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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

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サーリジャの帰宅

 ある朝、トイレを出て庭の片隅にぼーっと座っていると、一匹の猫が飛びかかってきた。いつもそうしていると犬や猫が寄ってくるので、条件反射でその猫を抱きかかえたら、それは小さなサーリジャだった。彼は三か月も前にこの家から出て行った猫だが、すぐに分かった。黄色いトラ柄に白い手足、黄色い瞳で美しい毛並みの雄猫なのだ。


 サーリジャはずいぶん早い時期にこの庭を去り、旅に出たと思っていた。毛並みもきれいで(顔以外は自分でよく舐める)、ドアのガラス越しにじっと家の中を見たり、観察力の高い賢そうな猫だったが、オスなのであまり家に近づけないようにしようと思って育てていたのだ。その甲斐あってか、早い旅立ちだったが、なぜか家に戻ってきて、以前より甘えん坊になっている。ずっと玄関の前で寝ていて、わたしやハリルが出たら甘えようと思っているのだろう。家の中に入れてやっても、四方八方から体をなすりつけてきて、落ち着いたら体の一部をどこかくっつけたまま、寝ている。あまりにかわいくて、夜寝るときにベランダに連れていって蚊帳の中で寝かせていたのだが、わたしの虫刺されがひどくなったのでやめざるを得なくなった。


 母親であるタイちゃんはものすごく威嚇していたし、サーリジャ自身が他の猫との折り合いがつかないようだ。どの子猫が来ても「シャーッ!」と攻撃してしまい、まるでキティのよう。子猫の中でも、白黒(プシプシ)と黄色いのはとくにフレンドリーな性格で、威嚇されてもサーリジャに近寄っている。

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イチジクの木

 今年は春に、イチジクの苗を二本植えた。二本とも義母の家の庭に生えたもので、根が出ていたのですぐに育つかと思ったら、まったくといっていいほど大きくならなかった。一本は葉まで落ちてしまい、もうだめかと思っていたのだが、先日、周りに生えている雑草を抜いて、ほかの果樹と同じように根元ケアをしたら、なんと葉が出てきた。


出た!

 根元ケアをする前から蕾らしきものはあったけれど、これまで生えては落ちてを繰り返していたので、今回は期待したい。イチジクはどの家にも大きな木があるほど一般的な果樹なので、これが育たなかったらおかしいと思う。

 ところでお隣さんのイチジクが壁越しに垂れてこないか念じている件だが、果実はたくさんなっているのに食べ頃の実が見当たらないのはどうしてだろうと思っていたら、今日その理由を見てしまった。


うちの鶏!

 壁に登って、熟れた実を突いて食べていた。アホなのか賢いのか、ますますわからないトリだ。



さらに枕

 枕の縫い直し、第二弾。新しく二つ追加したことで、四つが仕上がった。今回の古い枕は鶏の羽と野鳥の羽の入ったものだったので、詰め替え作業が想像どおりカオスだった。ひとつ、野鳥の羽は鶏の羽よりよっぽど軽いということを学んだ。


 英語を習いにうちに来ているナーセルの三女が、レッスンの後に作業を手伝ってくれた。毎日なにかしらの家事を手伝ってくれるので、わたしも無理に家事を見つけてやることになり、はかどっている。今日は写真を撮るくらいしか彼女の出番はなかったが、昨日は玄関前に石をきれいに並べる作業をして、一輪車で土を運んでくれたり、かなりの助けになった。

新調した枕本体


カバーを二重につけてできあがり

 彼女は12歳で、夏休み明けの学期から英語の授業が始まるそうだ。休み中にアルファベットはすらすら書いて読めるようになってほしいと思っている。
 毎日卵を集めたあとに、えんぴつで日付を書く仕事もやってもらっている。わたしは西暦で725(7月25日)などと書いているので、彼女にイラン歴だと何月何日かを尋ねたら、わからないと言っていた。おばあちゃんなら知ってるって。今が何月かわからない12歳って、だいじょうぶなんだろうか。おばちゃん心配です。

スポンジとナプキン

 台所で使っているアクリルたわしを新調した。一年以上使っていたものに穴が開いてしまったので、また同じものを編んだ。

before

after

 輪の編み棒を使って細い糸を二本取りで54目編んだら、横幅が大きすぎるのと分厚すぎるので使いにくかった! そこで糸を変えて40目でもうひとつ編んだ。


 これは使おうと思っている。でも、編みあがるまでの間に合わせに、一つだけ残っていた日本のスポンジを使ったら、かなり使い勝手がよかった。アクリルたわしに慣れたので不便を感じていなかったが、やはり洗剤を泡立てて使うにはスポンジに勝るものはない、と。しかし問題は、この普通のタイプの台所用スポンジがクミシュテペで手に入らないことだ。日本に帰る度に10個も20個も持って帰ってくる手間を省きたかったのだが、やっぱり無理かも。


これ最高!



 さて、次はダブルガーゼで作った布ナプキンだ。布ナプキンは、綿素材でできた女性の生理用品のこと。わたしは以前、ネルだかフェルトだかのものを使っていたことがある。クミシュテペではものすごく大きな無骨なナプキンが一般的だったので、日本から持ってくるようにしていたのだが、今回めんどくさくなって自分で作ることにした。参考にしたサイトはこちら。ちなみにテヘラン空港で買ったナプキンは、日本のものと遜色ないような品質だったが、値段は十倍くらいした。


こうやって折って


さらに折るので、ダブルガーゼ×4枚になる

 布ナプキンまだ使っていないので使い心地はわからないけれど、買ってくるナプキンと違うのは、自然素材なのでかぶれないということだろう。わたしはかぶれという症状がほとんど出ることのない体質だが、蒸し暑いイランではかぶれたことがあり、その不愉快さに辟易したのを覚えている。これでうまくいくといいのだが。不便だったら、スポンジと一緒に買い物リストに復活だ!

小さいものもちゃんと裁縫ノートに記録。几帳面というか、マメなんです

水路の清掃

 クミシュテペには東西に流れる大きな水路があって、その西の果てがカスピ海だ。うちは住宅街の一番西にあり、水路の北側に建っている。

中央を横切る水路。右手が西方面(カスピ海)

 クミシュテペの人々は、日常的なごみも水路に捨てるし、枯木や動物を捌いたあとの内臓など、なんでも捨てる。もちろん、遠くから車でやってきて大きなものを捨てる人もいる。水路は非常に汚れているのだが、それでも草が茂って野鳥が棲み、死の川といった感じはしない。
 コミュニティが、その水路のごみをすくってきれいにすることがしばしばある。すぐまた元通り汚くなるのだが、今回の清掃はかなり本格的なようだ。いつもは町中だけなのに、住宅街の端にあるうちの前まで作業が行われている。海まですべてやるつもりだろうか。

すくった汚泥をダンプカーに積み、砂漠の方へ運んでいる

砂漠にできた土手

 水路がきれいになるのはいいけれど、ある一つのことをわたしは心配している。先日死んだ(と思う)ロミ夫は、きっと水路のどこかに眠っていると思うのだ。彼のテリトリーはうちより西側(砂漠側)の、上の写真に写っているあたりで、よく水路で遊んでいた。だから眠っているロミ夫がすくい上げられて土手に埋まってしまうのは、かわいそうな気がする。もっとも、眠っているのは亡骸なのだが。

 さて、せっかくベランダに出たので、お向かいの庭を盗撮した。向かいには家というより小屋が建っていて、電気やガスが来ていないのでそこに常時人が住んでいるわけではない。おじさんが阿片を吸うときに泊まることがある程度だ。毎晩煙を出している時期もあったけれど、あるとき警察が犬を連れてきて以来、おじさんは来なくなった。けれど最近また始まったかもしれない。阿片を吸うだけでなくて、普段からここで牛を飼ったり植物を育てたりしている。前置きが長くなったが、果実がたわわに実る彼の庭を撮った。

地面にはたぶんトマトなんかも育っている


 上は、壁越しのお隣さんの庭。こちらもすごい実りよう。彼らは家族でテヘランに出稼ぎに出てしまったので、新婚さんに家を貸している。しかし新婚さんはまったく庭に出ることなく、木々は放置されている。親戚がときどき来ているとのことなので果実をちょうだいするわけにもいかず、わたしは壁越しに垂れてきたイチジクの枝に「伸びろ~」と念じている(お隣から伸びてきた枝についた果実は取っていいことになっている)。

 果樹の手入れについて、コメントでいくつかアドバイスをいただいたので、やってみることにした。樹木の根元に、刈り取った草などを置いておき、しばらくして土をかけておくと、栄養にもなって木が元気になるとのことだった。余分な土がないことがうちの庭の大きな問題なのだが、とりあえず草はたくさん生えているので刈ったり抜いたりして根元に積んでいる。そしてその上に、トゲのある植物を被せて、動物たちが近寄れないようにした。

根元に注目

 トゲのある植物は、クミシュテペのどこにでも生えている薬草で、ラクダが好んで食べている。果樹の根元は水をやって湿っているので鶏たちが掘り返すし、猫は登って木を引っ掻くので、こうしておけば果樹が日常的に受けていたストレスを軽減できるだろう。気のせいか、なんだか少し元気になってきたような気がする。しかし植物は成長がゆっくりなので、何週間か待ってみないと成果は分からないだろう。

柑橘類


りんご

桑の木とクルミ(後ろ)

梨(隣の家はジャングルのようで、果実が何百と実っている!)


 梨がきれいに色づいてきた。庭の中央に一つだけなっているので、わたしは密かに「庭の太陽」と崇めている。

イチジク(猫より小さい)

モモ

 あとは、「枯れない程度に」水をやり続けて秋を待つといったところだろうか。園芸に興味がないと言いながら、朝晩庭に出て手入れをしている。
 去年、庭に1~2本だけ生えていたタラゴンは、今年は15本くらい出ていた。花が咲いたあとそのままにしておいたので、うまいこと種が飛んだようだ。タラゴンはクミシュテペのいたるところに群生しているので、抜かないようにすればうちの庭にも茂るだろう。水をやらなくても十分育つので強いかと思ったけれど、一度引き抜いてしまうとすぐに戻しても必ず枯れてしまう、繊細なハーブだった。

きみどり色に見えるのがタラゴン。見えませんね(笑)

カボチャは失敗。花が咲かないので、つるボケしているようだ

枕を新調

 枕を二つだけ、新しくした(古い枕の中身を、新しく縫った袋に入れ替える作業)。あと四つ分の作業が必要なものの、とりあえず一安心。


 青いストライプが古い枕。写真では分からないけれど、ぞっとするくらい汚れている。手前が新しい枕本体で、この中に綿を詰める。

綿を詰めて縫った

それに薄手のカバーをかけて(右)

さらに先日作ったカバーをかけた(右)


 あとはカバーをこまめに洗って、枕本体に汚れが染みこまないようにメンテナンスすればいいだろう。しかしどのくらい頻繁に洗濯できるか、そこが問題なのだ。
 この枕の中身は、バスのシートにでも入っていそうな、体にも環境にも悪そうな黄色い化学繊維だった。ナーセルの家からもらった枕を縫い直して使ってきたので、文句はないですが。

詰め替えの作業をした庭の手洗い室(BEFORE)

終わったら軽く掃除して、元通り動物の一時休憩所に(AFTER)

 この詰め替えの作業が億劫で、つい先延ばししていたのだが、やってみれば数分のことだった。でも残る4つの枕は中身がトリの羽なので、これより面倒かもしれない。夏のあいだにやってしまおう。

プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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