りのお皿。「食器なんか買ったのか!」と言われそうなので、クミシュテペに持ち帰るまでハリルには見せなかった。これにヤギの白いチーズを乗せて食卓に出したら最高~

今年の夏は、毎日欠かさず庭仕事をした。そのわりに成果はないのだが、やってみたことで分かったことはあった。来年は、本格的な鶏園にするために、鶏が食べそうな草を積極的に生やし(自生している草に水をやる)、そうでない草は早めに抜いてしまおうと思う。しかし砂漠では、生える植物が毎年変わるので、来年がどうなるかは予想がつかない。きれいな野草がたくさん生える年もあれば、数えるほどの種類の草が一面を覆って終わりの年もある。今年は、なぜかうちの庭に菜の花が満開だった。

5月の庭の様子

こんな景色は初めてだったのだ。これは鶏にもいいので、来年も生えてほしいと思い、少し種を取っておいた。


勝手に生えてくるトマトは、あまり構わないようにして、地べたを這って育ってくれたらと思う。

わたしの花壇で砂浴びをする雄鶏(やめて)

わたしの花壇でくつろぐキティ(やめて)。綿花です

綿花は上手にケアすれば、鶏が食べないことが分かった。一羽が葉をつまむと他もみな真似してしまうので、背丈が伸びるまではカゴを伏せて保護するとよさそうだ。しかしこの綿花の種は収穫できるか分からないので、来年はないかもしれない。

放し飼いにした雛も大きくなっている

この鶏の後ろに生えているのが、クミシュテペのブルーベリーだ。これも今年初めて自生したので驚いている。ハリルがこどもの頃は、これを採って食べたとか。放し飼いの鶏にはほとんど餌をやっていないので、彼らはこういうものをつまんで生きている。
ところで今日、ハリルは帰ってくるなりプレゼントがあると言った。そんなものあるわけないよと思いながらも、期待に胸がドキドキしてきた。背中に隠しているので早く早くとせがむと、こんなものだった。




鉄でできたスコップ。そういえば水曜市場で買ってきてもらうようリストに書いたのだった。鉄職人に特別に作ってもらったそうだ。色も発注したとか。今使っているスコップは外側に反ってしまって困っていたのだが、これなら頑丈なので何年も使えるだろう。スコップの初仕事は、庭中に落ちている犬の糞をすくって片付けることだったけど。

今週の食べもの

今週は、種なしぶどうをたくさん買ってきた。あまい。房についたまま、茶色いレーズンになっている粒もあって、そのままレーズンだけ拾って食べたい感じだ。


しかしこれは買いすぎだろう。新鮮なうちに、義母の家に半分届けるようハリルに頼んだら、さすがに納得したようだった。ぶどうが出回ると、夏が終わりに近づいていることを知らされる。毎週毎週、違う種類のぶどうを楽しんでいるうちに、いつのまにか秋になるものだ。




毎日トマトの煮込み料理ばかり食べているので、趣向を変えてカツレツのお昼を作ってみた。前夜に作って冷やしておいた、ナスとピーマンのみそ炒めを添えて、ディルライスで食べた。イランの「カツレツ」は、肉が入らずじゃがいもや野菜だけでも、薄い小判型にして揚げたらそう呼ぶようだ。じゃがいもだけだとカリッとしておいしいけれど、今回は挽肉も少し入れてみた。たまに揚げ物にすると、新鮮でよい!


きゅうりの中に小さいのを見つけたので、ピクルスを作った。材料はきゅうり、青唐辛子、タラゴン、にんにく、クローブ。これを瓶に詰めて、熱した酢水を注いだだけ。


白いのはハリルが毎朝食べるパプリカのヨーグルト漬けで、一番右は青唐辛子の酢漬けだ。サラダに入れるとピリッとおいしい。まだ酢が余っているので、明日はにんにくの酢漬けを作ろうと思う。にんにくの酢漬けは、トルクメンの家庭で一般的に作られている。にんにくが出回る初夏に房ごと漬けるのが伝統的なやり方だが、時期がだいぶ過ぎてしまったので、皮を剥いた粒に酢を注ぐだけの簡単な方法で作るつもり。今年はにんにくをたくさん保存しているので、甘辛くておいしいみそ漬けも作ろう。





しかしまだ残っている激辛の青唐辛子はどうしたものか?

チュズムチ

高校を卒業する姪から、チュズムチの仕事をもらった。チュズムチとは、トルクメン刺繍のための図案を描く職人のことだ。月曜日に「水曜日までにアンナック用の模様を10本描いてほしい」と依頼があった。つまりは、二日のあいだに10本を描かなければならない。家事や鶏の世話の合間にできるだろうか? と思いつつも、これは自分のトレーニングになると思い、引き受けた。わたしの作図が上手だということで、相場よりも高い値段を姪が交渉してきてくれたのだが、それは自分の店の商品を作る際にわたしが支払う金額よりも低かった。


できました、10本。10種類の模様を描くつもりだったが、途中で断念して5種類の模様を2本ずつ描いた。描きながら、アンナックは誰が刺すのか、どこからこの仕事をもらってきたのかなど、姪に聞いてみた。これらは学校に持っていって、彼女と同じくデザインを習っている学生が刺すそうだ。これを持っていくと、姪のポイントがつく(?)というので、「ワタシが働く、アンタの査定が上がるアルネ!」などと恩着せがましく言ってみたのだが、彼女は「?」といった顔をしていた。それもそのはず、後でハリルに聞いたら、これらは彼女たちの試験に使われるそうだ。つまり、学生がそれぞれの色で刺繍を施して、それが採点されるということだった。わたしのトルクメン語が未熟なために、こういった会話の成り立たなさはよく起こる。

ざくろ

名称分からず

鳥の羽

ハート

名称分からず

ちなみに、試験を受ける学生がこの模様の描かれた布を買うそうだ。わたしの報酬は、彼女たちからもらうことになる。
描くだけならまだしも、この布を縫うのも仕事のうちに入っていて、その方がよっぽど時間がかかった。しかも、布代はわたし持ち! 余った布で作ったので、問題ないけれど。

プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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