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砂漠人5

トルクメンサハラの暮らし

   

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プルニ

 プルニという、イランのデザートがある。これは牛乳のライスカスタードで、トルクメンは断食明けの食事によく食べるようだ。ペルシャ語では「フェルニ」だと思うが、トルクメンは "f" の発音ができないので「プルニ」となる。

牛乳500g、水270g、上新粉50gをよく混ぜる

砂糖は50g、後で加える


 鍋を中火にかけて、かき混ぜながら15分くらい煮る。砂糖を加えてさらに1分ほど煮て、器に入れる。火からおろす直前にローズウォーターを入れてもよい。かき混ぜて15分くらいすると、木べら(スプーン)に上新粉の塊がついてくるようになるので、そのくらいドロッとしたら器に移すころだ。

粗熱が取れたら冷蔵庫へ

 夏休みなので、ナーセルの三女(12歳)と長男(9歳)が毎日うちに通っている。二人に英語を教えるよう、ナーセルから申し付けられたのだ。英語を習うことは、クミシュテペでもはやっているらしく、ナーセルは「お金を払う必要はない。おばちゃんに教わればいいのだ」というので、「タダだと覚えないんだYO!」と言い返しておいた。しかし二人ともまだかわいいので、試しにやってみようと思っている。英語といっても、まだアルファベットを覚えているところだし、毎日30分くらいしか教授しないので、たいしたことではない。それでもわたしはものすごく疲れている! YouTubeでアルファベットソングなどを見せていても、いつのまにかわたしが一番大きな声で歌っている。どなたか上手な教授法を教えてください。
 アルファベットをやった後はお茶を飲んで、長男はハリルと一緒に家畜の世話に出かける。三女はわたしの手伝いをしたり、一人で帰ったりする。頼んでいないのに、机の上や棚のものを動かして、部屋の整理整頓をするのだ。物はなんでも端っこに追いやるのだけれど、どうしてそうなるんだろう? と、感心すると同時におもしろく思う。
 こどもがいるので、おやつの用意に手が込んできた。

ごまクッキー

マフィン

ネクタリンとあんずのコンポート

 次はコンポートでジェリーを作ろうと思っている。

牛と羊を追うナーセルの長男。かなり様になってきた

 彼は将来、日本に行くと言っているけれど、さばくの羊飼いが似合っているような気がする。

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市場

 今週の買物の目玉は、ぶどうだった。ひとカゴで、14,000トマン(360円くらい)だったそうだが、去年はその半値くらいだったので、ずいぶん値上がりした。もっとも、トマンの価値も暴落しているので、物価が上がったのかどうかよく分からない。とにかく経済が破綻していることだけがよく分かる。



サブジ

押し麦、大麦、ドライレモン


 羊肉と大麦のスープを作ろうと思い、麦類を買った。夏はあまり熱いスープを飲む気になれないけれど、ちょっとバテ気味なので、積極的に食べるといいかもしれない。うれしいことに冷凍庫が肉でいっぱいだから、骨の在庫を減らすためにもスープはよい。


今週のトマト


 このほかにナス、きゅうり、メロン、白桃、そしてスイカはついに玄関のたたきにも保管するに至った。

食事より大きな果物

猫たち

 庭にいる子猫は5匹になった。白黒のガウシャンの子(♂)、キジトラが産んだ体の小さな子(♀)に加えて、タイちゃんの子が三匹来るようになった。

ガウシャンの子(♂)。「プシプシ」と呼んでいる

キジトラの子(♀)

黄色(タイちゃんの子)

黒(タイちゃんの子)

やたらと鳴く、タイちゃんの子(♀)。黒と黄色が混ざっている

子猫集合(親猫も一匹混じっている)


 ロミ夫がいなくなって、うちの庭は雌猫だけになってしまった。チーちゃん、タイちゃん、キティ、ガウシャン、そのほかに3匹のキジトラがいる。まるでキジトラ園のようだ。
 2~3か月ほど前に、小さいサーリジャがいなくなった。雄猫なので、旅に出たのだと思う。そしてわたしが留守にしていたあいだに、大きなサーリジャもいなくなった。雄猫はたいてい1~2年で庭から姿を消すけれど、大きなサーリジャだけは、3年いたんじゃないだろうか。彼もついに旅立つときがきたのかと、少し安心した。

ガウシャン


 迷い猫だったガウシャンは、このところ一番貫禄がある。体もどっしりしてきたし、このときはスズメを捕っていた。でもあまりにもてあそび過ぎて、このあとタロ子に横取りされていた。

キティ

 キティはいまいち他の猫たちとの折り合いがつかないようだ。唯一、好きだったサーリジャがいなくなってさみしいのだろうか。特別に家に入れてやったら、シャワー室の冷たいタイルが気に入ったようだ。でももうすぐその上のホースから、洗濯機の排水がバシャーッと出てくるよ。

暑い日々

 今年の夏は異常に暑いそうで、午後は連日40℃近い気温になる。外で作業をするとTシャツがびしょびしょになるし、帽子やスカーフなしでは危険なくらいの日射しだ。
 最近になって、二頭の子羊が熱射病で死んでしまった。日陰があるのに、なぜか日向に行って昼寝をする羊がいるそうだ。一頭目は治療しようとして注射をしたりしたそうだが、二頭目は死ぬ前にハリルが「食べる」と言って、家に持ち帰ってきて切った。一人では持ち上げるのが難しいくらい重かったので、だいぶ育っていたと思う。




 羊肉も、一日冷蔵庫で熟成させて、翌日小さく切り分けて冷凍した。思いがけず羊肉が入ってわたしはホクホクだが、丹精込めて育てていた羊が死んで、ハリルは心で泣いているだろう。夏は暑い中、冬は寒い中、朝晩と出かけて世話をしているのだから、こんなふうに死なせるのは不本意なはずだ。

チョントリ

 カスピ海でとれる庶民的な魚、チョントリ。新鮮なのを見つけたので、買ったそうだ。冷凍庫が羊肉でいっぱいになったところに、さらにたんぱく質が追加された。鶏が卵を産まなくなったので、グッドタイミング!

チェクディルマ

 ところでこの暑さの中、電気の供給が非常に不安定になっている。こんなことはイランに来て以来、初めての経験だ。停電はたびたびあるものの、たいてい一時間もしないうちに復旧するのがこれまでの常だったが、昨日は三度も電気が切れた上に、なかなか戻らなかった。うちは水道の水を地下水槽から電動でくみ上げているので、電気が止まると蛇口から水が出なくなる。冷蔵庫も止まったりついたりで、食材が傷むんじゃないかと心配だ。ハリルがラジオで聞いたところによれば、これはイラン全土で起きている状況だそうだ。
 クミシュテペでもクーラーを使う家が増えているようだが、電気が止まったのでは仕方がない。うちは天井に吊るしたファン一台と、うちわだけで暑さをしのいでいる。でもここまで来ると、クーラーを使わないことが果たしていいことなのかどうか、疑問に思う。一日中、頭がぼーっとして物事に集中できないし、ちょっと横になれば気絶したように眠ってしまうのだから。ただし、夜はベランダに蚊帳を吊って寝ているので、熱帯夜もなんのその。多くの夜は、海からの心地よい風が吹いて、気持ちよく眠れている。

ロミ夫

 南庭にいる犬のガチガチが、うちの動物の中で一番の年寄りになった。わたしたちがまだスウェーデンにいる頃から、うちの敷地で飼い始めた雄犬だ。


 いつも一番に走ってきて、撫でてほしそうにしていたのに、今は呼んでも来ないときもある。夏の初めに毛が抜けきらないであまりにみじめな姿だったので、櫛で梳いて毛を抜いてやったら、少しあか抜けたようだ(それでも上の姿)。

 今の家に住んで一年目に飼い始めた猫、チーちゃんとロミ夫も年を取ってきた。じつは、ロミ夫はもう死んでしまったんじゃないかと思っている。数日前に見かけたきり、うちに戻っていない。戻ってきたときに二回ほど、ヤギのミルクをやったらゴクゴク飲んでいた。でも体はマッチ棒のように痩せてしまっていて、顎のあたりのケガが治りきらず、固形物は食べられなくなっていたようだ。その甲高い鳴き声は、力のない悲鳴に変わっていた。
 最後に来たときは、家の中に入れてくれとロミ夫は言っていた。でも体があまりに汚れていたので、どうしても家の中に入れることができなかった。それを後悔しないと言ったら嘘になるが、それでよかったのだとも思っている。どこか、いつものねぐらに行って、静かに息を引き取ったのだろう。
 ロミ夫は素直でやさしい猫だった。どの猫にも攻撃的な態度は取らなかったし、チーちゃんは何度もかわいい黄色のこどもを作った。雄猫らしく外に出かけて何日も戻らないことがあったが、決していなくなることはなく、うちを拠点にしていた。チーちゃんとともに、思い出も多く、一番思い入れのある猫だ。でも、自由に生きて自然に死んだのなら、それでいいのだと思う。最後に撫でてやったり、お墓を作ってやることは、ロミ夫にとって特別な意味をなさないだろうから。

最後になってしまった十日前の写真。タイちゃんの後ろにロミ夫

ヤギのおっぱい

 今週ハリルが買ってきたネクタリン。双子が何かに似ていると思った。



ヤギのおっぱい

 乳飲み子を失ったヤギ2頭と羊1頭のミルクを毎日絞っているのだが、量はだんだん減ってきた。牛と違い、子どもがいないと自然とミルクが出なくなるのだろう。もっとも、牛もこどもがいるといないとでは、搾乳量が違うのだった。最初はめずらしがっておいしいと思っていたヤギと羊のミルクも、その野性味に少し飽きてきた。牛乳の味に、飽きたことはないのに。

ヤギのミルクで作ったヨーグルト。吊るしてスズメ(水切り)にする


 ヤギのチーズを乗せて朝食に出したいと思っていたお皿が、ようやく日の目を見た。しかしわたしはチーズづくりがあまり上手じゃない。作り方のコツがいまいち掴めないまま、いつもスズメにしてしまっている。

こうしてハリルが押さえて、わたしが絞る

雑貨

 先日、用事があってハリルの妹の家に行ってきた。突然訪れたにもかかわらず、彼女の家の庭はきれいに手入れされ、部屋はビシッと整頓されていた。わたしの知る限り、トルクメンの家はほとんど同じくそうだ。絨毯も洗うし、日常的に窓も磨く。玄関から外はきれいに掃いて、家の中の掃除機掛けも朝晩二回は必須だろう。いつお客さんが来ても、準備万端なのだ。知ってはいたけれど、ひさしぶりにそれを目の当たりにして、自分の家の手入れを恥ずかしく思った。そして帰ってきてすぐに、掃除機をかけずにはいられなかった。


 ロボット掃除機もあるというのに、わたしは毎日掃除機をかけていない。窓を磨くなど、一年に一度あるかないか…。なんやかんや床に物が置いてあったりするし、連絡なしにお客さんが来たら、ムッとしているくらいだ。連絡しないのはここの慣習だから腹を立てても仕方がないのだし、いつもきれいにしておけば「どうぞ~」ってなことになるだろう。なんとかこれを身につけたい。しかしこんなことを考えられるようになったのは、クミシュテペに来て六年半が経ち、家の機能がほとんど整って、余裕が出てきたからだと思う。突然、「こんな立派な家を建ててもらったんだから、きれいに手入れしなければ」と感謝の気持ちが湧いてきた。わたしはもうすぐ死ぬのかな?

 さて、先月日本から持ち帰った荷物は、全部で37キロだった。カタール航空とエミレーツ航空だけは、未だに受託手荷物を30キロまで無料にしてくれるのでありがたい。ただし、チケットの値段が高めなので、毎回利用するかどうかは迷うところだ。持ってきたものはほとんどが「必要な」ものだが、そうでもないものもいくつかあった。

これは何でしょう?

 こんなものを何年も前から欲しいと思っていて、今回ついに買った。なんだか知らないが、自分のアンテナに引っかかってしまったのだ。意外にも、ハリルも気に入っていた。北欧を思い出すらしい。

メガネスタンドです


 それからはちみつを入れる容器(ドイツ製)も日本で買ってきた。注ぎ口ではちみつが切れて、容器がベタベタにならないことが非常に大事だと思い、よく考えてこの容器を選んだ。ハリルに向かってはちみつ入れについて熱弁をふるっていたら、ほとんど呆れていたようだった。砂漠人にとって、そんなのはあまりにも些末なことらしい。長い時間をかけて道具を選ぶとか、道具の機能を追求するとか、こういうのは日本人の癖なのだろうか、よく分からないがわたしにもそんな態度が大いにある。
 マグカップは、亡くなった祖母が持っていたもの。いつもわたしの母(義理の娘)に出していたというから、祖母はあまり気に入ってなかったとか?(笑) マグが一つ壊れてしまったので、この形見をもらってきた。


プロフィール

イランのトルクメンサハラに移住した日本人クミコです。中央アジアの少数民族トルクメンの夫と、その家族や動物との日常を綴ります。
2006年にスウェーデンで始めたこのブログは、4回引越をして今に至りました。過去のサイトはリンクより閲覧できます。

連絡先:sabakujin at gmail dot com

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