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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

ゴルメサブジ

 飼っている鶏のうち、雄鶏の数が多すぎるので売るか殺すかしなければならないと言っていたまま、わたしは三週間留守にしてしまった。結果、何羽かの雌鶏がひどく傷ついている。雄鶏が交尾のためにやたらに背中に乗るので、雌鶏の頭や背中の羽はむしられ続けて、剥げてしまっていた。
 早く殺さなきゃと思っているうちに、売るために預けていた雄鶏3羽が、庭に戻ってきた。甥に頼んで売ってもらおうと思っていたのに、値段が安すぎて売り渋っているうちに、別の仕事で鶏の世話まで手が回らなくなったということだった。困るので、その場で1羽切ってもらった。甥は首を切ったあと、びっくりするような方法で鶏を捌いた。羊のときにするように、羽のついたままの皮を肉から剥がす方法だった。普通は首を切ったあとに、羽をむしって皮がついたまま料理すると思うのだが、甥がやったのは兵役に就いたときに覚えたやり方だそうだ。
 鶏肉は一日冷蔵庫で寝かせて、骨付きももの部分を使ってゴルメサブジをつくることにした。残りの部分は、スープにする。


 庭で放し飼いにしている鶏は、餌をあまりやらない上に動き回っているので、店で買うブロイラーの鶏肉に比べると、弾力がある。よく煮込まないと、硬いのだ。それで唐揚げやケバブには向かないだろうから、煮込みやスープを作っている。
 ゴルメサブジは、まずフライパンで肉に十分火を通し、塩やスパイスをして仕上げたら煮込み用の鍋に移す。そのあとたまねぎもじっくり揚げて、豆、ドライレモン、サブジとともに鍋に入れ、十分な量の水を加えて煮込む。

塩、こしょう、クミン、ターメリックなど



最後に塩加減をしてできあがり

 骨から肉がするっと落ちるくらいまで煮込むので、肉はとても柔らかくなっている。これをライスにかけて食べる。

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水曜市場

 クミシュテペで毎週開かれる、水曜市場。ひさしぶりに野菜や果物を買いに出かけた。一時帰国のあとでは、何をしてもクミシュテペを新鮮に感じることができる。いつもはピリピリしているこどもたちとのすれ違いも、今日は余裕を持って構え、笑顔すら見せることができた。

サワーチェリー

プラム

 さっそくプラム、桃、サワーチェリーのジャムを煮る。サワーチェリーは種が入ったまま煮て、食卓で果実をしゃぶったあとに種を出すのだ。

鍋に果物を入れ、砂糖をまぶしてしばらく置いてから煮る

桃ジャムとサブジ

サワーチェリーとプラム。シロップは飲みものにする

焼き立てパンは、パン屋で

 水曜市場では、衣服や生地などを売る屋台が集まっている通りがあるのだが、そこで生地の買物をした帰り、かわいいお土産を見つけて買った。

トルクメニスタンで作られた、ラクダの置物キーホルダー。ラクダの毛で編まれている

Mr. ジャールー

 日本から持ってきたもので、今回一番大事だったのが、これ。

ロボット掃除機!

 これを買ったのは、たしか去年の秋だ。どうしても欲しいという思いが募り、ネットショッピングして日本の実家に送ってあったのが何ヶ月も経て、ようやくクミシュテペの自宅へ到着した。
 トルクメンの家は一般的に、人が集まる居間には絨毯と壁に立てかけるタイプのクッションだけが置かれ、家具はほとんどない。人が来ると、絨毯の上にスフラ(テーブルクロス)を敷いて、お茶を飲みながらくつろぐのだ。うちのサロンも、ダイニングテーブルとハリルのデスク以外は床なので、ロボット掃除機がうまく機能すると思っていた。実際、使ってみるとこれほどすばらしい機械はないというくらい、満足している。




こどもたちが釘付けになった

 問題点があるとすれば、サロンが大きすぎて(60平米くらいか)三回くらいかけないときれいになりきらないことと、掃除機が玄関のたたきに降りていってしまうことだ。ガタン! と一段飛び降り、そこを掃除したらまた一段飛び降りてしまう。一番下は靴を脱ぐ場所で砂が多いので掃除機をかけたくないのに、そこまできれいにして今度は登れないままうろうろしているのだ。落下防止の機能があるはずなのに、そんなオペレーションをする。


 ロボット掃除機の名前は、ミスター・ジャールー。ジャールーはペルシャ語で掃除機を意味するようだ。たまたま覚えていたので、テヘランの空港で調べられたときに、その単語を言って説明することができた。称号がミスターなのは、掃除機がけを男性にさせたいという潜在的欲求の現われと思われる。

クミシュテペに戻る

 三週間の日本滞在を終えて、クミシュテペに戻った。今回は(も?)あまりイランに戻りたくないと感じていたけれど、戻ってしまったのだから仕方がない。すっかり便利な日常に慣れたわたしは、テヘランの空港でトイレに行ったときに、さっそく「あぁ…」と思った。水洗の洋式トイレもあるものの、ペーパーはなく便座が(水で)濡れていた。イランはやはり、ちょっと別世界なのだ。
 帰りの飛行機の乗り継ぎはスムースで、テヘランの空港でもすぐにタクシーをつかまえて長距離バスのターミナルに着くことができた。ターミナルでも隣町までのバスにタイミングよく乗ることができ、いよいよ最後の帰路に就く。要所要所、ハリルに電話して運転手やその他の相手と話してもらったので、心配することはなにもなかった。
 バスはバンダルトルクメンという港町行きだったので、乗客がトルクメンばかりだった。空港からバスターミナルまでのタクシーだけは、言葉(ペルシャ語)が理解できないため異国情緒たっぷりで、少し怖い状況でもある。しかしバスに乗ったら人々が話している内容が自然と頭に入ってきて(トルクメン語)、今回は一人のおばちゃんの訛り具合で「あ、クミシュテペの人じゃないか」と分かったほどだった。ということは、わたしもクミシュテペ訛りのトルクメン語を話しているのだろう。わたしにも分かるくらい田舎っぺのアクセントだから、ちょっと恥ずかしい。
 もし外国人が一人でこの道程を辿ったとしたら、かなりスリルのある旅になる気がする。実際、ボーダさんはそれをやってのけたが、よほど旅慣れた人か異文化慣れした人でないと、難しいかもしれない。なんといっても英語が通じないし、イラン人はちょっと見怖いし、何を考えているのか分かりにくいタイプの人種だから。
 隣町のバンダルトルクメンに着くと、ターミナル(と言っても大通りに面する小さな待合室があって、バスは路肩に着けるだけ)で立ち話をしながら待っているハリルが見えた。かなり、スマートになったように見えた。兵役に就いている親戚の男の子が車を出してくれたそうだ。このあいだまで男の子だと思っていたのに、立派な青年になっていて驚く。
 家に着くとすっかり夜だったが、さっそく犬と猫が出迎えてくれた。犬はジャポン、バグティ、タロ子、ジロ子の四匹。猫はチーちゃん、ロミ夫、タイちゃん、キティ、ガウシャン、ガウシャンの子猫(1匹は出発前に死んでしまった)に加えて、三匹の新しい子猫とその母親(黒トラ)がいた。すぐに取り出せるようにして持ってきた煮干しをみんなに、ていねいにやった。気になるのはサーリジャが姿を現わさないことだが、日中台所に餌をもらいに来ていたとハリルが言うので、そのうち会えるだろうか。猫たちの状態はみんなあまりよさそうではない。痩せているし、皮膚にできものができたり、目が赤くなったりしているのもいた。ハリルは毎日餌をやっていただろうから、季節のせいだといいのだが。
 日本にいるあいだはクミシュテペのことをきれいさっぱり忘れようと思っていたので、そのとおりにして、だいぶリフレッシュできた。日本に着いてから二週間くらい時差ボケが治らなかったけれど、ウェブショップの手配以外は予定をほとんど入れず、雑用をこなしながら実家で両親と過ごしたので体調もまずまず、いい滞在だった。

さばくの民芸店

ついにウェブショップを開店しました。この1~2年のあいだに義母やほかの若い刺し手といっしょに製作したものに加えて、クミシュテペで織られた絨毯とキリムも少し販売しています。

さばくの民芸店:https://turkmen.thebase.in/

義母の刺繍仕事は、これが最後のものとなってしまいました。ハンドバッグとバラックは、すべて彼女が刺したものです。バラックはトルクメン女性の下着なので、部屋着としてぴったりです。ストレスフリーのズボンの履き心地を、一度体験してみてください。

商品は日本国内への発送を前提としていますが、海外への発送をご希望の場合は、ウェブショップ内の CONTACT よりメッセージをいただければ幸いです。

三度目の正直

またまたやってきた、一時帰国のチャンス。三度目の挑戦で、無事実現した。パスポートの再発行も、申請してから五日間で家に郵送されてきたので、日本より早いくらいだった。クミシュテペから長距離バスに乗ってテヘランへ向かい、バスターミナルからはタクシーで空港へ向かう。この一時間にも満たない距離のタクシーが唯一の不安材料なのだが、なんとかこなしてきた。

テヘランから今回はカタール航空に乗り、ドーハ乗り換えで日本に帰った。行きの乗り換えは待ち時間が13時間もあったので、カタール航空が催している市内ツアーに参加してみることにした。バスに乗ってドーハ市内を巡り、その途中に四か所に停車するという内容で二時間くらい、1,200円くらいだ。

対岸から望むビジネスセンターの夜景

ブルーモスク(のメインビルディング)

人工島のショッピングプラザ

この観光バスに乗って廻る

スーク(市場)

スーク(市場)

スーク(市場)

最後のスークは30分くらい時間があったのだが、イランと似ていて勝手が分かったので中まで入り込んで歩き廻ってみた。しかし置いてある商品には、見覚えがあった。かなりのものがイランからの輸入品だし、実際すべてのものが輸入品のようだった。カタールは、今では石油と天然ガスを輸出しているリッチな国だが、製造業などはないに等しいのだろう。
市内の工事状況を見ても、経済活動が急速に拡大しているのは明らかだが、カラフルな光も、聳え立つキラキラのビルも、市場ですらも、空虚なものにしか見えなかった。結果としてツアーは退屈なものだったが、参加してよかったと思った。ドキドキでエキゾチックな体験をしたい人には、まちがいなくイランをお勧めしたいが。

ドーハの空港には quiet room という無料の部屋が男女別にあって、リラックスできるいすが設置されているので、ラウンジに入れない人も待ち時間に安心して眠ることもできる。これは気に入った。イスラム教徒用のお祈りの部屋は、これとは別にある。

quiet room

しかし時間によっては男性が部屋のドアを開けて覗いたり(女性の旦那さん)、掃除のお兄さんがドア越しにお姉さんと話したり、ヨーロッパ人の男性たちが入ってきて話し込んだり、しまいにはこどもが走り回って騒いだりしていたので、ちっとも quiet ではなかった。さすがにヨーロッパ男性には注意を促したけれど、世界ってこんなもん(人に迷惑をかけまいとまじめにルールを守るのは日本人くらい)だなあと思った。

そういうわけで、今は千葉でブログを書いている。

桑の実

毎日、手のひらに乗るほどの量の桑の実をとっている。最初のうちは、数粒収穫できただけで大喜びしていたけれど、そのうちにいくつかのテクニックを身につけた。

去年、苗を植えたばかりの桑の木

まず第一に、桑の木に水をやること。スプリンクラーで毎日ちょろちょろと水をやったら、実の大きさが目に見えるくらい大きくなった。赤い実が色づき、まっ黒になる直前にものすごく大きくなる。水をやらないときの倍くらいに膨らむのだ。


それから、収穫してさっと洗ったら、氷水につけておく。しばらくすると、ぱさついた実もしっとりジューシーになるのだった。こうやって食べると、おいしさも4倍だ! たぶん地元の人は知らなだろうから、人には教えずに「うちの桑の実はとても大きいのよ」と自慢するつもり。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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