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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

ラマダン

今年のラマダンも、ついに最後の日となった。ラマダンとはイスラム教の決まりで、一年のうちの決められた一ヶ月間、日が昇っている間に飲食を断つことだ。イランはイスラム共和国なので、国の決まりとしても断食をしなければならず、犯せば罰せられるそうだが、テヘランでは隠れて食べている人も結構いると聞いている。病人、旅人、重労働をしている人など、断食を免れる場合もあるというものの、田舎のクミシュテペではそういう雰囲気はない。いずれにしても、ラマダン中の断食は、当然することであって、ムスリムにとって「やる/やらない」の選択肢はないのだ。
「よく断食なんかするね。」
「わたしにはムリ。」
この二つがムスリムでない人がラマダンについて感じる最たるものだと思うが、これはムスリムからするとまったくナンセンスな考えだろう。なぜならば、上に書いたとおり、断食をするかしないかは自分で選ぶことではないし、断食には「ムリ」なことを日々強いられている人々の気持ちを理解するという側面もあるので、「わたしはムリ」と言う人ほどそれを経験すべきだとも言える。実際に飢えている人間はこの世界には大勢いて、彼らは夜になっても明日になっても、喉がカラカラのまま日々を過ごさなければならない。そしてひょっとしたらのどの渇きが癒されないまま、命が絶えることもあるだろう。そういう境遇にある人間について、思いを巡らせることは大事なのだと思う。

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アルバルー

今週買ってきた果物は、アルバルーというさくらんぼ。ハリルは「チェリーとは違うものだ!」と力説していたが、実際これは sour cherry である。日本語ではスミミザクラというそうだが、とにかくこれはさくらんぼだろう。

気になるお値段は、700円弱。ちょっとお高いです

全部で3キロちょっとあったので、2回に分けて煮た。そのまま食べると酸味が強いため、イラン人も甘いジャムにして食べていると思う。そのほかには炊き込みご飯にも使うようだ。わたしは果実の重さの35%の砂糖をまぶして数時間置いて、そのまま火にかけた。30分弱しっかりと煮て、冷蔵庫に少し、冷凍庫にたくさん保存した。










トルクメンはおそらく砂糖80%で作るだろう。「これがあれば(お茶を飲むときに)砂糖はいらない」などと言っているが、それは砂糖を食べているのとなんら変わりないことを日本人は知っている。

鶏はつづくよいつまでも

毎日、肉体労働に励んでいる。朝と晩に2~3時間ずつ、庭仕事をしたり、鶏の世話をする。日中は暑いので家の中にいて裁縫をしたいのだが、朝の仕事をするとぐったりして、細かいことに集中できない。しかも、午前中に2時間くらい寝入ってしまうこともある。本当に深く眠ってしまうのだが、晩の仕事をしたあとではやはり夜も爆睡してしまう。45歳にして、中学生並みの充実ぶりだ。…肉体だけ。
さて、鶏はどうなっているかというと、雛が4羽から16羽に増えている。新しく2羽が孵化したあと、なんと10羽を孵しためん鶏がいたのだ。体の下からたくさんのひよこが出たり入ったりしているのは見るだけで楽しいが、2~3日したところでひよこは取り上げて、他のと一緒にした。今のところ、雛を取り上げられためん鶏たちは、わたしを襲ったりはしてこない。
しかし雛たちはわたしを警戒して、部屋の隅にかたまっている。餌をやると、勇気のあるのが1羽、餌箱に近づいてくる。そしてわたしがじっとしていれば、餌を突いて食べ始める。すると次の2~3羽がやってきて、同じようにする。それでも決して餌箱に来ないのが数羽いるので、わたしは用事を済ませたらさっさと部屋を退散する。用事といっても、餌場を掃除したり水を取り替えたり、君たちの世話をしているんだっつの! きっとそのうち、わたしが餌をくれる人だということが分かって、ドアを開けたとたんに飛びついてくるようになるだろうけど。
 


雛を3羽取り上げられためん鶏

おん鶏はどれも美しいが、飛び乗られるめん鶏は背中の羽が抜けてみすぼらしい

昼間は、家の中からときどき庭の様子をチェックしている。コッコが襲われていないか、変な犬が入ってきていないかなど、いくつかポイントがあるのだが、コッコはたいてい猫に襲われているし、よその犬はいつも入ってきていて、昼寝をしている。猫たちを襲う犬はいないのでよしとしているが、餌だけは決してやらないようにしなければ。ときどき、飼い主が探しに来て、バイクから縄を引いて帰ることもあるけれど、今はラマダン中なので人間も昼間は寝ているのだろう。あと数日で、ラマダンも終わる。


網戸越しにこっそり写真を撮った。コッコがひとりで餌を食べていて、地下水槽の上では子猫3匹が重なって寝ている。ふとしたときに、こういう情景が目に入ると本当に和む。





またコッコの話で恐縮です。しばらく鶏ブログになりそうです。

今朝は鶏小屋のネットに、鶏がひっくり返ったまま引っかかっていた。両足は上を向き、くちばしから頭までがネットにかかっていた。それが視界に入ったとき、「あ! 鶏が死んでいる」と思った。そして死骸を取り出すためにネットから外すと、それはバタバタと動き始めた。
…コッコだった。彼女はまためん鶏たちに突かれたようだ。目の脇からは、血が流れていた。突かれて追われ、ネットにかかり、死んだふりをしていたのだろう。よくやった。しかしここまで不死身だと、ちょっと笑ってしまう。
昨日ハリルは雛の餌を買いに行った際、鶏の専門医に会ったそうで、雛の大量死の原因は病気ではないと言われたそうだ。ではなにが問題だったかというと、雛の餌を途中で変えたのがまずかったとのこと。雛の餌やりは、塩分濃度を一定に保ち、少しずつ増やしていかないといけないそうで、買い足した餌ではそれができていなかったのだと言う。もちろん、ドクターは現場を見ていないし、推量しているのだろうから真に受けるわけにはいかないけれど、そういう可能性もあったということだ。それからどの家禽が高く売れるかなど、貴重な情報も得たとハリルは言っていた。わたしは「どうして先に聞かないの(どうしていつも事が起こったあとにそういうこと言うの)?」と言った。


写真はコッコが失明したと思っていたときのもの。今は目が開いています

そして今後はミーティングで議論して、慎重に家畜と家禽の計画を立てようと言い合った。少なくともわたしはそう理解しているので、週に2回くらい、議事録を取ってミーティングをするつもりになっている。でも、忘れた方が賢いか?

ジャムとコンポート

あんず、プラム、さくらんぼが出回るこの季節、猛烈に果物を煮ている。



















パンの発酵は、じっと見守りつづけていれば成功するようになった。発酵の時間が普段の半分くらい、4~5時間でちょうどよさそうだ。そのくらい、気温が高い。ちょうどいい発酵具合を逃してしまうと、生地が膨らまなくなってしまうので、気忙しい。

コッコ

鶏のコッコが失明したというのは、わたしの早とちりだった。なんと、三日目には瞼に1ミリくらい隙間が空き、目のまわりのかさぶたを取ってやったらより大きく目が開いた。ハリルに顔を押さえてもらい、スポイトで少しずつ水をかけて固くなった部分を柔らかくして、綿棒で剥がせるところをこそぎ落とした。目の周りは突かれてケガをしたけれど、眼球は無事だったのだろう。


目が見えるようになると、コッコは歩き出した。おもむろにいじめの現場、つまり鶏の餌場に走っていくので心配だったが、ほかのめん鶏に追いかけられてもちゃんと逃げていた。普段も気をつけながら、めん鶏から離れた草の茂みに隠れたりしている。
本当によかった。コッコは感染症による死を免れ、ケガから立ち直り、これから最強の鶏への日々を歩んでいくに違いない。そうあってほしい。
しかしそばに置いて大事にし過ぎたのか、夕方仕事を終えて家に入ろうとするとついてくるし、子猫たちが母親のミルクを飲んでいると「自分も…」と言わんばかりにそばでうろうろしているし、自分のことを子猫かなにかだと勘違いしているかもしれない。わたしの手のひらに乗せて、くちばしの下の部分をなでてやると、うれしそうに鳴いている。
蛇足だが、鶏の足は、猫の肉球のようにひんやり冷たい。

南庭の犬猫

ハリルは南庭に行く際、犬と猫の餌も持っていく。満足な量を毎日与えることはできないが、ハリルがクミシュテペにいる限り、彼らはなんとかケアされている。ナーセルは基本的に犬猫は放っていて、家に残飯があれば持ってくるようだが、実際はそのくらいの態度がここでは正解なのだと思う。犬にウジが湧くまでケアしなかったことは今でも腹が立つが、動物をケアできないとか虐待するというのは、その人間自身があまりに貧しいか、または病んでいるということだと思う。生活ができて、健康である場合、人間は動物を虐待したりしない。というのがわたしの考え。
南庭にいた猫のうち、大きいのが2匹、小さいのは何匹が見当たらない。キティと同じ柄、グレーの縞、黄色い縞の3匹はすべてタイちゃんの子で美しかったので覚えているが、どれももういなくなっていた。おもしろいのは、最初からやたらになついていたチーちゃんの子猫4匹は、まだいたということだ。それからガウシャンもいたので、同じトラ柄の子猫が5匹もいる。
それでは、ハリルが南庭に到着してから、待っている犬猫に餌をやるまでの一部始終を連写でお届けします。

手前の茶色は「ショコラ」(♀)

ホルジュンまっしぐらは猫の「バートル」


この間、たったの2~3分だと思う。ハリルがバイクを降りる前から、彼らは(餌に)飛びかかってくる。すごいよ~
さて、犬は年長のガチガチを筆頭に、ガラアーラ(♀)と彼女が去年産んだ子犬が3匹、そして今年産まれたのが1匹いる。ガラアーラは非常に賢い犬で、羊の群れについてきて、子羊を狙っているキツネを追い払ったりする。誰も教えていないのに、拾われてきた子犬の頃から羊を追っていた。今ではしっかり者の母親、そして南庭の守り女神だ。

ガラアーラ

ジュニア(バグティの子)と兄弟
ガラアーラは今年も出産したのだが、みんなやってしまって、1匹だけうちに残したそうだ。


すばらしい子犬。きっとまたバグティのこどもだろう。控えめでかっこいいバグティだが、やるときはやるのである。

バグティ@自宅

かっこいいと思っていたけれど、バグティもかなりオヤジ化している。

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プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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